軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

長慶おじさんのご両親と対面!

それからはてんやわんやといった表現が正しいのだろうか、あれよあれよと人の出入りが慌ただしくなり、よくわからないうちに一日が終わった。

とはいえ、畳というよりほぼ板間に近いところで夜着といわれる薄い布を上に被せられた状態で寝ている。子供のためだからとそれも通常より厚手にしてはくれているみたいだけど、でも体が痛くて眠れない。

そこで眠気がくるまで色々考えをまとめることにした。

どうやら私は三好長慶氏の三度目の人生にリンク(転生)したらしい。否、本当は一度目の時にすでになんらかの接触があったみたいだけれど、長慶氏はガン無視して、史実通りの人生を送ったのだとか。晩年、そのことを激しく後悔しながらその生涯を終えたそうだ。

ところが目を覚ましてみるとまさかの人生やり直し。

所謂タイムリーパーだ。この時は私? との接触はなかったらしい。

一度目の雪辱を果たすために彼なりに色々やってみたもののうまくいかず、微妙な流れの差はあれど結果は同じようになったとのこと。

絶望の中で目を覚ます。三度目の人生だ。どうしようと思っていた時に先の二度にわたる人生では起こらなかったハプニングが起こった。

人生三度目ならしないであろう木登りに挑戦。数え三歳の実質幼児なのに無茶をした。案の定バランス崩して落ちてしまった。

あ、せっかくやり直しなのにこれまでかと思っていたところに目の前に遠い昔に夢の中に出てきた年配の女人が寝ている。と同時にその時一度目で見せられた『胡蝶の夢』の内容を思い出した。それで寝ている私を叩き起こし、三度目の人生を私のやりたいように任せることにしたそうだ。

いや、任せられても困るし。令和じゃないし、戦国時代なのに、生き残れないだろ。おいおい。

長慶おじさん曰く身体を鍛えてくれさえすれば、必要な時には自分が動くから大丈夫だろう。なんてこと言ってる、全くもう。

ちなみに目覚めた時に最初に覗き込んだのは長慶氏のお父さん。『孫次郎(元長)』さんていうらしい。飛び交う会話の中から判断した。

その後、これまた時代劇に出てくるような出立ちで現れたのが長慶氏のお母さん。お父さんから『春』と呼ばれている。

よし、両親の顔は覚えた。

え? お前は何者なんだって? 私は名前はもう覚えてないけど…… 確か五十代半ばの主婦で、二人の息子と一人娘、それと幼馴染で結婚した夫の五人家族だった。で、子供たちはそれぞれ独立結婚をして孫が生まれていたっていうのは覚えている。最期は真夜中、寝てる時にスマホの緊急地震速報のアラームが鳴って、うるさいなあって思った、そこで意識が途絶えている。

徳島だったから、もしかすると南海トラフか何かがあったんじゃないかな。

そう、私は徳島、ここ、この時代でいうところの阿波生まれ、阿波育ちなのだ。

なので、一応三好さんの知識はちょこっとは知っている。でも徳島市内生まれだから、どちらかというと蜂須賀さんの方が馴染みはあるのだ。そして私の家族は三好一族とは縁もゆかりも全くない。

それと歴女っていうには烏滸がましいレベルだ。それなりに織田信長とか好きだったのでこの辺のごちゃごちゃも興味は持っていた程度だ。

正直な話。地元民からすれば三好家は不運だったと思う。細川晴元なんかに関わったばっかりに、近畿に引き摺り込まれてしまった。確か、一度目の時にそんなことを警告したみたいなんだけど、父親と晴元の因縁に巻き込まれちゃったんだよね。おそらく後は史実のとおり。

晩年は息子も兄弟も亡くして、最期は周囲に騙されて実の弟も自ら手にかけてしまって、孤独な人生を終えたんだろう。

それをやり直したいってことなんだろうけど……

いいのか、私に丸投げなんかして。

そういえば息子や娘が学生時代によく読んでた漫画や小説に転生モノとかあって、結構旦那もそういうのが好きで…… でもうちの旦那ちょっと変わってて、結構実践派で、子供の教育にも役立つだろうって、あれこれ試す人だった。ほんと色々。ネットの動画とか見ながら。

だから、無人島でも生き残れてたら、なんとかなるんじゃないレベルまで子供達に教えてたっけ。

そう、あの時みんな生き残ってたら、どうにかなっててほしいなって、今更ながらだけど強く願わずにはいられない。

とまあ、そういうのが私の前の人生だったりする。

ああ、でもそうか、多分私が関与したとしても、別の並行世界に移行するんだよね。こういう時って。

長慶氏はそれでいいってことだから。

やってみようか。おばちゃんだけど。

生き残れるかな? ふふふっ。

生き残れたら……

もしかしたら『生・信長』に会えるかもしれない。

そんなことをあれこれ考えながら、いつの間にか寝てしまっていた。