軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第381話 死んじゃいますぅ

クロマさんはめちゃくちゃ危険な人だったけれど、約束通りアンデッドの一掃に力を貸してくれることになった。

といっても、さすがに彼女一人で大量のアンデッドを浄化していくのは難しい。

そこでまずは僕があちこちに霊園を作成。

〈霊園:明るく綺麗な墓地。墓石の風化防止。盗掘防止。アンデッド化防止。安らかな眠りを保証します〉

どうやら並のアンデッドだと、この霊園内に立ち入るだけで浄化されてしまうらしいので、あとはクロマさんがアンデッドを霊園に追い込んでいくだけだ。

正確には、クロマさんというより、リッチがアンデッドを誘導した。

クロマさんがアンデッドを操るにはいちいち眷属化しなければならないのに対し、アンデッドの王であるリッチが命じると、簡単にアンデッドが命令に従ってくれるのだ。

リッチを浄化させず、クロマさんの眷属にしておいてよかったかもしれない。

「なんであたくしがこんなことしなくちゃならないんですのおおおおおおっ!」

「うるせぇぞクソリッチぃっ! 黙ってわたしの言うことを聞いていればいいんだよぉっ!」

クロマさんは長い髪を振り乱しながら、鞭でリッチを何度も打つ。

「こんなやつに支配されるくらいなら、浄化された方がマシでしたわあああっ!」

そうしてあっという間に、この地域一帯からアンデッドがいなくなったのだった。

「あ、あの……こ、ここは……」

「僕の村だよ」

「ひ、ひ、人が……たくさんいるんですけどぉ……か、活気もあって……みんな、明るくて、幸せそうで……どどど、どう考えても、陰キャのわたしがいるような、場所じゃないですぅ……」

僕はクロマさんを村に連れてきていた。

「村」というイメージだったらしいクロマさんは、もはや大都市と化しているこの村の様子に圧倒され、長い前髪で顔を完全に隠してしまう。

彼女を村に連れてきたのは外でもない。

クロマさんとリッチを野放しにしているのは色んな意味で危険なので、僕の目が届く場所にいてもらった方がいいと思ったのだ。

「ししし、死ぬ……こんなところにいたら……わたし……死んじゃいますぅ……」

とはいえ、普通にこの村で暮らすのは現実的ではないだろう。

すでに顔がアンデッドに負けないほど真っ青で、今にも死んで本当のアンデッドになってしまいそうだし。

「大丈夫。ちょうど良い場所があるんだよ」

そう言って彼女を案内したのは、ダンジョンの中だった。

二十一階層から二十五階層。

そこはアンデッドモンスターが徘徊する墓地フロアになっているのである。

「くっ、空気がっ、気持ちいいですぅっ……さっきまでは、死ぬほど息苦しかったですけどぉ……」

僕からすれば、むしろどんよりとしていて気が滅入ってしまいそうな場所だけれど、クロマさん的には好環境らしい。

「え? こここ、こんな良いところに、住んでいいんですかぁ……?」

「うん。ダンジョンマスターのアリーには伝えておいたから。ここにいるアンデッドたちも、好きに扱ってくれて構わないよ。食べ物も定期的に持ってきてあげる」

「ほほほっ、本当ですかぁっ!? そ、そんなに良くしていただけるなんて……ななな、何か裏があるとしか、思えないですぅ……」

「別に裏なんていないよ?」

……あるけど。

「ごくたまーに冒険者が来ることもあるけど、広いから滅多に遭遇することはないと思うよ。戦ったりはしないでね?」

「そそそ、そのときはもちろん、全力で逃げますぅっ……」

こうしてクロマさん(とリッチ)は、村のダンジョンで暮らすことになったのだった。

なお、リッチはずっと死んだような顔をしている。死んでるんだけど。

「う、うへへへ……リッチちゃぁん? わ、わたしと一緒に、ここで楽しく暮らしましょうねぇ……?」

「何でこんなことに……」

「返事はどうしたぁっ!?」

「ひぃっ……わ、分かりましたのよっ、ご主人様ぁっ!!」