軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第461話 彼らも呪いに侵されているようだ

ホブレッドキャップをサクッと倒した僕たちは、さらに魔大陸の奥地へと進んでいく。

「ゴアテさん、大丈夫ですか? 一人で何十人分の荷物を持ってもらってますけど……」

「ははっ、このくらい大した重さじゃない。そもそも俺は荷物持ち要因だからな。このメンバーたちの中じゃ、戦闘では大して貢献できないんだから当然だろう」

『巨人の腕力』というギフトを持つゴアテさんは、村の初期のころからその怪力を活かして戦闘でも貢献してきたけれど、最近は活躍の場面が減ってきていた。

戦闘系のギフト持ちたちと比べると、どうしても戦力として劣ってしまうせいだ。

それでも運搬役としては唯一無二の存在だ。

たった一人で大量の荷物を運べるため、今回の探索でも非常に重宝されていた。

ちなみに彼が抱えている箱は、ドワーフ製の特注品で、ドラゴンに踏まれても壊れない超強度という触れ込みだ。

中には食料やポーションなど、魔大陸を進むのに必要不可欠なものが大量に詰め込まれている。

「……待て。前方に、何かいる」

と、そのときディルさんが何かを探知したのか、足を止めた。

「魔物か……いや、人に近い感じも……? それに、建物……らしきものが……」

「この辺りはアルマル族の村が点在している一帯だ。もしかしたらその一つかもしれぬな」

ディルさんの言葉を受けて、ビビさんが「念のため迂回するとしよう」と告げる。

見つかったら確実に戦いになるだろうしね。

そうして少し迂回して進んでいたときだった。

「っ……気づかれたかもしれない。……こっちに近づいてくる」

「数は?」

「一、二、三、四……五人だ」

直後、草木の奥から複数の人影が飛び出してくる。

虎だ。

しかし魔族である証拠に、衣服を身に着けている。己の肉体で戦うためか、武器は持っていない。

「人間!? なぜ魔大陸に!?」

「武器を持っているぞ! しかも数が多い!」

「怯むな! 所詮は脆弱な人間だ!」

驚きつつも躍りかかってくる。

こうなったら戦うしかない。

「うふぅん、相変わらず良い身体ねぇ!」

「っ、こいつ、我々よりでかぐは……っ!?」

「はっ、たった五匹じゃ相手にならねぇ!」

「速っ……ぐほっ!?」

「拙者の刀の錆になるがよいでござる!」

「ちぃっ!」

「って、躱されたでござるうううっ!?」

局所的に苦戦したところもあったけど、相手は五人。

人数差もあって、あっという間に制圧することができた。

「人間どもめっ!」

「まさか、魔王様の命を狙って、乗り込んできたのではあるまいな!?」

「だとすれば生かしてはおけん!」

拘束されてもはや何もできない状態だというのに、親の仇でも見るような目で僕らを罵ってくる。

「やはり彼らも呪いに侵されているようだ」

「せっかくだし、アレで呪いを解呪できるか試してみよう。ゴアテさん」

「了解」

背負っていた箱の中から、あるものを取り出してゴアテさんが渡してくれる。

液体の入った小瓶だ。

「っ、何をしやが……ぶはっ!?」

それをアルマル族の一人に頭からぶっかけた。

「があああああああああああああああっ!?」

すると絶叫しながら悶え苦しみ出す。

「ビビさんのときと同じ反応だ」

「見て、黒い靄が身体から出ていくわ!」

やがてその靄が完全に消失すると、そのアルマル族は静かになった。

「う……お、俺は、一体……?」

「うん、どうやら上手くいったみたいだね。聖水でもちゃんと効果があるようだ」

使ったのは聖水だ。

大聖堂で大量生産したものだけれど、上級アンデッドすらも浄化させてしまったほどの高い性能を持つ。

大聖堂で邪神の呪いを解けるのなら、この聖水でも……と思って可能な限りたくさん持ってきたのだけど、しっかり効果があってよかった。

「他の人たちにも使おう」

そうして五人全員を呪いから解放したところ、先ほどまでとは打って変わって冷静になってくれたので、詳しい話を聞くことができた。

「俺たちは一体なぜここまで人間を憎んでいたんだ……?」

「分からん。全魔族を統治する魔王が誕生したとか何とか言って、いきなり村に来た連中に、何を勝手な話をと怒りを覚えたところまでは記憶しているが……」

「それからなぜか、その魔王とやらに従わなければいけない気持ちになってきたんだ。会ったこともないってのによ」

邪神の呪いというのは、たとえ魔王自体と接触しなくても、呪いに侵された者と接することで移ってしまうらしい。

まるで感染症だ。

ちなみに獣化状態から元に戻った彼らの姿は、ほとんど人間と変わらない。

強いて言えば、口の奥に僅かに尖った牙のようなものが見えるくらいか。

「それは魔王から伝播していく呪いによるものだ。私も同じ呪いに侵されていたが、無事に正気を取り戻すことができた。このまま魔王を野放しにしていたら、我々は魔王を信奉し、人間を憎む兵士として、永劫に戦わされ続けることになるだろう。たとえどれほどの犠牲が出ようともな」

ビビさんが忌々しげに言う。

「だから彼らに協力し、魔王を倒しにいくところなのだ」

「そうだったのか……ダークエルフの族長まで、自我を失って魔王の手駒にされるなんて……なんと恐ろしい話だ」

「そういうことなら俺たちにも協力させてくれ!」

「そうだな。このまま村に戻っても、村の連中は呪われちまってる。また同じ呪いに侵されちまうかもしれねぇ」