軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第195話 誰だと思ったのよ

「ねぇ、見て、ルーク!」

「へっ?」

セレンの声に振り返った僕は、思わず変な声を出してしまった。

確かにセレンの声だったはずだ。

なのにそこにいたのは、謎の美少女だったのである。

「ど、どうかしら?」

もじもじと恥じらうその様子に、僕はハッとした。

「え? もしかして、セレン……?」

「そうよ! 誰だと思ったのよ!」

見違えるほど綺麗になっていて、一瞬誰だか分からなかったのだ。

青い髪にかけられたゆるふわなパーマ、女の子らしい可愛らしさが際立つ服装、そして派手すぎない適度で自然なメイク。

セレンが普段の二割増し、いや、三割増しで美少女になっていた。

「うふふ! バッチリでしょう、村長さん?」

「ゴリちゃん……?」

もしかしてこれ、ゴリちゃんがやったの……?

セレンが小さなゴリちゃんになってしまうかもって戦々恐々としていたのに、ちゃんとセレンに合った完璧な美容を施してくれたようだ。

「どこからどう見ても最高でしょ? だって、アタシの美容人生の中でも一番の自信作だもの! 不思議なことにあそこだと普段の何倍も上手くいったのよねぇ」

もちろんギフトの効果もあったかもしれないけど、きっとその大部分はゴリちゃんのセンスのなせる業だろう。

「……う、うん」

「あら、ダメよ、村長さん! ちゃんと本人に面と向かって言ってあげなくちゃ!」

ゴリちゃんが僕の肩を掴み、強引にセレンの方へと向かせる。

って、力が強すぎぃっ!

「ええと……セレン、すごく可愛いと思うよ」

「~~~~~~っ!」

セレンの顔が一瞬で真っ赤になった。

それから恥ずかしがりながらも、ぼそぼそと言う。

「も、もう一回……もう一回、言って?」

ちょっ、僕だって恥ずかしいんだけど!?

「……す、すごく可愛い」

「~~~~~~っ!」

悶えるセレンと一緒に、ゴリちゃんも全身をくねらせて悶え出した。

「あああああああああんっ! 青春っ! 青春ねぇぇぇぇぇっ! アタシも誰かに言ってもらいたいわぁぁぁぁぁぁんっ!」

なんていうか、雰囲気がぶち壊しだと思う。

「こ、これは一体どういうことですかっ!?」

と、そこへ割り込んでくる人影があった。

ミリアだ。

「あんなにイモっぽかった女が、なぜここまで変身を……」

「誰がイモよ!」

「くっ……認めたくはありませんが、このままではギリギリわたくしが不利に……」

「何でギリギリなのよ! 明らかにぶっちぎってやったし!」

悔しがるミリア。

そんな彼女に音もなく近づいたのは巨漢、いや、ゴリちゃんだ。

「もしかしてアナタも美しくなりたいのかしらん?」

「っ!? あ、あなたは……?」

「ちょっ、ちょっと、ゴリちゃん! ダメよ! こいつはこのままでいいの!」

セレンは慌てて止めようとしたけれど、ゴリちゃんはノンノンと首を振った。

「ごめんなさいね、そんなわけにはいかないのよ。だって、アタシは美の伝道師だもの。相手を選んではいけないのよ!」

「そんな……」

絶望的な表情を浮かべるセレン。

「さあ、ミリアちゃん! 行きましょう! アナタも間違いなく最高の素材よ! きっと最高に美しくなれるわぁっ!」

「は、はぁ……?」

半信半疑のミリアだけれど、ゴリちゃんの勢いに負けて連れていかれる。

一方のセレンは地面に両膝をついて項垂れるのだった。

「どうでしょうか、ルーク様」

ミリアもまた、セレンに負けない変貌を遂げていた。

長い黒髪はいつも以上に艶々のサラサラで、より大人っぽさを強調させるメイク。

そして抜群のプロポーションを最大まで強調するような、大胆なドレスに身を包んでいる。

胸元がぱっくり開き、谷間が丸見えなのだ。

しかもスカートにはスリットが入っていて、長い美脚が露になっている。

セレンが可愛らしさを引き立てる方向だったのに対し、ミリアは綺麗さを際立たせるものとなっていた。

その人に合ったコーディネートをしているのだろう。

「う、うん……すごく綺麗だと思う」

「~~~~~~っ!」

大人っぽいミリアが、子供のように頬を赤くする。

そこへセレンが乱入してきた。

「何よ! 私とどっちがいいっていうの!?」

「ふふふ、わたくしに決まっていますよね、ルーク様?」

「私に決まってるでしょ!」

「いえいえ、わたくしですね」

喧嘩しないで!

「ああん! 村長さん、これは本当に困っちゃうわね! その気持ち分かるわん! アタシも最高傑作が同時にできちゃって、どっちが一番かなんて選べないもの!」

ゴリちゃんが勝手に僕の気持に寄り添ってくる。

「でも大丈夫よん! アタシが素敵な解決法を教えてあげるから!」

「解決法……?」

ムキムキの拳を振り上げ、ゴリちゃんは力強く主張したのだった。

「どっちか選べないなら、両方選べばいいのよ~~~~~~っ!」

……うん、何の解決にもならない。