軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第442話 何このフリフリの服

宮殿に届いた大量の箱を見ながら僕は呟いた。

「プレゼントは要らないよって、あれだけ言ってたのになぁ」

結局、村人たちからも大量のプレゼントを貰ってしまったのだ。

みんな勝手に宮殿に持ってきて、置いていったらしい。

「せっかくだし、一応ぜんぶ確認した方がいいよね」

軽く千箱くらいあるので、それだけで一苦労だ。

「まずは誰のか分かってるやつから。これはミリアのだったよね」

ミリアのものは本人から直接貰った。

開けてみると、入っていたのは精巧に作られたミリアの人形だった。

しかも水着姿である。

見なかったことにして箱の中に戻す。

「こっちはセレンのだ。ええと……チョコレート?」

ハート形のチョコレートが入っていた。

「見た目は美味しそうだけど……何だろう。なんとなく危険な香りがするような……」

僕は瞬間移動でアカネさんのところへ飛ぶ。

「アカネさん、これ少し食べてみてください」

「チョコレートでござるか! 大好物でござるよ! ほ、本当に食べてもよいのでござるか!?」

「うん、ただし一口だけね」

嬉しそうにチョコレートに齧りつくアカネさん。

次の瞬間、まるで酔っ払ったかのようにその目がとろんとして、

「~~~~っ!? な、なぜか分からぬでござるが、急にセレン殿のことが愛しくなってきたでござるよおおおおおおっ!!」

……やっぱり。

後で分かったことだけれど、どうやらセレンのチョコレートの中には、最近エルフが開発したという惚れ薬が含まれていたようだ。

食べなくてよかった。

「これはフィリアさんからだね。あ、すごい、弓だ」

エルフたちの伝統的な手法で作られた弓らしく、素材には魔境のものが使われているようだ。

もちろん僕は弓なんて扱ったことないけど、せっかくだから今度ちょっと練習してみよう。

「そしてセリウスくんからは……矢?」

どうやらフィリアさんのものとセットで使うらしい。

しかもこの矢には魔法が付与されているようで、

「緑魔法だ。多分この矢、普通のやつよりも遠くまで飛ぶってことだね」

非力の僕でも威力を出せるようにということだろう。

「ゴリちゃんからも届いてる。……何このフリフリの服? 手紙も入ってる。『やっぱり村長ちゃんの女装姿は最高よぉん。また見せてほしいわぁん』」

見なかったことにして箱に戻す。

ノエルくん、バルラットさん、ゴアテさん、アレクさん、ガイさん、ランドくん、エルフの元族長レオニヌスさん、クリネさん、ドワーフの代表ドランさん、バンバさん、ドナといったお馴染みのメンバーたちがプレゼントをくれていた。

衣類だったりお洒落な雑貨だったり日用品だったりが多いかな。

「あっ、料理人のコークさんからも! しかもすっごく美味しそうなケーキだ! これは嬉しい!」

村一番の料理人であるコークさんのケーキをしばし堪能する。

セレンのチョコと違って変なものは絶対入っていないので、安心して食べれるね。

「ええと、あれ? これは各部局から?」

村政機関である七の部局ごとにプレゼントをくれたみたいだ。

要らないって各部局長にちゃんと伝えてたのに……。

まぁ職員一人ずつじゃなく、まとめてくれたのは、僕の意向を少しは汲んでくれたということかな。

村内外の王様とか貴族からのプレゼントは、その多くが明らかに高価な代物だった。

貴金属だったり宝石だったりあるいはその国伝統の工芸品だったり。

「う~ん、次からはやっぱり、あらかじめお断りしておこうかなぁ」

正直こんな高級品ばかり貰っても困ってしまう。

そんな中、エンバラ王国のマリベル女王からのプレゼントは、不思議な鉱物だった。

砂の塊のようなのに、バラの花を思わせる美しい形状をしている。

どうやらこれ、人工的に作られたものではなく、自然現象で生み出された代物らしい。

砂漠でしか産出される、それゆえ「砂漠のバラ」と呼ばれているようだ。

エドウのトコガワ将軍からは刀が、そしてキョウのメイセイ神王からは、

「……人形?」

男女セットの人形である。

どうやら雛人形と呼ばれるものらしく、キョウ国の伝統的な工芸品のようだ。

「男の子の方は僕に似てるような……? 女の子の方は……あれ? 最近どこかでこの顔を見た気が……っ、そうだ、ビューティーコンテストで、審査員長特別賞に選んだメイさん? いや、ただの偶然だよね、うん」

偶然というか、メイさんはキョウの出身だし、近しい印象を受けるのはむしろ当然のことかもしれない。

「次の箱は……えっ、ラウルから!?」

そこまで接点のない村人たちからの大量のプレゼントを一つ一つ確認していると、その中に予想外の人物からのものが交ざっていた。

「まさかラウルが僕にプレゼントを贈ってくるなんて!」

今まで一度もなかったことだ。

ちょっと感動を覚えつつ、ワクワクしながら箱を開けてみる。やけに縦に長い箱だ。

入っていたのは一本の剣だった。

しかもかなりの業物である。

手紙が入っていた。

『てめぇもたまには剣を振れ。雑魚がもっと雑魚になるぞ』

僕は苦笑する。

そういえば幼い頃は毎日のように剣の訓練をしていたっけ。

父上のように『剣聖技』のギフトを授かるかもしれないと、当時は期待されてたからね。

それが『村づくり』のギフトを授かってから、めっきり剣を手にする機会が減ってしまった。

つい先日、久しぶりに剣を握って手合わせする機会があったけれど、信じられないくらい手も足も出ず、元から弱いのにもっと弱くなってしまっていた。

「そうだね。今さら大して強くはなれないだろうけど、たまには訓練してみてもいいかもしれない」

ラウルがくれた剣を箱から取り出してみる。

「……でもこの剣は使わずに飾っておこう。ラウルから初めて貰ったものだしね」