軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

婚姻同盟?

四国、特に阿波(徳島)というのは昔からの関西圏の食材を担ってる。関西圏に向けての四国の窓口。気候も温暖で海の幸も山の幸にも恵まれてる。

とはいえ、戦国時代というのはこういう恵まれた土地ほど狙われやすいのだ。

阿波の内政に力を入れつつ、四国を平定する。できれば財と人力を消耗する戦さを避けたい。そうなると手っ取り早いのが婚姻同盟か。

といっても自分は僅か三歳だし。まだ史実の弟たちも産まれていない。

「父上、自分の兄弟姉妹を二十人以上作ってください」

朝餉の後の白湯を飲んでいた海雲はぶっと吹き出した。

「千熊丸、突然何を言い出すのだ」

朝餉の最中からここ最近ぶつぶつと呟く息子の様子に慣れてきた海雲だったが、まるでいい案を思いついたかのようにパッと頭を上げ、自分の方をしっかりと見て言い放たれた言葉に思わずギョッとしたのだった。

「婚姻同盟です」

ニコニコ笑顔で数え三歳児がそんな言葉を宣う。

それにしたって二十人?

「そなた、母にそのような無理を強いるのか?」

「いえ、母上にはそのような無理はさせません」

「父上、阿波をまとめるために国人から側室か妾を。そして兄弟姉妹をたくさん作ってください」

自分の言葉に父の海雲がフリーズしてしまった。

えっと、大丈夫かなあ。

三好一族が一気に勢力が落ちた理由の一つは直系の血筋が圧倒的に少なかったことだ。

まあ、多すぎてもお家騒動になるんだろうけど、そこはそうならないようにうまくやればいい。

史実にしても五男四女だ。同腹は二男の実休のみだ。無理難題を口にしたわけではないのだ。

自分にしても子供が少なすぎた。二度にわたる政略婚はしたものの、最初の波多野氏とは後の嫡子孫次郎(義興)のみ。あとは妾から二女。たった三人。まあ、戦に明け暮れたといってしまえばそれまでなんだろう。

父親に二十人を課す以上は自分も頑張らないといけないのかもしれない。

それに家督を譲ったとはいえ、海雲は二十代前半。頑張れば三十人でも作れるんじゃないだろうか。

うん、頑張れ!

いずれにしても阿波の国人とがっつり縁組して国人からは誰も他国や細川氏に縁付かせないようにしないと。

そういえば傾国の美女、小少将(岡本牧西の娘)って何時頃産まれるんだろう。細川と三好絡みだから要チェックかな。その辺の情報も集めておく必要がある。

駒のように子供を扱うのかっていわれるかもしれないけれど、血を流さずに同盟を結べれば、そして夫婦間の関係が良好であれば良しと考えなければこの血生臭い戦国時代を生き抜くことは難しい。

「千熊丸。戻ってこい」

一際大きく名前を呼ばれて、意識を父親の方に向けた。

「父上?」

「戻ってきたな。して、そなたの言う『婚姻同盟』と言う戦略は具体的にどういったものなのか説明せよ」

そういわれて、たった今思考をしていた内容を父、海雲に説明をする。

「国人の娘を娶り阿波をまとめ、その子どもを四国平定のための同盟にか」

うーむと腕を組み唸りながら海雲は思案する。

「じゃが、わしは一応身体を壊して千熊丸に家督を譲ったのだぞ。それなのにポンポンと子供を拵えるのは不味かろう?」

「確かに。なら二年ほど間を空けてからではどうですか?」

「そうじゃな。それの方が良かろう。そなたもこのことは口外するな。こんなこと知られたら春にも怒られるわ」

ああ、確かに。そう呟き納得する三歳児の我が子を見やりつつ、海雲はそっと息を吐いた。

実は今阿波の国人達は子作りが盛んになっている。というのも三歳で家督を継いだ『三好の宝』の側近と嫁候補のためだ。内政に力を入れると方針を転換したことも大きく影響したのだった。