軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第436話 タイトルは〝調教〟だよ

みんなが作る雪像にはやはりそれぞれの個性が出た。

「ああん、我ながらとぉっても素敵な雪像ができたわぁん!」

ゴリちゃんが作ったのは、自分自身をモデルにしたのかと思われるほど筋骨隆々の巨漢だ。

筋肉にこだわりのあるゴリちゃんらしく、細かい筋肉までしっかりと表現されている。

「私も自信作だ」

フィリアさんが作ったのはトイレの便器だ。

……うん、ノーコメントで。

「うふふ、あなたそっくりにできたわ♡」

アマゾネスの戦士長チェリュウさんは、夫であるノエルくんの像を作ったらしい。

意外にも芸術センスがあるみたいで、本物のノエルくんによく似ている。

……ちょっと、いや、かなり美化されてはいるけど、そこは触れないでおこう。

そのノエルくんは、数メートルもの巨大な盾を作っていた。

地面に対して平行に作っているので、普通に見るとリングか何かと勘違いしそうだ。

「拙者は雪だるまを作ったでござるよ!」

アカネさんは高さ十メートルを超す雪だるまを作ったらしい。

ただ、球がかなりいびつで、今にも顔の方が落ちてきそうである。

ぐらっ。

「あ、本当に落ちちゃう」

「……へ? ぶげこっ!?」

雪だるまの頭部はすぐ傍にいたアカネさんの上に落下し、潰れたカエルのような声が響いた。

「できた! ふむ、初めてにしては悪くない出来だ!」

自信満々なのはマリベル女王。

砂漠の国エンバラの現女王である彼女は、どうやら雪を見ること自体が初めてだったらしく、雪が積もってアカネさんに匹敵するほどはしゃいでいた大人の一人だ。

「これはもしかしてエンバラの王宮?」

「その通りだ、ルーク殿」

「すごい。ジオラマみたい」

王宮とその周辺が、雪によって緻密に再現されていた。

「いっひっひっひ、あたしのもできたよ」

「ネマおばあちゃん? って、なにこれ……?」

その一帯にずらりと並んでいたのは、犬のように四つん這いの格好をした人間の像たちだ。

よく見ると首輪らしきものを付けてる。

「タイトルは〝調教〟だよ」

「……そ、そう。でもこんなにたくさん、よく作ったね?」

「あたしはこいつらに指示を出しただけさね」

「「「イエス、マム!」」」

ネマおばあちゃんに敬礼をしているのは、元盗賊や元砂賊など、おばあちゃんによって更生した人たちだ。

彼らの中にはなぜか更生されるだけに飽き足らず、ネマおばあちゃんに師事するようになった者たちがいるのである。

そのうちの一人が、元盗賊のバール。

「はぁはぁはぁ……この犬のポーズの雪像を見ているだけで、身体がうずいてくるっす……」

……要するにドM集団ということだ。

一定数、そっちに目覚めちゃう人がいるのはどういうわけだろう……。

長く厳しい冬が和らぎ、荒野にも春の気配が漂ってきた。

そんな中、いつになく鼻息の荒いゴリちゃんが、とある提案をしてきた。

「ビューティーコンテストをやってみたいわぁん!」

「ビューティーコンテスト?」

「そうよぉん! 簡単に言うと、美を競い合う大会をやりたいの! アタシがこの村に来て、早一年半! 自分で言うのもなんだけれど、美を追求する文化が少しずつこの村に浸透してきたと思うのよ」

確かにゴリちゃんがこの村に来てから、全体的に村人たちの美意識が高まってきたように思う。

元々は化粧をする女性も少なかったのに、最近はみんな当たり前のようにやっているし、美容やファッションにも拘るようになってきた。

女性たちほどではないけれど、男性たちの間でも身だしなみを整えるのが当然といった空気になりつつある。

「だけど、まだまだアタシの理想には遠いわ! それで、みんなが美しさの目標を持てるよう、村の美自慢たちを大集結させて、美を競い合わせてみたいと思うの!」

「でも、美の基準なんて人それぞれなんじゃ……」

「うふん、確かにその通りよぉん、村長ちゃん♡ 凛々しさを美と考える人、可愛らしさを美と考える人、心の清さを美と考える人……色んな美があっていいと思うの。だけど、各々が自分の美を目いっぱい表現し、それを村のみんなで称え合うことで、それぞれの美が相乗効果で高まっていくと思うのよ!」

「分かるような分からないような……?」

ともあれ、ゴリちゃんが自分で主催するというし、こちらとしては好きにやってくださいという感じだ。

それから参加者が募られると、自薦・他薦で総勢二百名を超える応募があったという。

性別や年齢を問わずなので、かなり多彩な応募者らしい。

「村長ちゃんも応募があったわよぉん」

「何で!?」

「他薦でもオーケーだもの」

「いやいや僕は参加しないよ! 取り消しておいて!」

「あらぁん、残念ねぇ。でも、村長ちゃんが出ちゃうと余裕で優勝しちゃうから仕方ないわぁん。人気投票みたいになって、大会の趣旨からズレちゃいそうだし」

どうやら本人の了承が無くても他薦が可能なようだ。

僕のようなケースもあるだろうと思ったけど、予選が行われるため、予選会場に当人が来なければ失格扱いにされるという。

「代わりに村長ちゃんには予選の審査員をお願いするわぁん」

「え?」