軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第463話 男の中の男だろ

ゴアテさんを発射台にして跳躍したアカネさんだったけど、川に対して少しだけ斜め方向に跳んでしまった。

「って、このままでは川に落ちてしまうでござるううううっ!?」

そのせいで僅かに飛距離が足りない。

だけど彼女を後押しするように、猛烈な風が吹いた。

セリウスくんとフィリアさんが、対岸から魔法で風を発生させたのだ。

「……あ、危ないところだったでござる」

お陰で何とかこちら岸に着地することができた。

川のギリギリのところで、あと一メートル足りなかったら水の中だ。

ずるっ。

「へ?」

「ちょっ!? アカネさん!?」

しかしそこは相変わらずアカネさんと言うべきか、そんな場所で足を滑らせてしまった。

肥満気味の身体が宙を泳ぎ、川の中へダイブしてしまうかと思われたものの、

「ふんっ! ……た、耐えたでござる!」

何とかすんでのところで耐え切り、ドヤ顔するアカネさんだった。

いや、そんな顔する場面じゃないでしょ……。

続いてゴアテさんが跳んでくる。

「荷物はどうするの?」

「向こうで投げてこっちで受け取るつもりだ」

対岸で、ゴアテさんが背負っていた大重量の箱をゴリちゃんが抱えるのが見えた。

「どっせええええええええええええええええええええいっ!!」

相当な気合が必要らしく、ゴリちゃんの雄叫びがこっちまで響いてくる。

箱が宙を舞い、こちら側へと落ちてきた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

そのまま地面に叩きつけられると中のものが壊れかねないので、ゴアテさんが負けじと声を張り上げながらキャッチする。

「はっ、上手くいったじゃねぇか」

「まさかこんなやり方で川を越えるとは……」

風を自在に操れるセリウスくんとフィリアさんは、そろって自力で跳躍してこっちへ。

「さて、あとはゴリちゃんだけだね……って、ゴリちゃん、どうやってこっちに来るの!?」

そこでハッとさせられる。

よく考えたら最後に残ったゴリちゃんが、川を越えてくる方法がない。

「自力で跳んでくるって言っていたが」

「えっ、ゴリちゃんもそんなことできるの……?」

フィリアさんが言う通りそのつもりのようで、ゴリちゃんは少し川から離れて助走距離を取った。

「行くわよぉおおおおおおおおんっ! どっせええええええええええええええっ!!」

巨体が宙を舞った。

でも、さすがにこれじゃあ飛距離が足りない。

川の中ほどを越えたところで、ついに失速して水面へ。

「ゴリちゃん!?」

「心配要らないわぁん!」

そのままゴリちゃんは川に頭からダイブしてしまったかと思うと、すぐに水面から飛び出してきた。

見事なバタフライだ。一瞬完全に水から全身が出ているんじゃないかというほど。

ものの数秒ほどで残りの距離を泳ぎ切り、僕たちのいる川岸へと飛び出してきた。

「だ、大丈夫?」

「ちょっと噛まれちゃったぐらいよぉん」

よく見ると衣服がボロボロになっていた。

どうやらこのたったの数秒で、マッドピラニアに噛みつかれてしまったらしい。

ただ、筋肉の鎧に覆われている身体には、薄っすらと歯形が付いているだけだ。

「なんというやつだ……マッドピラニアに群がられても、それを振り切って泳ぎ切ってしまうとは……」

ビビさんが唖然としている。

「えっと、着替えとかある? そのままの格好じゃ……」

変態にしか見えないと言いかけて、やめておいた。

「さすがに着替えはないわぁ。どこかで適当に調達するしかなさそうねぇ」

そのとき、思っていた以上に服がダメになっていたようで、ぽろり、と。

衣服が剥がれ落ちてしまった。

結果、ゴリちゃんの大事な部分も、ぽろり。

「いやん、えっち♡」

「「「~~~~~~~~~~っ!?」」」

みんな瞬時に顔をそむけた。

しかし中にはソレをはっきり拝んでしまった人もいるようで、

「(で、でけぇ……)」

「(ああ……きっとそうだろうとは思っていたが、想像の上をいっていたようだ)」

「(ほ、本当はこいつ、男の中の男だろ……)」

仕方なくゴリちゃんは、おあつらえ向きにすぐ近くに生えていた植物から大きな葉っぱを取り、それで大切な部分を隠した。

「ひとまずこれで行くしかないわねぇ」

「「「(デカ過ぎて横から見えそうなんだが……)」」」

一つ別の懸念事項を残してしまったものの、これでどうにか危険な川を突破することができた。

「魔王の城まであと少しだ。しかし同時に警戒も強まるはず。慎重に進んでいくぞ」

ビビさんの言う通り、『索敵』ギフトを持つディルさんを筆頭に、周囲に十分な注意を払いつつ進むこと数時間。

やがて前方に見えてきたのは、奇怪な形状をした巨岩が乱立する一帯だった。

天高く聳え立つ塔のようなものもあれば、ぐちゃぐちゃとしたアメーバ状のもの、まるで何かの顔のようになったものなど、岩の形は様々だ。

複数の岩がくっ付いているものも少なくない。

どの岩にもあちこちに穴が開いていて、内部に入ることができそうである。

「ここがやつらの……ダイモン族の本拠地である奇岩地帯だ。岩の大部分が洞窟状になっていて、それを家として利用してる」

どうやらあの岩々が天然の家屋になっているらしい。

洞窟住居というやつだ。