軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第435話 小娘は別のこたつに移動されるとよいかと

今年は例年以上に寒さの厳しい冬になった。

そのせいか、村では〝こたつ〟が大流行した。

僕の前世の記憶から作った、暖房器具と机が一体になった家具だ。

村のドワーフたちに頼んで再現してもらい、去年から使っていたのだけれど、これがいつの間にか村で話題になり、気づけば工場で量産されて大々的に売り出されるようになったのである。

今年はさらに大ブームが来たようで、飛ぶように売れているとか。

そもそもギフトで作られたこの村の住居、断熱性能が高く、しかも空調完備なので別にこたつなんてなくても快適に生活することができるはずなんだけど……。

「……と言いつつ、僕もこたつを使ってたり」

足を入れてまったりしていると、なぜか心が落ち着くのだ。

果樹園で収穫したミカンを食べると、なお良い。

「確かにこたつはいいわね。のんびりするわ。こいつさえいなければ」

「そうですね。ぜひ小娘は別のこたつに移動されるとよいかと」

「……こたつの中で喧嘩しないでよ」

ミリアとセレンが互いの足を蹴り合っている。

「そういえばルーク様、村人の中にはこのこたつにハマり過ぎて、まるでヤドカリみたいにそのまま移動している者もいるそうですね」

「え、そんな人いるの?」

「あはは、何よそれ。さすがにそんなやついるわけないでしょ」

セレンが言う通り、そんな村人はいないだろうと思いきや、

「やはりこの村のこたつは素晴らしいでござるっ! どこへ行くにも離れられぬでござるよ! しかしそういうわけにもいかぬ! となれば、こたつのまま移動すればよい! 我ながら天才的なアイデアでござるな!」

……いた。

アカネさんだ。

本当にこたつの中に入ったまま頭だけ外に出し、ヤドカリのように村の中を移動している。

ちなみにエドウにもこたつは存在するようだけど、木製の小さなやぐらの中に火のついた炭などを入れ、そこに布団をかけるというものらしい。

こちらの方がこたつごと移動しやすそうな気もするが、小さいので大人が身体ごと中に入るのは難しいみたいだ。

一方うちの村で作ったこたつは巨人兵などと同様、魔力を動力としていて、机の裏側に暖房器具が付いていることから、身体ごと入りやすい。

「そしてこのミカンでござる! むしゃむしゃむしゃ! う~~~~んっ、やはりこたつの中で食べるミカンは格別でござるうううううっ!」

僕は思わずこたつの上に乗っかった。

よい子は机の上に乗ったりしちゃダメだよ!

「む? 急にこたつが重たく……」

「アカネさん」

「ルーク殿!?」

「こたつのまま家の外を移動するの、やめてください。さすがに品が無さ過ぎるし汚いので。村の子供たちも見てるし」

この人、エドウ国の藩主の娘のはずなんだけどな……。

「むぅ……仕方ないでござるな」

しぶしぶこたつから出てこようとするアカネさん。

「あれ? 背中がつっかえて、外に出られぬでござる……?」

どうにかこたつごと持ち上げるように出てきたアカネさんの姿に、僕は思わず叫ぶ。

「また太ってるじゃん!」

でっぷりと肥え太っていたのだ。

「こたつで食べるミカンが美味しくて……ついたくさん食べてしまったでござる……」

「糖尿病になっちゃうよ? ……またダイエットが必要みたいだね」

今年の冬は、雪も例年以上に降った。

いつも僕の背丈を超えるくらいは積もるのだけれど、今年は一番酷かったときで三メートル近くにもなった。

村の主要な道路には雪が積もらないよう、施設グレードアップによって「融雪性能」を付与しているというのに、それでも雪に埋もれてしまったほどだ。

村の住居の強度も心配になって、慌てて「頑丈さ」を強化した。

そんな大量の雪を有効活用(?)しようと、村人たちが挙って雪像を作り始めた。

動物だったり食べ物だったり、みんな思い思いのものを雪像で表現していく。

全体的に上手な人が多い。

せっかくだから僕も何か作ってみようかな……?

「できたわ!」

「……セレン、なにこれ?」

そんな中、セレンが作ったのは豚とカエルを融合させたような謎の雪像だった。

「分からないの? 猫よ、猫!」

「猫……」

どうやらセレンにはあまりセンスがないようだ。

対抗するようにミリアが割り込んでくる。

「下手過ぎて話になりませんね。ルーク様、ご覧ください。わたくしが作ったかわいらしいルーク様を!」

「ちょっ、また勝手に僕の像を……って、なにこれ?」

そこにあったのは、辛うじて人を模したと思われる雪の塊だった。

……うん、悪い意味でセレンのと甲乙つけ難しって感じだね。

「ま、まぁでも、上手い下手とか、そんなの関係ないからね! みんな自由に好きなものを作ればいいと思うよ!」

「おっしゃああああっ! 我ながらめちゃくちゃいいものができたぜぇっ!」

「マンタさん?」

「これが何か分かるかっ? くくくっ、そうだ! チ〇コだぁぁぁっ!」

「それはダメえええええええええええっ!!」

マンタさんが作った、そそり立つ〝棒〟を思い切り蹴り壊す。

「あああああっ!? せっかく作ったのによぉっ!? 好きなものを作っていいんじゃなかったのか!?」

「本当に何でもいいわけじゃないから!」

この後、エロ坊主のガイさんが作った女性の裸体像も壊した。