軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

名古屋名物土手煮に欠かせないものと言えば?

食糧の話も毛皮の話も何も聞けなかった。うーん。これは……。

屋敷を任された公爵夫人がまさか何も知らないとは思われていないのかな?

それとも……スタンピードが近いのにこんなひらひらした服にばっちり化粧で王都から来た奥様は危機感が足りないと呆れられた?

ひぎゃー!

仕方がないの、この服も化粧も、マーサたちがアルフレッド様に会うからと言って用意してくれたもので。

つまり、悪いのはアルフレッド様、来なければこんな服装することもなかったんだよ!

うえーん。

旦那様め!いや、レッドがちょろちょろしてたんだ。化粧なしで会ったらアリスがなんでここに?とか思われたかもしれないから、結果としてはよかったのかな?

えーっと、ギルド長と騎士団長が連れ立ってどこかへ行った様子からすると、ちょこちょこ顔合わせてる?

……ってことはよ……。

騎士の訓練所付近でレッドに会う可能性がこの先もあるってこと?ノーメイクでウロチョロして遭遇を防ぐためには……。

A案、訓練所には近づかない。

B案、化粧をきっちりして近く。

A案は、筋肉見学ができない。ノー筋肉生活。

B案は、騎士に不快感を持たれる。筋肉に嫌われる生活。

「ひんぎゃぁっ!」

ショックのあまり、小鹿のように、プルプルと震える足で屋敷に戻る。

「あ、すいませんっ」

その途中、大きな箱を抱えた人とぶつかった。

箱が傾きばちゃりと何かが地面に落ちた。

「す、すいません、ああ、お、奥様っ!かかっていませんか?」

青ざめた調理人の服装の若い男の子が、慌てて大きな箱を地面に置いて、おろおろとしている。

「ごめんなさい、仕事の邪魔をしちゃったわよね……」

ショックのあまりろくに前も見てなかった私が悪い。

ばちゃりと落ちたものを拾って男の子が箱に戻してる。

「それ、どうするの?」

男の子は屋敷のほうから歩いてきている。

「これは、捨てます」

ん?

首をかしげる。

「えーっと、傷んでるの?特に臭いもひどくなさそうだけど」

箱に若干顔を近づけて臭いをかぐ。

……うん、傷んだ臭さはないものの、臭い。血の匂いに獣の臭いに……。

「あの、奥様はご存じないかもしれませんが、これは内臓です」

そうね。詳しくはないから部位名は分からないけど。まとめて呼ぶとしたらモツよね。

赤もつ……心臓や肝臓は入ってなさそう。白もつ……ホルモンよね。血まみれで赤いけども。

「とても臭くて食べられたものではありません」

ああ、それ、聞いたことあるよねぇ。戦後日本だっけ?食糧が十分にない時代でも捨てられてたって。で、ある時一人の女性が捨てるならと安く手に入れて、丁寧に洗ってすごく手間をかけて食べたと。そのおいしさが広まり、今では当たり前に食べられるようになった……みたいなさ。

つまり、しっかり洗えば食べられるんだよね。

……まぁ、しっかり洗うというのがそもそも大変な作業なのだろうけど……。でも、流水洗いだと腸がしっかり綺麗に洗えるらしい……ってことはよ?

「ちょっと、洗って食べられるところは残したいんだけど」

「え?あの、食べられるところを間違えて捨ててはいないはずです」

えーっと……?

「王都では、このあたりの内臓……モツも食べるのよ?」

嘘だけど。

王都でも食べないけど。食べてたのは前世の日本だけど。