軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第400話 待ってる方もちょっと大変だね

失格になったマンタさんの後には、残りの枠を求めて続々とゴールに飛び込んできた。

「二十人目! はい、そこまで!」

「くそおおおおおおおおっ!」

ほんの僅かな差で二十一人目となった挑戦者が、がっくりと項垂れる。

ちなみにランドくんは十三番目でゴールし、本レースへの挑戦権を獲得した。

「後ろの方は結構もう諦めて歩いてるね。まぁ、二十人目までにゴールできないと意味ないから仕方ないか」

そうしてフィリアさんとの結婚を賭けた本レースへの出場者、二十人が決定した。

そのほぼ全員が、ギフト持ちという非常にハイレベルなメンバーとなった。

狩猟チームの一員や村の衛兵、元騎士に東方の剣士など、顔ぶれは様々。

種族的には人族が多いけれど、当然エルフもいるし、王国の北から移住してきた獣人もいた。

白熱の予選レースから、一週間後。

いよいよ魔境の森縦断耐久レースが開催されることになった。

スタート地点は、村とは反対側。

魔境の森の北側だ。

まだ秋だというのにすでに冬の寒さで、吐く息が白くなる中、二十人の出場者たちはバチバチと火花を散らし合っている。

「この魔境の森を縦断して、村に最初に辿り着いた人が優勝だよ!」

ゴールは荒野ではなく、村に設定した。

その分、距離が長くなってしまうけれど、広い荒野をゴールにしてしまうと、誰が最初に森を抜けてきたのかが分かりにくくなるためだ。

もちろん最短距離で森を突っ切るのが最速だろう。

だけどこの森の、特に奥深くは凶悪な魔物が多数徘徊する超危険地帯だ。

それを承知で強引に突破するのか、それとも遠回りになるが避けていくのかは、それぞれの判断次第である。

「一応、魔物避けのアイテムが全員に支給されているけれど、魔物への効果は絶対じゃないからね。あまり過信はしないように。それからもしギブアップしたいときは、支給した花火を打ち上げてね。瞬間移動ですぐに迎えに行くから。ギリギリになってからじゃなくて、ある程度、余裕をもってギブアップするように」

そう念を押したけれど、彼らの動きは、影武者たちの手も借りつつ、マップ機能で常にチェックしておくつもりだ。

万一の場合はギブアップ前に助けにいく予定だった。

「じゃあみんな、準備は良いね?」

「「「おおおおおっ!」」」

なんとしてでもフィリアさんを嫁に迎えようと、目を血走らせながら叫ぶ男たち。

「フィリアさん、合図を」

「うむ。……皆の健闘を祈る。よーい……スタート!」

フィリアさんの掛け声で、横一列に並んだ二十人が一斉に森へと飛び込んでいく。

「スタートしたね。何時間くらいで最初に戻ってくるかな?」

「距離だけでも三百キロ以上はある。迂回すればもっと長い。少なくとも丸一日はかかるだろう」

「丸一日か……待ってる方もちょっと大変だね……」

例のごとく空飛ぶ公園に乗り、空から森の様子を確かめてみるけれど、荒野と違ってこちらは木々が邪魔でほとんど見ることができない。

途中経過を確認できるのは、マップ機能が使える僕だけだ。

「(つまり、僕がこっそりセリウスくんをサポートしても、誰にもバレないってこと)」

村人強化を使ったりすれば、セリウスくんの優勝は間違いないだろう。

そんなことを考えていると。

「ルーク」

「セレン? セリウスくんのことが心配なの? うんうん、かわいい弟だもんね。やっぱりセリウスくんに勝ってほしいよね」

「違うわよ。勝ってはほしいけど、ズルをしてまで勝ってほしいなんて思ってないわよ」

「え」

「こういうのは自分の力で勝ち取らないとダメでしょ。もしかしてルーク、余計なことするつもりじゃないでしょうね? あの武闘会のときみたいに」

「ぎくり」

以前、村で開催した武闘会の決勝で、セレンを勝たせるために僕が秘かに村人強化を使ったことがバレてしまい、彼女にこっぴどく怒られたのだ。

「もしそんなことしたら、今度は死ぬまでずっと女装だから」

「そそそ、そんなことしないよ!?」

死ぬまで女装だなんて絶対に嫌だ!

セリウスくん……自力で頑張ってね……。