軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第222話 教会で祈ってこようかな

ドリアル対セリウスくんの戦いは、あっけない幕切れとなった。

逃げ場を無くして万事休すかと思ったそのとき、セリウスくんはドリアルに向かって思い切り跳躍した。

さすがにそんな距離は無謀だろうと思いきや、風の後押しを受けることで飛距離はどんどん伸び、そのまま回転の中心にいるドリアルの頭にドロップキック。

その衝撃で思わず手放してしまった鎖と斧が観客席に飛んでいくというハプニングはあったものの、ドリアルが気絶したことでセリウスくんの勝ちが決まった。

なおその鎖と斧は、観客席の前に石垣を作ることで防いだ。

「セリウスくん、やったね! 次は準決勝だ! 頑張って!」

僕はセリウスくんに全力で拍手を送った。

「ちょっと。私が勝ったときより嬉しそうじゃない」

セレンが不満げに言ってくる。

「そ、そうかな……?」

誤魔化してはみたけれど、正直なところ、僕はノエルくんかセリウスくん、この二人のどちらかに優勝してほしかった。

だって二人ならきっとまともなお願いをしてくれるはずだし!

セレンはどんなお願いしてくるか怖いし、ゴリちゃんはもっと怖い。

二人にだけは優勝してもらいたくなかった。

ともあれ、ついに四人にまで絞られ、次が準決勝だ。

その対戦カードは、セレン対ノエルくん、そしてゴリちゃん対セリウスくんである。

いよいよ武闘会も大詰めを迎え、観客も早く次の試合を見たいと興奮している。

でも残念ながら、準決勝は明日だ。

決勝も明日なので、明日にはすべての決着が付くことになる。

「……ちょっと教会で祈ってこようかな? ノエルくんかセリウスくんが優勝してくれますように、って」

そしていよいよ武闘会の最終日を迎えた。

泣いても笑っても、今日で優勝者が決まる。

「ノエルくん! 頑張ってね!」

「村長?」

僕は試合前にノエルくんを激励しに行った。

なぜか不思議そうな顔をされる。

「え? もしかして僕の応援、嬉しくなかった……?」

「そ、そんなことはないですっ! ただ……相手がセレンさんなので……村長はてっきり彼女を応援しているのかと……」

「ま、まぁ、そうだね……もちろん、セレンも応援してるよ! でもノエルくんにも頑張って欲しいんだ!」

「村長……うん、おれ、頑張る」

拳を握り締めて頷くノエルくん。

ほんとに頑張ってセレンの優勝を阻止してほしい。

とはいえ、僕にできるのは応援だけ……なーんて思った?

ふふふ……実は僕には秘策があるんだよね。

リングの外からでも、試合中のノエルくんに加勢する方法が。

そう、村人強化スキルだ!

魔法でもないし、傍からは使っていることなんて分からない。

つまり誰にもバレることなく、こっそりと力を貸すことができるのだ。

『ダメです、ルーク。それは反則です。村長として、どのような結果になったとしても潔く受け入れるのです』

なんか心の天使が諫めてきた!?

『はっ、馬鹿を言え。セレンやピンクマッチョが優勝したら、何を要求してくるか分かったもんじゃねぇんだ。後悔したくなけりゃ、ここは確実な手を取るべきだろ。どうせバレねぇんだしよ』

心の悪魔も現れた!?

『悪魔の言葉などに耳を貸してはいけません。ここまで正々堂々と戦ってきた村人たちのためにも、最後まで公平を貫くのです』

『何が公平だ。だいたいベルリットのやつが悪いんだよ。あいつがふざけた賞品を提示しやがったからな。だからお前は何をやっても悪くない。それに心配すんな。さっきわざわざ激励に行ったんだ。あれでやる気が出て、普段より力が出たって思うだけだろうよ』

『ルーク、自分の良心に従うのです』

『ここまでお前はよく村人たちに尽くしてきただろ? ここでちょっとズルしたところで、誰もお前のことを責めたりはしねぇよ。だいたいこいつはただの楽しいイベントだ。公平だ何だって、んなものは些末なこと。要は盛り上がれば成功なんだよ。そして事前の予想じゃこの試合はセレンが優勢。そんな前評判を覆してノエルが勝てば、めちゃくちゃ盛り上がると思わねぇか?』

『あ、あれ、おかしいですね……悪魔の言葉の方が遥かに長い……』