軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第40話 あんまり慕われてねぇからな

ひとまず荒野の村を後にした儂らは、自分たちの村に戻りながらも、未だに夢でも見ているのではないかという思いに囚われていた。

「立派な二重の石垣に、巨大な作物がなる畑……数百人もの村人たちはみんな至って健康そうで、誰もが清潔な家屋に住んでいる……それに公衆浴場や教会まで……」

そして極めつけは、あの魔物だ。

どうやらあの村では日常的に魔境の森に入り、魔物を狩っているらしい。

儂らが住む村では、アルミラージ一匹でも追い払うだけで精いっぱい。

オークなんかが現れた日には、村が全滅してもおかしくないだろう。

「マジであれにはビビったぜ……。やたらと可愛い子を見つけたと思ったら、後ろからオークだからな……にしても、ほんと可愛かったな、あの子」

「……お前はあの子の倍以上の年齢だろうが」

加えてあのグレートボア。

あの巨大な猪の魔物によって、百人規模の部隊が壊滅させられたことがあるとの話も聞く。

それをあの村の連中はたった十数人で?

どんな冗談だろう。

あれが本当に僅か半年で作られた村なのだろうか?

いや、そもそももはや村という規模ではないのだが。

「あの少年村長のギフトの力だとは言っていたが……」

俄かには信じがたい話だ。

しかもこれまた信じがたいことに、彼らは我が村を丸ごと受け入れてくれるという。

「村に戻ってこの話をしても、なかなか信じてくれそうにないな」

「親父あんまり慕われてねぇからな」

「……誰のせいだと思ってるんだ、このバカ息子が」

◇ ◇ ◇

その後、マックさんをはじめとするマオ村の人たちが、こぞってこの村にやってきた。

「ほ、本当だったんだ……」

「こんな荒野に 街(・) があるなんて……」

「ほれ見ろ、儂の言った通りだろうが!」

「俺はてっきりマック村長が耄碌して、おかしなことを言っているのかと……」

どうやら実際に見るまでは半信半疑だったみたいだ。

「どうも、僕が村長のルークです。皆さんを歓迎します」

「本当に少年だ……」

「彼がアルベイル卿のご子息か……?」

「な、なぁ、あれ、何だ? あの家のところに置かれたデカいの……」

「「「~~~~っ!?」」」

挨拶のために出ていったけれど、彼らの注目は僕よりも家の傍に置いたソレに集まってしまった。

「あれはグレートボアの頭蓋骨です」

よっぽど狩りに成功したのが嬉しかったのか、セレンが目立つところに飾っちゃったんだよね……。

威圧的すぎるから、せめて村の端っこにしてって言ったんだけど。

「「「ぐ、ぐ、グレートボア!?」」」

「まだお肉余ってるんで、よかったら食べてみますか?」

オーク肉ほどじゃないけど、結構美味しかった。

量が多くてすぐには食べ切れそうにないので、セレンに冷凍してもらうか、燻製にして保存しようかと思っている。

「「「……」」」

「あ、それじゃあ、住む場所を作りますね」

それから僕は彼らの目の前で新たな長屋を作成してみせる。

今後も突然、村の中で施設が出現することがあるので、今のうちに説明しておいた方がいいだろうと思ったからだ。

「い、一瞬で……家が……」

「これは夢か……?」

こうしてマオ村の人たち計92人が、新たな村人になったのだった。

けれど、村人の増加はそれだけにとどまらなかった。

僕が「周辺にも困ってる村があったら声かけていいよ」と言ったこともあって、次々と村を捨てて集まってきたのだ。

よっぽど今回の増税が苦しかったのだろう。

また長屋をたくさん作らないとね。

ちなみに村にやってきた人を最初に発見し、村まで連れてくるのは主に元盗賊たちだ。

おばあちゃんとミリアのお陰で、今や完全に更生されたけれど、さすがに罪を犯したことのある彼らを他の村人たちと同じように扱うわけにはいかない。

そのため彼らの住居は、建物こそ普通の村人と同じ長屋だけれど、内石垣と外石垣の間に設けられている。

そして交代制で、外石垣から荒野を監視してもらっていた。

『ルーク村長、また新たな移住希望者のようです』

『うん、分かった』

特に役立っているのが、『念話』のギフトを持つサテンだ。

あのとき僕を騙して脱獄しようとしていた彼も、今ではすっかり生まれ変わって、村に貢献してくれている。

直接、僕の頭に報告が来るので非常に助かっていた。

「でも、牢屋に入ったままの盗賊がまだ二人だけいるんだよね」