作品タイトル不明
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フローラが学園へ来なくなりました。
あのパーティーの後も、どれだけ厚顔無恥なのかというほどの態度で王太子と学園内を練り歩いていたのに、です。
さすがに妊娠していると気付いたのでしょう。
それにしても後2ヶ月足らずで生まれるはずなのですが、体質なのでしょうか?思ったほどお腹が迫り出していなくて驚きました。
思ったより休学に入るのが遅かったですが、元々優秀ならともかく彼女なら間違いなく留年しますわね。
そして、丁度王太子の誕生日の前あたりに出産でしょう。
馬鹿な彼らのこと。王太子の誕生日に御子が誕生したとお披露目してくださるでしょうね。
継承権も何も無い、ただの無力な子爵令嬢の婚外子を。
それにより、フローラの側妃への道が断たれるとも知らずに。
せめて子爵家に住んでいればフローラの父であるメルデス子爵が、子供の存在を隠すか、無い者として養子に出したでしょう。
自分達夫婦の子供として、届け出たかもしれません。
王家に恩を売れますからね。
ですが実際に彼女が居るのは王宮です。
実家とは連絡を取っていないようですわね。
もう王族の一員のつもりのようですし。
フローラの教育係が王妃ではなく、最初に付けられた教師陣だったら違う結果になったでしょうか?
いえ、同じでしたわね。
前回と同じ教師陣であれば、皆様フローラの事を毛虫の如く嫌っていらっしゃったもの。
今回は 宥(なだ) めて引き止める私が居なかったので、早々に諦めている事でしょう。
「アンシェリー様、何か楽しい事でも?」
タイラーが書類から顔を上げて、話し掛けてきました。
どうやら思った以上に顔が緩んでいたようです。
「仕事中にごめんなさい。今後の事を考えておりました」
正直に話すと、他の生徒会役員達も顔を上げて私を見ます。
「あら、それは楽しいに決まってますわ!笑顔になって当然です」
サンドラが私の心情に同意し、同じように笑顔を浮かべました。
「男の子だと良いですね」
不意にネイサンが呟きました。
婚外子の私生児など、どちらでも良いのでは?
「おや、アンシェリー様はお優しいですね」
ネイサンが黒い笑顔を浮かべます。
「女だった場合、子が出来なくなる薬を飲ませるか、 処(・) 分(・) するかしなくてはでしょう?男だったら、簡単な手術で子が出来ないようにできますからね」
あぁ、確かに私は甘かったのかもしれません。
国家転覆の種は、芽吹く前に潰す必要がありました。
あ(・) ん(・) な(・) の(・) でも王族です。
公に認められなくても、王家の血筋に変わりはありません。
外に出すわけにはいかないですわね。
やはり、私一人では穴が出来てしまいます。
頼れる仲間がいて、本当に良かった。
前回は王太子の為だけに生きて、その王太子に殺されました。
他に親しい人を作る時間さえ無かったのです。
その為、誰も助けてくれませんでした。
家族と友人は違います。
この頼れる仲間であり、大切な友人達を作る事が出来ただけでも、人生をやり直した甲斐がありました。
勿論、復讐を止めるつもりはありませんけれどね。