作品タイトル不明
第486話 俺はそこまで嫌われているのか
いきなり現れたアグネスさんを初めとする女性たち。
現運営のマンタさんたちを厳しく断じると、アグネスさんは今後のコンテストの運営は自分たちに任せろと迫った。
「要するにあなたたちはお役御免ということね」
マンタさんが異議を唱える。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! このコンテストを企画したのは俺だぞ!? こんなの乗っ取りじゃないか!」
「もちろんこのまま続けてくれても構わないわ。ただし女性は一人も参加せず、開催する前から失敗は確定しているけれど」
「ぐっ……」
言い返せないマンタさん。
もはやアグネスさんたちに運営を託すしかないと悟ったのか、観念したように、
「わ、分かった……その代わり、間違いなく水着コンテストを成功させてくれ……」
「ええ、任せておきなさい」
「ただ……企画立案者特権ということで、俺だけ運営に残してもらえないか?」
これには他の男性たちから猛抗議があった。
「自分だけ残ろうというのか!」
「裏切者!」
「見損なったぞ!」
見損なったも何も、どう考えても元からそういう人だけどね、マンタさんは。
「ダメよ。あなたが運営にいるというたけで、大きくイメージが下がって、女性が敬遠してしまうもの」
「俺はそこまで嫌われているのか!?」
厳しい現実を突きつけられ、マンタさんは崩れ落ちた。
「その代わりと言っては何だけれど、あなた旧運営者たちにはある役割を担ってもらうわ」
「……? それは何だ?」
不思議そうにする男たちに、アグネスさんは告げる。
「水着コンテストに、出場者側として参加してもらうのよ!」
「「「はい?」」」
首を傾げる男たちに、アグネスさんは説明する。
「女性限定の水着コンテストじゃなくて、せっかくだから男性にも参加できるコンテストにしようと思っているの! そこにあなたたちに出場してもらおうってことよ!」
「え、男の水着? おいおい、そんなの誰が見たいんだよ?」
マンタさんは馬鹿げたアイデアだと一蹴するけれど、アグネスさんは真剣だ。
「女性らしい曲線美や華やかさを競うのが女性の水着コンテストなら、男性らしい力強さや均整の取れた肉体美を競うのが男性の水着コンテストよ。どっちにもそれぞれの良さがあるわ」
お腹がぽっこり出ているマンタさんでは、何の勝負にもならないコンテストだね。
逆にガンザスさんなんかは「ほほう、それはなかなか面白そうだの!」と乗り気になっている。
とはいえ、全体的に男たちの反応が微妙な中、アグネスさんは言った。
「せっかくだから、男女の出場者同士で、色んな交流なんかもしてもらおうと思っているわ。もちろんお互い水着姿でね」
男たちの目の色が変わった。
「「「絶対出るううううううううううううううううううっ!!」」」
こうしてコンテストの運営スタッフが一新され、改めて出場者の募集が行われた。
水着女性と交流ができるとあって、村の男たちからの応募が殺到する。
最終的に何と三百件を超える応募があり、厳正な審査によって出場者が五十人に絞られたのだった。
そして、いよいよコンテスト当日。
会場は室内プールだ。
温水になっているため、冬でも遊ぶことが可能だ。
そこにコンテストに出場する、選ばれた二十五人の男たちが水着姿で待機されていた。
いずれ劣らぬ美しい筋肉の持ち主たちである。
その中にはマンタさんやガイさん、ガンザスさんといった旧運営陣の姿もあった。
「ふっふっふ、この日のために身体を絞ってきたぜ。女性陣も俺を見てトキメクこと間違いなしだな」
とマンタさんは自信満々だけど、さすがにこの短期間で腹回りの肉を落とし切れるはずもなく、明らかに一人だけ浮いている。
ガイさんは冒険者だけあって、なかなか良い筋肉だし、ガンザスさんはゴリちゃん直々に鍛えられているので優勝候補の一角と言っても過言じゃない。
ゴンくんはまだ若いので線が細いけど、それでもサムライとして鍛えられている身体は十分に魅力的だ。
「はい! ではこれより、残り半分の参加者たちに登場していただきます!」
アグネスさんが告げると、男たちが大いに沸いた。
興奮する彼らの前に、ついに水着女性たちが姿をあらわ――――さなかった。
現れたのは美しい筋肉を持つ二十五人の男たちだった。
「「「……は?」」」
てっきり美しい水着女性たちと対面できると思っていたのに、自分たちとよく似た男の集団だったことに理解が追い付かない様子。
しかもそれは相手の男たちも同様だった。
「お、おい、これはどうなってる!? 何で男ばかりなんだよ!?」
「何でって、この五十人が今回の水着コンテストの出場者だからよ」
マンタさんの怒号に、アグネスさんが平然と応じる。
「女の子たちはどうした!?」
「もちろん誰も出場しないわよ? 何人か応募してくれた人はいたけれど、全員、事前審査で落としちゃったから」
「ど、どういうことだ!?」
戸惑い動揺する男たち。
そんな彼らの反応をどこか恍惚とした表情で見つめながら、アグネスさんを初めとする運営スタッフたちが一斉に笑い出した。
「「「腐、腐、腐、腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐っ!」」」
そう。
実はこの水着コンテストの運営スタッフたちは、全員が腐女子だったのだ!
「これからあなたたちには、水着姿で濃厚な交流をしてもらうわ! もしかしたらその中で育まれる禁断の愛があるかもしれない……っ! 私たちは審査員として、その様子をじっくりたっぷり観察させていただくわねええええええっ! 腐腐腐腐腐腐腐っ!」
すべてを悟った男たちは、そろって絶叫するのだった。
「「「騙されたあああああああああああああああああっ!」」」