軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第480話 頂上が霞んで見えないわ

「え? ローダ王国内にある遺跡の調査に協力してほしい、ですか?」

「うむ。恥ずかしながら、我が国の精鋭兵たちを送り込んだところ、ダンジョン化した遺跡のあまりの難度に逃げ帰ってきての」

ローダ王国の貴族ガイウスさんが、嘆くように教えてくれる。

かつて使者として村にやってきた頃は、大国の貴族らしい傲慢な態度だったけれど、今ではこの村とローダ王国の架け橋として大いに貢献してくれていた。

「どういう遺跡なんですか?」

「ローダの辺境にあって、天高く聳え立つ塔の遺跡でな。これまでずっと入り口の扉が硬く閉じられ、入ることが不可能だったのだが、どういうわけか最近になって扉が開いているのが発見されたのだ」

それで調査のために精鋭の兵士を派遣したそうだけれど、内部が凶悪なダンジョンのようになっていて、塔の半分も登ることができなかったらしい。

「貴公の村の戦士たちであれば、あの塔を攻略できるかもしれぬ」

「なるほど」

一体何のために作られたのかも、なぜ急に入り口が開いたのかも分からず、ローダ王国としてはそのまま放置しておくわけにはいかないという。

「無論これまで貴公の村には数え切れぬほどの恩がある。それに十分報いることもできておらぬというのに、そのような頼みをするのは気が引けるが……」

「いえ、そういうことならいくらでも協力しますよ。うちの精鋭たちなら、たぶん喜んで挑戦すると思いますし」

「凶悪なダンジョンと化した塔? 面白そうじゃない!」

「もちろんアタシも参加するわぁん!」

「ふむ、ローダの精鋭でも攻略できなかった遺跡か。腕が鳴るな」

「ぼくも力を貸すよ、村長」

「拙者の出番でござるな!」

「おれも、行く」

「ダーリンが参加するならオレも行くぜ!」

ほら、この通り。

こういうケースはこれまでに幾度となくあったけど、みんないつもめちゃくちゃ前向きなのだ。

そうして、セレン、ゴリちゃん、セリウスくんとフィリアさん夫婦、サムライのアカネさん、ノエルくんとチェリュウさん夫婦というメンバーたちで、謎の遺跡に挑むことになった。

なお今回、アレクさんたち冒険者パーティは、村のダンジョンに挑戦中で不参加。

さらにマリベル女王やガンザスさんも、用事があるとのことでエンバラ王国に戻っている。

他にも何人か、お馴染みのメンバーが事情で不参加だ。

「あれ? もしかして結構な戦力ダウン……?」

と思っていると、

「我も参加させてくれ!」

「ガオガルガさん?」

アルマル族の元族長、ガオガルガさんが自ら志願してきた。

魔大陸から移住し、現在はこの村に住んでいるのだけれど、魔王軍では六魔将の一人だった彼の参加は百人力だ。

「(この絶好の機会に、ゴリティアナ殿とお近づきに……っ!)」

……動機が少し不純な気がするけど。

実はガオガルガさん、ゴリちゃんに惚れてしまっているのだ。

厳つい見た目によらず奥手なのか、まだ何のアプローチもできてないみたいだけど。

さらに強力な助っ人がもう一人。

「私も参加してよいだろうか?」

「ビビさんも?」

ダークエルフ族の元族長であるビビさんだ。

正式な名前は長いので割愛するけど、エルフとよく似た外見的特徴を持つ彼女もまた魔族で、魔王軍では六魔将の一人だった。

ガオガルガさんと同様、魔大陸から移住し、今はこの村に住んでいる。

「呪いで自我を失っていたとはいえ、人族には多大な迷惑をかけてしまった。罪滅ぼしとして、少しでも貢献したいのだ」

こちらはとても真面目な理由だ。

何にしても、元六魔将の二人の参加は非常に心強い。

もちろん僕も影武者で参加するよ!

戦闘ではあんまり貢献できないけど、もしもの場合は瞬間移動で脱出することが可能だからね。

というわけで、僕たちは件の遺跡――蒼穹の塔へとやってきた。

「思ってた以上に高い塔ね。頂上が霞んで見えないわ」

塔の頂上を見上げながらセレンが言う。

天気があまりよくないせいか、上の方が低い雲に覆われているのだ。

「塔の上から入るっていう手もあるけど……」

三次元配置移動で作った施設を動かせば、塔の頂上まで簡単に辿り着けるだろう。

「そんなやり方したら面白くないじゃない!」

「おいおい、んなつまんねぇこと言うんじゃねぇよ!」

「そうでござるよ! 自力で頂上まで上り詰めてこそ、真のサムライというものでござる!」

なぜか怒られてしまった。

セレンとチェリュウさんはともかく、アカネさんに言われるのはちょっとイラっとするね。

そもそも僕はサムライじゃないし。

「残念ながらこの塔への出入りはこの地上の扉しかないようなのです。我が国の従魔師が、飛行能力を持つ従魔に乗って確認しましたが、塔の外壁はもちろんのこと、頂上にも窓一つなかったとのことです」

と、事前の調査結果を教えてくれたのは、ローダ王国軍の女性兵士、リンダさんだ。

女性ながら若くして王国軍の上級兵を務め、今回ローダ側から唯一この探索に同行してくれるという。

「実は先だって行われた、我が軍の塔探索作戦にも参加しております。ご存じの通り撤退を余儀なくされたわけですが……途中までならご案内できるかと」