軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第377話 全部で百本くらいあるから

「どっせええええええいいっ!」

「~~~~ッ!?」

ゴリちゃんが繰り出した蹴りが、トロルマミーの右腕を直撃。

腐乱した腕はあっさりと粉砕し、そのままだらんと肩から垂れさがるような形になった。

しかしトロルマミーは垂れた腕を逆の手で掴むと、そのまま無理やり肩に付け直す。

すると何事もなかったかのように、元通りになってしまった。

「んもう、これじゃあキリがないじゃなぁい!」

トロルマミーを圧倒しているゴリちゃんだったけれど、残念ながら簡単には決着がつきそうにない。

どんなにダメージを与えても、すぐに自己再生してしまうせいだ。

他の上級アンデッドと対峙しているみんなも大いに苦戦していた。

セレンたちがやり合っているデュラハンに至っては、硬い鎧で身を護っているため、ダメージを与えることすら容易ではない。

「また消えやがった!」

「次はどこから出てくる!? っ、ランド、後ろだ!」

「なっ……がぁっ!?」

グリムリーパーは影の中に潜り込むことで姿を一時的に消すことができるようで、その神出鬼没な動きに、バルラットさんたちは翻弄されていた。

「なんという剣捌きだ……っ!」

「しかもこいつ、ゾンビとは思えねぇ駆け引きをしてきやがる!」

リビングアーマーと戦っているマリベル女王たちも劣勢だ。

『戦乙女』の女王と『闇黒剣技』のカシムが二人がかり挟み込んでも、なかなか攻撃が当たらない。

頼みの綱は、アンデッド相手に有効な浄化魔法を使えるガイさんだ。

対峙しているヒュドラゾンビは、浄化の光を受けて自己再生が働かなくなっていた。

このままヒュドラゾンビを倒すことができれば、後は順番に片づけていけばいいだけだ。

「うふふ、そうはさせませんわ?」

だがそのときリッチが新手を呼び出した。

次々と現れる下級のアンデッドたちが、ガイさんに集中的に殺到していく。

「むう、こやつらの相手をしている場合ではないというのに……」

ガイさんを封じられてしまうと、こちらとしてはかなり厳しい。

「うぅ……」

「あ、またアカネさんが目を覚ましそう」

どごっ。

「ふぎゃっ!? ……ガクッ」

アカネさんのお腹を殴って眠らせておいた。

とそこへ、影武者の僕が瞬間移動で姿を現す。

「ちょうどいいところに来た。持ってきてくれた?」

「うん。とりあえず十本。全部で百本くらいあるから、順番に持ってくるね」

「助かる」

影武者から受け取ったのは、液体の入った小瓶だ。

僕はそれをベガレンさんたちに渡していく。

「ルーク様、これは?」

「聖水だよ」

「聖水!?」

「うん、こういうこともあろうかと思って、ミリアに頼んで大量に作ってもらっていたんだ」

聖水。

読んで字のごとく聖なる水のことだ。

元は普通の水なのだけれど、神様にお供えし、何度も祈り捧げ続けていくことで、不浄な存在に効力を持つ聖水になるのだという。

もしくはガイさんのような浄化魔法を使える人が、水に魔法付与を施すことでも作ることができる。

「効果は捧げた祈りの質や量に比例するというけど……」

あの上級アンデッドに効くかどうかは試してみないと分からないけど、他に手がないしね。

幸い百本もあるそうなので、遠慮せずがんがん使ってみるとしよう。

「というわけで、みんなでこれを投げつけちゃって」

「「「分かりました!」」」

まずは狙いを定めやすいヒュドラゾンビやトロルマミー目がけて、ベガレンさんたちが一斉に聖水を瓶ごと投擲した。

パリンパリンパリンッ……。

直撃と共に瓶が割れて、中から聖水がぶちまけられる。

「「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!?」」

「あっ、効いてるみたい。めちゃくちゃ痛そうにしてる」

聖水がかかった箇所が瞬く間に溶けていく。

しかもまったく再生する気配もない。

「な、何ですのっ!? っ……まさかそれは、聖水!? でも、この子たちには並の聖水など効かないはずですの……っ!」

予想外のことにリッチが驚いている。

「どんどん投げていこう」

「「「はいっ!」」」