軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3.婚約者候補と側近候補

前世の記憶を思い出して数ヶ月。今日は朝食後、執務室へ来るようお父様に言われた。

「お父様。クラウディアです」

「入りなさい」

執務室のソファーにはお父様とお母様が並んで座っている。向かいのソファーに座ると、お母様付きの侍女がすかさず紅茶を淹れてくれた。

そう、紅茶。

お茶が飲みたい……。

もちろん強請ったけれど、発酵前の茶葉を他領地から仕入れるのは難しいとお父様に却下されたのだ。なので今は紅茶が特産である領地の特徴……気候なんかを学んでいる。我が領地でも生産することができれば、発酵度合いを変えた新しい茶葉として売り出すことができる! とプレゼンする予定。

「クラウディア。王妃様主催のお茶会の招待状が届いた」

「? 毎回届いていますよね?」

お兄様宛に。

私より2歳上のお兄様は、第一王子殿下の側近候補。王子殿下達の婚約者と側近を選ぶため、定期的に開催されている王妃様主催のお茶会に、兄は毎回参加しているのだ。

「クラウディア」

王族の婚約者は伯爵家以上と決められており、私も候補となる資格があるけど……公爵家・侯爵家に殿下達と年齢の釣り合う令嬢が多くいるため、醜い争いを避けるために侯爵家以上のご令嬢のみ招待されているのが現状。

だから私は毎回お留守番なの。

「クラウディア?」

王族の婚約者なんて全く興味ない。でも死ぬまでに一度は王城には行ってみたいし、王宮料理人が作るスイーツには興味しかないわ。

「クラウディア、聞いているのか?」

どうにかスイーツだけでもお土産に持って帰ってもらえないかしら。

「クラウディアっ!」

「はいぃっ!」

あっ……お父様、お怒りですね。

「クラウディアちゃん、マイペースなのも程々になさいなさいね」

「はぁい」

「クーラーウーディーアー」

「っ! 気をつけます」

お母様もお怒りでした。

「はぁ……まぁいい。次の茶会、クラウディアにも招待状が届いた」

「へ? っじゃなくて……私宛ですか?」

お母様にひと睨みされ、慌てて背筋を伸ばす。

「そうだ。明日、お茶会用のドレスを仕立てるからな」

「分かり……承知しました」

堂々と王宮スイーツが食べられるっ。やったね!

「ねぇポーラ。なんで私が招待されたんだと思う? 流石に同年代の伯爵令嬢を全員招待してるってことはないでしょ?」

ポーラの実家は男爵家で貴族社会についても詳しいの。学園での成績もよく、学費節約で飛び級で卒業しちゃうくらい優秀な私の専属侍女。

「メープル伯爵家は、伯爵位の中でも最上位に位置しているからではないでしょうか」

なるほど。

「一理あるわね」

「なぜ招待を受けたのか。クラウディア様がそれを疑問に思うほどに成長されたことが、私は嬉しいです」

「うっ」

否定できないわ。ずっと家庭教師から逃げていたものね……。

「第一・第三王子殿下と 再従兄弟(はとこ) であることも、関係しているのではないでしょうか」

「そういえばそうだったわね」

現王妃様の母親が私のお祖父様の姉だから、お父様と王妃様が従姉弟。そっか、私、王族と親戚なんだ。

「あっ! 分かったかも」

「お聞きしても?」

「王妃様と親戚ってことは、我が家は王妃派閥ってことよね? そこで私が側妃様の産んだ第二王子の婚約者になれば、王妃様と側妃様の2人が仲良くするんじゃないかって国王陛下が思ったのよ」

「…………」

絶対そう。でも王様? 女の世界ってそんな甘いものじゃないんだよ~。

「どうかした?」

「クラウディア様……王族を含めた国内の貴族の関係図に勢力図、その他諸々お勉強いたしましょう」

あら? もしかして何か間違ってた? ここは誤魔化すためにも話題を変えて……。

「ねぇポーラ。王宮のスイーツって美味しい?」

「うちは男爵家ですよ。王宮なんて行ったことありません」

「そうなのね。ならポーラの分、お土産もらってくるわね!」

「ク、クラウディア様っ!?」

スイーツよりも王子殿下と交流をとかなんとかポーラが騒いでいるけど、ごめんね? 本物の王子様は一度見てみたいけど、王族の婚約者なんて私には荷が重い。だから誰になんと言われようと、私のメインはスイーツなの。

名付けて花より団子作戦!

ネーミングセンスが悪いって? ほっとけ。