軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第432話 勝手に介入してしまってすいません

樹海の魔物の大群から要塞都市を救い、帝国の被害を完全に防いだことで、新皇帝アゼルダン=クランゼールから大いに喜ばれた。

「一度ならず、二度も我が帝国を救ってもらうとは。貴殿には感謝しかない」

「いえ、何の報告もなく勝手に介入してしまってすいません」

「そんなことは民の被害と天秤にかけて、あまりにも些末なことだ。気にすることはない(余に報告が来る前に情報を得て、しかもベガルダまで瞬時に加勢に向かうとは……各国が挙ってこの少年との良好な関係を築こうとするのが理解できる)」

大臣に操られ、暴走していた先代皇帝スルダンの兄と違って、新皇帝は非常に有能だった。

まだ二十歳くらいの青年なのに、被害国への誠意ある対応によって他国からの信頼を取り戻しつつ、さらに政治的な腐敗が続いていた帝国の再建にも尽力しているという。

「それにしても、どうして突然、樹海からあれだけの魔物が溢れ出してきたんでしょうか?」

「うむ、専門家は、貴殿が退けてくれたロックドラゴンに追い立てられ、スタンピードが発生したのではないかと言っておるが……ではなぜ、ロックドラゴンがあのような行動に出たのかについては、まったく見当もつかぬという」

「そうですよね……」

あのロックドラゴンを詳しく調べれば、もしかしたら何か原因が分かったかもしれない。

ただ、残念ながらもう海の底に捨ててきてしまった。

まぁ、そもそも暴れ回る巨大なロックドラゴンを調べること自体、不可能だっただろう。

結局、原因は分からずじまいだ。

「恐らく死の樹海には、あのロックドラゴンに匹敵するような魔物が他にもいるはずだ」

「あんなのが他にも……」

「また今回のようなことが起こるかもしれぬ」

そう考えると、帝国って物凄く危険なところにあるんだね……。

機竜や巨人兵のような古代兵器を発掘し、運用していたのも、本来はこうした事態に備える目的があったのだろう。

「そこでだ、ルーク殿。我が国にこれほどまでに貢献してもらっていながら、非常に厚かましいお願いかもしれぬが……ぜひ我が国の民たちも貴殿のギフトに登録してもらいたい」

「え?」

「聞けば、他国ではすでにそうしているというではないか」

「いや、それはなんていうか、成り行きというか……」

「そして万一、今回のような事態がまた発生したときは、力を貸してくれぬだろうか?」

神妙な顔で訴えてくる帝国皇帝。

「も、もちろん、力を貸すのは構いませんけど……その、なんていうか、帝国って、物凄い人口がいますよね……?」

「五百万は超えているはずだ」

「五百万!?」

多い! 多いよ!

すでに村人の登録数は一千万を超えていて、もはや今さらかもしれないけど、増え過ぎで怖くなってきてるんだけど!?

最近はもう村ポイントも余りまくっていて、村人を増やす意味もなくなりつつある。

なのであえて村人として登録しなくても、皇帝の期待には応えられるはず――

〈アゼルダンを代表する5894187人が村人になりました〉

「って、まだ許可してないのに勝手に!? しかも五百万どころか、ほぼ六百万人じゃん!?」

◇ ◇ ◇

帝国領とは、死の樹海を挟んだ反対側。

そこに広がるのは、激しい海流の影響で、一年を通して非常に荒々しく危険な海だった。

凶悪な波によって抉られた結果、海岸線には延々と険しい崖が続いている。

さらにこの一帯は樹海から近いこともあって、この地域に人の営みは一切なかった。

そんな、普段は人っ子一人いないはずの海岸に、五つの人影が存在していた。

「ほほほ、どうやら我々の予想は当たってしまったようですねぇ」

「できれば外れてほしかったがな」

「……放っておくと……人類が……滅びかねない……」

遠く海の向こうを睨みながら、人影たちはそんな言葉を交わす。

荒れ狂う海の先には、よく見ると微かに陸地らしきものが見えていた。

「どうされますか?」

人影の一人が、指示を仰ぐように問うと、全員の視線が一人の男へと集中する。

男は不敵に笑った。

「かつて四人の英雄たちによって滅ぼされたという、 魔(・) 王(・) が再臨した、か。……くくくっ、面白い。ならば今度は俺がその魔王とやらを倒し、新たな英雄になってみせよう! お前たち、俺に力を貸せ!」

恐れを知らないその宣言。

しかし他の四人はそれを荒唐無稽と笑うでもなく、

「「「はっ、 エ(・) デ(・) ル(・) 様、仰せのままに」」」

力強い忠誠を示すのだった。