軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第79話 ダンジョン探索事情が一変してしまいそう

「……これ、家屋やマンションを作ったら、普通にダンジョンの中でも暮らせるんじゃないの?」

ダンジョンの中に出現した土蔵を前に、どこか呆れた様子で言うセレン。

「つまり貴殿一人いれば、ダンジョン内に簡単に街を作ることが可能ということだな。世界のダンジョン探索事情が一変してしまいそうな話だ」

フィリアさんが唸る。

確かにダンジョンの中に街――安全地帯を作ることができれば、探索は容易になるだろう。

実際、世界にはすでにそれに成功したダンジョンもあるというけれど、

「無論かなりの労力が必要だったはずだ。なにせ、トラップや魔物が蔓延るダンジョンの中に、大量の資材を運び込まなくてはならないのだからな」

「村長がいれば、その場所まで行くだけでいいってことか」

「「「さすが村長……」」」

なぜか尊敬の眼差しを向けられてしまう僕。

……ただ土蔵を作っただけなんだけど。

ともかく、そうして収穫物を土蔵に保管して身軽になった僕たちは、下層へと続く階段を下りていった。

ちなみにこの階段の向こう側は、僕らがやって来たのとは別の道があった。

もしかしたら最初の分かれ道で左のルートを進んでいたら、そちらに出たのかもしれない。

「少し雰囲気が変わったわね」

「人工建造物のようだな」

セレンとフィリアさんが言う通り、階段を降りた先に待っていたのは、これまでの岩肌が覗く洞窟ではなく、石を組み合わせて作られた地下遺跡のような場所だった。

少し進んでみて、すぐにこの階層が先ほどのものより遥かに複雑な構造をしていることが分かった。

幾つもの分かれ道が存在しており、どうやら迷路のようになっているらしいのだ。

「こ、こっちの方かと……」

それでも僕たちはカムルさんの直感を信じ、ほとんど迷うことなく進んでいく。

もちろんトラップもあれば、魔物も出現する。

上層でも出現したミノタウロスに加え、バッドバットという吸血コウモリや、サーベルスネイクという剣のような牙を持つ蛇の魔物などもいた。

一匹一匹は大して強くないけれど、群れを成して襲い掛かってくるバッドバットは、ミノタウロスよりも厄介だった。

しかも空を飛んで頭上から攻撃してくるため、盾役が上手く機能しないのだ。

「くそっ! 面倒な敵だ!」

「仲間を呼んでんのか、まだまだ増えてきやがるぞ!」

「いてぇっ! このっ、離しやがれ!」

そしていったん噛みつかれると、なかなか離れない。

もし群がられでもしたら、大量に血を吸われて死にかねなかった。

「みんな、この中に避難して!」

「「「っ!」」」

僕は咄嗟に家屋・小を作り出していた。

みんなで慌てて中へと駆け込む。

この人数でも、どうにか全員が入れる広さだ。

ドアを閉めてしまうと、バッドバットたちは中に入ってくることができない。

ガリガリと壁を噛む音は聞こえてくるけれど。

「……なるほど、こうした緊急避難にも使えるわけね」

「ひとまず助かったな。ソフィア、頼む」

「はい」

『白魔法』ギフトを持つエルフのソフィアさんが、負傷したメンバーたちを回復させていく。

「だが、これだとこちらからも攻撃できないぞ」

「そこは私に任せて」

壁に設置された窓の近くによりながら、セレンがゆっくりと魔力を練っていく。

そして窓を開けると同時、強力な氷魔法を解き放った。

外にいた蝙蝠たちが、氷の刃に次々と撃ち落されていく。

発動が終わると、セレンはすぐにまた窓を閉める。

「そうか。これなら一方的に攻撃ができそうだな」

感心したように頷いて、フィリアさんもまた魔力を練り始めた。

それからセレンとフィリアさんの魔法攻撃で、バッドバットの群れを一掃する。

そうして家屋から出たときだった。

あれ?

まだ一匹残っているっぽい?

それが分かったのは、先ほど施設を作成できたことからも分かる通り、この場所がすでに領地強奪によって村の中になっていて、それゆえ侵入者感知が働いたからだ。

だいたいの場所が分かるため、僕はそちらへと視線を向けた。

すると小さな影が、慌ててダンジョンの奥に逃げていくのがチラリと見えた。

「……?」

「どうしたのよ、ルーク?」

「いや、蝙蝠がまだ残ってたのかと思ったんだけど……違ったみたい」

地味な蝙蝠と違って、もっと華やかな色合いだった。

蝶のようにも見えたけど……?

◇ ◇ ◇

「アタシのダンジョン内に、なんかいきなり建物出現させてたんですケドおおおおおおっ!? 何なのあいつらあああああああっ!? ていうか、攻略速度も速すぎるんですケドおおおおおおおおおっ!」