軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第104話 それを話すとき

インフルエンザが治って数日。俺は葛西さんと遼を家に招待した。

セレスたちの関係を話すためだ。腹を決めた。

「どうしたんだ和也、改まって話って」

「悪いな急に呼び出して」

「ううん、全然大丈夫だよ」

「ありがとうまずは上がって」

そうして家のリビングに通す。

「ずっと秘密にしてたことがあるんだ」

「な、なんだよ急に」

「俺、ちょっと異世界に行ってきたんだ」

文化祭と期末考査が終わってほっと一息ついたころに、親友の和也から呼び出しがあった。

なんでも改まって話をしたいらしい。

疑問符を浮かべるも、特段用事もなく、その誘いに応じた。

和也の家に行くと、葛西さんが家の前に立っていた。どうやら葛西さんも呼ばれたらしい。

そうして家に上げられた後、和也は素っ頓狂なことを言い出した。

「俺、異世界に行ってきたんだ」

どう言うことなんだ?

なんだ?遅めの厨二病か?

「異世界?」

「急に言われても驚くよな。――【トーチ】」

「わわっ」

和也の指が淡く光った。

何か種があるのかと疑ったが特に何かを仕込んでいる様子はない。

「タネも仕掛けもございません」

そう言いながらその光を宙に浮かせたりして見せる和也。

「それに……セレス」

「はい」

セレスティーナさんの声がしたので振り返ってみるといつものセレスティーナさんの顔がそこにあった。ただ違うのは――

「セレスティーナさん、耳が……」

「ふふっ付け耳ではありませんよ?」

セレスティーナさんの耳が尖っていたのだ。

まるで物語に登場するエルフのような耳。

空いた口が塞がらないとはまさにこの事だろう。

「なになに?どうゆうこと?」

「ちゃんと順を追って説明してくれ」

「もちろん話すよ。まずは――」

「――つまり、下校中に異世界に勇者として召喚されて、10年間、魔王と戦いながらセレスティーナさんと恋仲になったってことか?」

「ああ、その通りだ」

俺の友人ながらぶっ飛んだことを言いやがる。

そういえば、連休明けに妙によそよそしい期間があったなと思い返す。

「それだけじゃないんですよ?」

なんだか楽しげに笑うセレスティーナさん。

なんだ、まだ何かがあると言うのか。

「アリシア」

「はい」

「改めて自己紹介を」

「羽鳥和也とセレスティーナ・ヴィ・ユグドラシアが娘、アリシア・羽鳥・ユグドラシアです」

「今、娘って!」

「はい、アリシアは私たちの娘なんです」

青天の霹靂とはまさにこのことだろう。

自己紹介をしたアリシアちゃんも耳が尖っている。それの元々感じてはいたが、どことなく和也の雰囲気を醸し出す彼女、本当なのか……

「えっとなんて反応したら良いんだ?」

「それもそうだよな」

「ね、ねえセレスティーナさん」

「はい?」

「セレスティーナさんも魔法が使えるんだよね?」

「はい、嗜み程度ですが」

「そ、それじゃあさ、もっと色々見せてほしいな!」

「もちろんです」

胸の前で小さく手を広げたセレス。すると、空だった彼女の手に何処からともなく綺麗な装幀がなされた本が現れ、ふわりと浮かんだ。

「――【プラネタリア】」

彼女がそう唱えると、周囲が暗くなり、星が瞬く。まるで山の峰で天体観測をしているようなそんな感覚を覚える。

「――綺麗」

「すげぇ……」

息を呑むほど美しい景色だった。星座とかには詳しくはないが、みたことのない星空、これが異世界の空なのだろうか。

そんなことを考えていると、星が瞬きのうちに消えていく。

「――あ、終わっちゃった」

「すごい以外言えねぇ……」

すると、和也が恐る恐る聞いてきた。

「信じて……くれたかな」

「ここまで見せられて信じないわけがないだろ」

「うん、私も信じるよ」

「ありがとう、……それじゃあ屋敷に招待するよ」

「うん?屋敷?」

和也たちに連れられて向かったのは何度か訪れたことのある和也の部屋。その中には見慣れない扉が付いていた。

現代家屋では到底見ないような作り、まるで西洋の館のような扉だ。

「さ、入って」

「えっと、お邪魔します?」

光り輝いていて中は見えないが、扉を潜り抜けると、そこにはまるでテレビや映画の世界で見るような景色が広がっていた。

「なんじゃこれ」

「すごいお屋敷……これ、和也くんちなの?」

そう聞くとそうだよと返事が返ってくる。

……俺は和也が何者なのかわからなくなったよ。