軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アルフレッド

「えーっと、剣の腕は?」

「いえ、水魔法で戦えると証明できれば、弟は私と違って剣も使えますし、より役に立つと理解してもらえますよね?」

再び副団長が困った顔を見せる。

そりゃそうだろう。剣を握ったこともない侍女で、しかも攻撃魔法も使えない水属性の侍女と戦えなど……。

「対人戦ではなく魔物を想定した戦いであるなら、距離は剣が届かない位置から開始しましょう。魔物が我々に気が付くまでの時間を1秒とり、開始の合図から1秒は副団長は動かずそのまま。それでどうですか?」

団長が試合の形式を提案した。

まぁ、それならばと、頷いて許可をする。

距離は5m開けて立たせる。Dランクの魔物に気配を消して近づける距離がこれくらいだ。

騎士たちは皆単独でDランクの魔物を倒す能力はある。

周りには次々と訓練の手を止めた騎士が集まっている。

「しかし、お前が許可を出すとは思わなかったな……」

騎士団長のソウは慎重な男だ。万が一副団長が侍女に怪我をさせるようなことがあってはいけないと、弟との対戦させるように侍女を説得すると思っていたが……。

「アルフレッド様、侍女はなんて言ったか覚えてますか?」

「ん?」

腕 ソウが何かを期待するように侍女に視線を向ける。

どこにでもいるような体つきの侍女だ。女冒険者のように体を鍛えているようには見えない。剣も握ったことがないというのは本当のことなのだろう。

「光魔法は役に立たないという常識を覆してしまったリリアリス様が侍女に何を教えたのか、気になるでしょう?」

団長の言葉にハッとする。

団長が初めと声を上げると、侍女はすぐに頭の大きさほどの水球を出し、副団長の顔にめがけて放った。

水球は団長の顔にあたり、そのままの形を維持している。

なんだ?水球の形を維持?

「あれは、まさか呼吸をさせないというのか?」

だが、呼吸が止まるまであの形を維持するのは魔力が相当かかるはずだ。火魔法でいえば、火球を相手に当てるのではなく火球を維持して相手を火球に包み込むわけだろう?

副団長はすぐに、腕で水球を振り払った。

俺の声にソウは苦笑する。

「まぁ、よほど魔力の高い者なら今のように口と鼻をふさいで魔物をやっつけられるかもしれませんね……」

リリアリスの教えたことに期待したのだろう。それがあまり役に立たないと知ってがっかりしたのか。

そうしている間に侍女は再び右手を前に出して水球を放った。

副団長は水球が顔に当たるのも気にせず、1秒経ったところで剣を持ち5mの距離をあっという間に詰めた。

ここまでだな。

副団長が剣を振り上げ、侍女に向けて振り下ろす。もちろん寸止めすることは分かっているが、騎士たるもの侍女に剣を下ろす姿というのは見ていて気持ちの良いものではない。

副団長もそう思ったのか、振り下ろす剣を途中で落とした。

そして、そのまま、前に倒れた。

侍女はすかさず副団長の持っていた剣を拾い上げ、副団長の首のすぐ横に剣を突き立てた。

唖然として、誰も声を出すことができなかった。

いったい、何が起きたのだ?

ソウの顔を見るが、ソウも何が起きたのかわからないと首を横に振った。

いち早く動いたのは副団長の補佐役の騎士だ。

「副団長っ、大丈夫ですかっ!」

「あ、試合は終わりだ!勝負はついた」

侍女がにこりと笑ってこちらを向く。

「私の勝ちでいいですよね?約束通り弟の騎士団入りを考えてください」

騎士団長が倒れている副団長の様子をちらりと見てから侍女に尋ねた。

「その前に説明をしてくれないか?副団長は大丈夫なのか?」

侍女はポケットの中から小瓶を出した。確かあれは、いざという時に身を護るためにリリアリスの世話をする侍女が持ち歩いている……。