軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第251話 目が開きました

私の名はマリア。

神に仕える敬虔な信徒です。

この国最大の信教拠点であるアレイスラ大教会にて、シスターとして働いていた私ですが、教会長から直々に使命を与えられ、旧アルベイル領北部に位置する荒野の村へと赴くことになりました。

教会長がおっしゃるには、そこに非正規の教会が存在しているというのです。

誤った教えを広めるなど、神を冒涜する行為に他なりません。

信仰と義憤に燃えながら、私は決死の覚悟でその村へと侵入。

秘かに調査を行ったのです。

その結果――

「ああっ、ミリア様! 私はようやく目が開きました! ミリア様がおっしゃる通り、ルーク様こそが、神々が地上に遣わされた救世主に間違いありません!」

――私は真理へと至ってしまいました。

溢れ出る涙。

高鳴る胸の鼓動。

長らく教会で信仰を学んではまいりましたが、そこでは一度も味わうことができなかった感動で、私は先ほどから身体の震えが止まりません。

「その通りです、マリア。ルーク様こそ神に等しいお方。この地上人類すべてを支配し、導く存在なのです」

力強く頷いてくださるのは、私の目を開かせてくださったミリア様です。

メイドというのは仮の姿。

彼女こそが、真の伝道師と言っても過言ではないでしょう。

「真実はアレイスラ大教会などにはありません。この村に、この教会に、そしてルーク様にあるのです」

思い返してみれば、アレイスラで学んだ教えには、幾つも首を傾げざるを得ない部分がありました。

例えば祝福です。

多額の献金を求める祝福は、それゆえにごく一部の貴族や金持ちにしか受けることが許されませんでした。

神官たちによれば、神の力を得るために相応の献金が必要なのは当然のことで、安易に誰でも彼でも祝福を施してしまうのは、神への冒涜に他ならないそうです。

ですがその貴族や金持ちの献金も、元を正せば、領民から取り立てた税金だったり、庶民の労働者たちの頑張りによるものだったりするのです。

中には汚い方法でお金を稼いだ者もいるでしょう。

そんな献金が、果たして本当に神々が喜ばれているのでしょうか。

しかもアレイスラでは、信徒からいただいた献金を湯水のごとく使っていました。

神官たちは宮殿と見紛うような華美な住居で寝起きし、毎晩のように豪勢な食事と酒を楽しんでいるのです。

貧しい人たちのために、そのお金を施そうなどということは一切ありませんでした。

一方でルーク様とミリア様は、この何もない荒野に村を作り上げ、長引く戦乱に喘ぐ人々を分け隔てなく迎え入れていかれたのです。

どんな移住者も追い返すことなどなく、それどころか何不自由ない生活を全員に保障し続け、やがて王都にも勝る都市を築き上げてしまわれました。

そして、ついには王都をも手中に納めようとしていたアルベイル軍を打ち倒し、この戦乱の世を終焉へと導いてしまったのです。

……聖書である『ルーク様伝説』の第五巻に書かれていたので間違いありません。

ここでは『神託』のギフトを持つミリア様によって、身分にかかわらず、無料で誰でも祝福を授かることができます。

今では村人のおよそ十人の一人が、ギフトを持っているほどです。

「「「ルーク様っ! ルーク様っ! ルーク様っ! ルーク様っ! ルーク様っ!」」」

初めて見たときは驚きましたが、村の信徒たちのこの熱狂ぶりも当然のことでしょう。

「私もルーク様のために、この身を捧げることを誓います! ああ、ルーク様万歳っ!」

◇ ◇ ◇

「うーん……最近ちょっと愛村心が「超」になる村人が多過ぎないかな……?」

最初期から村にいる人たちはともかく、まだ移住して間もない村人まで、気づくとすぐに愛村心が「超」になってしまうのだ。

例えばこの女性とか、村に来てからせいぜい一か月しか経っていないはず。

マリア

年齢:24歳

愛村心:超

適正職業:シスター

ギフト:なし

最初は〈侵入者〉とマップ上に表示されていたので、警戒していたくらいだったんだけどなぁ……。