軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第423話 ようやく活躍できますわ

準決勝の第二試合は、ラウル対セレン。

一方的な展開になってしまった第一試合とは異なり、こちらは凄まじく拮抗した戦いとなった。

縮地で距離を詰めながら激しく攻め立てるラウル。

それを二本の剣と、魔法で生み出した氷の盾で捌いていくセレン。

だけどセレンも守勢に回っているだけじゃなかった。

いつの間にかリング全体が冷気によって極限まで冷やされていて、段々とラウルの動きが鈍くなっていく。

「ちっ……身体がっ……」

デバフをかけられた状態になったラウルを、今度はセレンが一気呵成に攻め立てた。

このまま手足が凍り付いて動かなくなったら敗北は必至と理解したラウルは、猛烈な闘気を全身から漲らせて一か八かの賭けに出る。

そうはさせまいと、セレンもそれに応じ――

その結果、

「こ、これはっ……あ、相打ち!? 両者同時に手痛い一撃を喰らい、リング上に倒れ込んでしまったああああああああああっ!」

二人そろってダウン。

だけど先に立ち上がったのがラウルの方だった。

「セレン氏は立ち上がれず! ラウル氏の勝利だああああっ! 早くポーションをっ!」

今大会、屈指とも言える好試合となった準決勝第二試合だったけれど、残念ながらセレンはここで敗退。

昨年のリベンジを果たすことはできず、決勝にはラウルが進出したのだった。

この日は大会の最終日。

準決勝が午前中に行われると、午後には決勝戦で、王国一の強者が決定することになっている。

ただ、幾らエルフ印の高性能ポーションといえど、傷を癒すことはできても疲労した身体を完全に回復させることはできない。

準決勝の試合時間や内容によっては有利不利が出てくるし、せっかくの決勝がそれで盛り下がってはよろしくない、ということで。

「わたくしにお任せあれですわっ! わたくしの回復魔法にかかれば、傷も病気も体力もメンタルも、ぜ~んぶ治せますの! うふふふっ、ようやく活躍できますわっ!」

エミリナさんの力を借りることになった。

「なるほど、こいつはすげぇな。疲れも吹き飛んじまったぜ」

「うふぅん、これなら決勝戦、全力でやれるわねぇ♡」

ラウルとゴリちゃんも驚くほどの効能らしい。

そうして準備が整ったところで、

「さあ、ついに決勝戦です! まさに頂上決戦と言っても過言ではない対戦カードでしょう!!」

リングに上がってきた二人の戦士たちに、会場内からはもちろん、会場の外からも爆発するような大歓声と大拍手が巻き起こった。

その試合内容は、準決勝のラウル対セレンに勝るとも劣らないものとなった。

『剣聖技』のラウルと『拳聖技』のゴリちゃん。

剣と拳を極めた二人は、目にも留まらぬ速さで剣と拳を幾度もぶつけ合う。

その度にゴリちゃんの拳から鮮血が舞った。

さすがのゴリちゃんも、ラウルの剣を素手で受けるとノーダメージでは済まないみたいだ。

だけどダメージを受けるほど強くなるのがゴリちゃんだ。

血が飛び散るごとにパワーもスピードも増していき、段々とラウルを圧倒し始める。

「はっ! そうこなくちゃ面白くねぇっ!」

にもかかわらず、ラウルは一歩も引かなかった。

犬歯を剥き出して獰猛に笑うと、あろうことかパワーアップしているゴリちゃんを逆に押し返してしまった。

「ああんっ! こんなに激しい相手っ、初めてよおおおおおおんっ♡」

恍惚とした顔で叫ぶゴリちゃん。

身に着けていた衣服が弾け飛び、大山脈のごとき筋肉が露わになる。

「イクぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううっ!」

そんな嬌声と共に放たれたのは闘気の砲弾だ。

「出たあああああああああっ! これぞ、ゴリティアナ氏の最強奥義っ! 前回大会では優勝を決めた大技だああああっ!!」

高速で迫りくるそれを、ラウルは避けようとはしなかった。

それどころか闘気を纏わせた刀身で、ゴリちゃんの砲弾を斬り飛ばしてしまう。

「斬ったあああああああっ!?」

だけど砲弾は一撃では終わらない。

次々と撃ち出されるそれを、ラウルは返す刀で斬り落としていく。

しばらくその均衡状態が続いたものの、

「ぁんっ!」

「くっ……」

二人そろって闘気の輝きが勢いを失い始めた。

さすがの彼らも、生命エネルギーである闘気が枯渇しかけているみたいだ。

「この戦いっ……先に闘気が尽きた方がっ……負ける……っ!」

ディルさんが珍しく興奮した様子で叫ぶ。

結果はまさにその通りになった。

片方の闘気が失われ、ついに決着がついたのだ。

八千人もの応募者たちの頂点となったのは――