作品タイトル不明
【番外編】
リオン・カンパニーの拠点は、束の間の平穏に包まれていた。
熾烈な戦いを終えたSSRの家臣たちは、思い思いの場所でリラックスした時間を過ごしている。
そんな中、人間の姿をとった魔剣グーラの傍らで、新参者の聖剣がカタカタと落ち着きなく揺れていた。
まだ言葉を持たない彼女は、どうやらグーラに何かを一生懸命に訴えかけているらしい。
「ん? グーラ、どうしたのだ?」
怪訝に思ったキリカが尋ねると、グーラは小さく息を吐いて口を開いた。
「この新入りが、主の性別を聞いておるのじゃ。男なのか、女の子なのか、とな」
その言葉に、その場にいた家臣たちの動きがピタリと止まった。
エリーが顎に手を当て、深く頷く。
「なるほど……。言われてみれば、主様は大変可愛らしいお顔立ちをしておいでですからね」
「あらあら、あるいは男の娘なのかしら……?」
真魚美が頬に手を当てて妖艶に微笑むと、周囲の空気が一気にざわめいた。
未知の単語に首を傾げる者もいるが、彼女たちの関心は既にただ一点に集約されている。
「なにそれ……?」
「確かめる必要、ある? 男一択でしょ……じゅるり」
誰かが思わず生唾を飲み込む音が響いた。
それを皮切りに、家臣たちの瞳に怪しい光が宿り始める。
「その体を確かめないと……」
「たしかに……。いずれはカンパニーを背負って立つお世継ぎ的な意味もあるし……」
エリーの尤もらしい言葉に、全員が深く同意した。
お世継ぎ問題の解決。それは臣下として当然の務めであり、揺るぎない大義名分である。
「これは正義……」
完全に欲望が一致した肉食獣たちは、血走った目で立ち上がった。
ざっざっざっ。
軍隊のように一糸乱れぬ足並みで、SSR家臣たちは部屋の隅へと一直線に向かう。
そこでは、主であるリオンが一人でのんびりと修繕作業に没頭していた。
異様な気配に気づいたリオンが、ふと顔を上げる。
「え、なにみんな。どうしたの?」
無言。
家臣たちは誰一人として言葉を発さず、ただ「はぁはぁ」と荒い息を吐きながらリオンを取り囲んだ。
そして次の瞬間、一斉に飛びかかり、リオンの服を剥ぎ取ろうと群がった。
「ちょ、なに!? なんなの!? ねえ!」
もみくちゃにされ、為す術もなく押し倒されるリオン。
「こわいよー!」
可哀想な主の情けない悲鳴が、拠点の中に虚しく響き渡った。