作品タイトル不明
セバス!
「変なの!役立たずという癖に、その能力をあてにするとか!実際はめっちゃ役に立ってるじゃんっ!」
まだ中学生くらいだよ、サラちゃん。もっと小さいときに言われたってことだよね?
いや、まぁ言われるか。私も散々いろいろ言われてたし。でもよ、前世の大人の記憶を取り戻した私からすれば、子供に対して大人が怒鳴りつけるなんてありえないことだよ。悪いことをしてそれを叱るのとは違う。
怒りに任せて思わず叫んでしまった。
「ええ」
マーサが目に涙を浮かべる。
「私の娘は役立たずなんかじゃありません……。もちろん奥様……リリアリス様も」
私の中の「リリアリス」が胸を熱くする。前世を思い出したから光属性でも役立たずじゃないと分かっている。
でも、こうして他の人の口から改めて聞くのとじゃ全然違うんだ。
「ありがとう」
お礼を口にすると、サラが私以上に大きな声でお礼の言葉を口にした。
「ありがとうございます!私の方こそ、いろいろ教えてもらって、本当にうれしい。LEDが使えれば、私はもっと役に立てるようになりますっ!まずは掃除、ねぇ、母さんどこから照らせばいい?」
ふふふっ。サラちゃんが張り切っている。
「そうね、やはりリリアリス様がお使いになられる場所……いえ、旦那様のお部屋かしら?とすると、執事のセバスに確認しなければ」
し、執事のセバス?
なんて分かりやすい名前をしているの!
「そういえば、私は挨拶しなくていいのかしら?3年でいなくなるのだから、逆にあまり人と関わらない方がいい?」
どうも押し付けられた光属性のハズレ嫁だと思う使用人もいるようだし、執事のセバスはどっちの立場かわからないけど。
マーサは光属性のサラという娘さんがいるから光属性の私にも悪感情を持ってなかっただけなんだよね?
……うん。信用してもいいのだと思う。
「ああ、申し訳ありません。セバスは屋敷の管理運営のほか、旦那様に代わり領地運営などもこなしておりまして。リリアリス様がお目覚めになったことは伝えてあるのですが……すぐにセバスを呼んできます」
「ああ、えーっと、わざわざ呼ばなくていいわ。アルフレッド様が戻られたときに一緒に挨拶させてもらうから」
なるほど。アルフレッド様は魔獣の討伐のため領地を飛び回っているらしいけど、領地に関しては執事のセバスに任せているのか。
……おいおい。執事の仕事をしながら領地運営までって、手が回らないならもうちょっと人を……。
いや、私は新参者で何も分かっていないのに偉そうなこと言えない。
人を雇う余裕がない可能性がある。費用面でなく人材面とか。
優先順位がどこにあるのか。魔物による被害が大きく、まずはそこを何とかしようと今まで必死にやってきて、やっと少し落ち着いてきただけかもしれない。
魔物の脅威にさらされた状態では、農地を広げて収益を増やそうとも思えないだろう。
特産物を作ったとしても街道が危険であれば他領への売り込みの計画もままならないだろう。
だけど、逆に言えば、アルフレッド様のように強くて魔物の被害を抑えられる人がいるこのタイミングで、いろいろやらなきゃいつやるの?
今だよね!
今がチャンスだよね!
うーん。アルフレッド様が戻ったらちょっと相談してみよう。
計算なら前世知識で得意だから、手伝える。
うん、帰ってきてから。挨拶して話をしよう。
仮面夫婦……いや、契約結婚の相手だとしても、領地をよくしようとする仲間ではありたい。
とりあえず、今できること……。
光属性魔法使いが役に立つって見せることかしらね?
いわゆる福祉だ。光属性の浮浪児対策。これも領地のために、なるはず?