軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第263話 動物たちを狙ってる

ここ荒野の村は、北には魔境の森が、東には魔境の山脈が存在している。

そのため魔物が襲来する可能性は、他の都市よりもずっと高い。

実際、オークの大群が村に押し寄せてきたり、ツリードラゴンが迫ってきたりした。

だけど最近は立派な城壁と村の優秀な戦士たちのお陰で、魔物の脅威を感じることは滅多にない。

飛行系の魔物に対しては城壁も無力だけど、これも弓が得意なエルフたちが対処してくれている。

『村長、東の空からかなり大きな魔物が接近してきています!』

そんなある日、サテンから念話があった。

宮殿最上階の部屋にいた僕は、慌ててバルコニーに出て東の方へと目を向ける。

「うわっ、ほんとだ!」

こちらに向かって来ていたのは、全長五、六メートルはあろうかという巨大な魔物だ。

「あれは恐らくワイバーンね」

僕を追ってバルコニーに出てきたセレンが言う。

「っていうと、ドラゴンの亜種の?」

「そうよ。ドラゴンほどじゃないけど、硬い鱗を持つわ。地上から矢を放っても、まともにダメージを与えられないかもしれないわね」

セレンが言う通り、いつものように飛行系の魔物に対処しようと出てきたエルフたちが、ワイバーンに向かって矢を打つも、あっさり鱗に弾かれてしまった。

そうこうしているうちに、ワイバーンは一つ目の城壁を軽々と越え、村の周辺を囲む農業地帯へと至ってしまう。

「放牧場へ向かってるわ」

「もしかして動物たちを狙ってる!?」

うちの動物たちを襲うつもりだろう。

僕はセレンを連れて放牧場へ瞬間移動する。

「グルアアアアアアッ!!」

すると今まさに空から猛スピードで滑空するワイバーンが、放牧場にいた一匹の牛へと躍りかかるところだった。

……って、あれ?

恐らくワイバーンは、鋭い爪を有する足で牛を捕まえ、そのまま空に飛んでいくつもりだったのだろう。

だけどそれは叶わなかった。

というのもうちの村の牛、めちゃくちゃ大きいのだ。

「……ワイバーンとそれほどサイズ変わらないじゃない」

「う、うん」

当然、そんな巨大な牛を捕まえて飛翔することなどできず。

「ブモオオオオオオオオオオッ!」

「~~~~っ!?」

暴れる牛にあっさり振り払われてしまうワイバーン。

さらに巨大牛は猛牛よろしく、反撃とばかりにワイバーンに頭から突進を見舞う。

「グルアッ!?」

ワイバーンは墜落して地面を転がった。

「「「ブモオオオオオオッ!!」」」

そこへ仲間のピンチを助けようと、他の牛たちも押し寄せてくる。

多勢に無勢の中、ワイバーンは慌てて空へと飛び上がると、ここの牛を狙うのは自殺行為だと悟ったのか、そのまま逃げていった。

「ルーク殿!」

「あ、フィリアさん。ワイバーン、逃げていきました」

「……まだギリギリ届くはず」

フィリアさんが飛んでいくワイバーンに向かって矢を放った。

風を纏いながら猛スピードで空間を貫いたそれはしかし、直前で危険を察したワイバーンが軌道を変えたことで、回避されてしまった。

「むう、躱されたか」

「追いかけますか? また来たら困るし」

「追いかけると言っても、どうするのだ?」

僕はいったんミリアとフィリアさんの二人を連れて、城壁のところまで瞬間移動する。

逃げるワイバーンに先回りする形だ。

だけどワイバーンはもっと高度を上げていて、もはや簡単には矢が届かない距離だった。

「どうするつもりよ?」

「こうするんだ」

僕は三次元配置移動を使って、僕たちが乗っている城壁を動かした。

ズゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

平面上しか移動できない配置移動と違って、三次元配置移動は施設を空間的に移動させることができる。

これを応用すれば、空を自由に飛ぶことが可能なのだ。

「なるほど、このような手が……」

「ちょっ、こんなことまでできるの!?」

「うん。これなら近くから攻撃できるよね」

僕は城壁で行く手を阻むと、さらにそのままワイバーンに向かって突進させていった。