作品タイトル不明
推し活ならぬ、惜しい活中の女
「ああ、確かに彼のような立派なおなかになるようにもっと食べていただきたいと思っているのですが、食べても食べても太れないとアルフレッド様はおっしゃって」
はい?
何を言っているんだろう。服の上からだったけど、どう見ても腹囲100センチは超えてた立派なメタボだったというのに。
「あああ、あの、あの、リリアリス様、アルフレッド様は、その、体形のことを言われることが、大変苦手ですので……!」
はっ。
そういうことね!言われたくないのね!
「もっと食べて太らないと(といえば、前提はやせてるって意味になるだろうby料理長)」
「食べても太れないんだよ(現実が見えていないof旦那様)」
「(触れてはいけない暗黙のルールがあるのですfromマーサ)」
無言で冷汗を垂らしているマーサに向かって、笑顔を向ける。
「(分かったわ、私は察することのできる女with親指を立てて了解のポーズ)」
でも、そんなにおなかのお肉気にしてるなら、へこませる努力をすればいいのに。隠れた筋肉がついているということは体は鍛えてるんだよね。肉を落とす鍛え方を伝授するべき?妻の役目?
……いや、だけど、相撲取り系筋肉というジャンルを私はもうちょっと知りたい。
あら?夫のことをもっと知りたいと思うなんて。アルフレッド様は私を愛することはないと突き放しているというのに。うん、これはまさに……!
「推し活っ!」
……まぁ、筋肉だけでいえば、筋肉神ガルダ様が最推しだし、育てていきたい推し筋肉はレッド。この二人は接触があるから推し活らしくはないんだよね。やっぱり推し活といえば「非接触」そういう意味ではアルフレッド様とはほとんど顔を合わせることがないから推し活っぽいじゃん?楽しくなってきたぞ!
「あ、そうそう、要件だけど、この石をちょっとかまどの中に入れてもいい?えーっと、3分くらいでいいわ」
「石を、ですか?」
料理長が首をかしげながら、その辺で拾ってきて洗ってもらったこぶし大よりも少し小さな石をかまどの中に入れてくれた。
待つこと3分。その間に、料理長が唐揚げ揚げ物を作る指示をしているのをぼんやりと眺める。
大量に肉が準備されてる。
「差し入れ?」
料理長に声をかけると、頷いた。
「こちらは騎士団に、こちらがギルド用です」
山とつまれた肉の色が違う。
「ギルド用の肉は鶏よね?」
「はい。リリアリス様に教えていただいたチキンナゲットを作ります」
ふむふむ。
「こちらの騎士団に差し入れる肉では何を作るの?っていうか、何の肉?」
料理長がちょっと困った顔をする。
鶏肉よりも赤い色をしている。まさか、牛肉とか、騎士にはよい肉を使うということだろうか?
そりゃ、領地のために命を懸けて働いてくれてるし、ワーウルフの襲撃で疲れてるところに精力をつけさせたいというのもわかるけど、それはギルドの人たちだって……。
「これは、ワーウルフの肉です」
「は?」
びっくりして大きな声が出る。
「ワーウルフって、あの魔物の?え?魔物って食べられるの?」
料理長が慌てて首を振った。
「いえ、あの、通常は食べたりはしません。食べるために命がけで魔物を狩るのは愚かなことですから。ですので、あの、リリアリス様のお口に魔物の肉を入れるようなことはありませんので、ご安心ください」
魔物って、食べられるんだ。
「通常は食べないって、どういう時には食べるの?今回みたいに手に入ったら?」
手に入ったらラッキーってことかな?どんな味がするんだろう?
珍味?