軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第184話 てめぇのことが一番嫌いなんだよ

「……ラウルっ?」

「兄貴はやらせねぇぜ、クソ親父」

「っ……貴様っ……」

割り込んできたのはラウルだった。

その行動と言葉から状況を察したのか、父上が怒鳴り声を上げる。

「ラウル、貴様っ……この私を裏切る気かぁっ!」

同時に弾き飛ばされたラウルは、すんなり着地を決めながら鼻を鳴らした。

「はっ、裏切るだと? この俺が、一体いつからてめぇの味方になったってんだよ?」

「っ……」

「俺はな、ルークのクソ野郎が大嫌いだ。だがな、それ以上に昔からずっと、てめぇのことが一番嫌いなんだよっ、クソ親父ぃぃぃっ!」

叫びながらラウルが躍りかかる。

「てめぇが俺に何をしてくれたっ!? 俺と母上を城の隅っこに追いやり、顧みることもなかったくせに、てめぇと同じギフトを授かった瞬間から父親面しやがってっ!」

「っ! ……っ!」

「俺は幼い頃に誓ったんだよっ! いつか必ずてめぇをぶっ倒して、俺の前に跪かせてやるってなぁ!」

ラウルが繰り出す猛烈な斬撃の嵐。

これまでどんな相手も圧倒していたはずの父上が、受けるだけで精いっぱいだった。

村に軍を率いてきたより、ラウルが明らかに強くなっている。

きっとあれから厳しい鍛錬を自らに課し、腕を磨き続けてきたのだろう。

だけど――

「どいつもこいつもっ……お前たちはただ、この私の言いなりになっていればよいのだぁっ!」

「~~っ!?」

裂帛の叫びを上げ、父上が無理やり反撃へと転じた。

それにより一気に形勢が逆転する。

「ぐっ! ……っ!」

父上の猛攻を、ラウルは必死に凌いでいく。

けれど完全には防ぎ切ることができず、徐々に身体に傷が増えていってしまう。

「はぁっ!」

「がふぁっ!」

吹き飛ばされ、地面を転がるラウル。

すぐに起き上がったけれど、その息は荒く、すでに限界ギリギリで戦っていることが伺えた。

一方の父上はまだまだ余裕が感じられ、強さの底が見えない。

やはり同じ『剣聖技』のギフトを持っているとしても、年季が違い過ぎるのだ。

今のラウルでは、父上に勝つことはできないだろう。

それは本人にも分かっているようで、

「はっ、さすがだぜ、クソ親父。やっぱまだ俺の力 だ(・) け(・) では無理なようだな。癪だが、あいつの力を借りるしかねぇか……おい、兄貴っ! やれ!」

ラウルの合図を受け、僕は頷く。

「了解! ――村人強化!」

◇ ◇ ◇

それは王都をアルベイル軍から奪還した、少し後のことだった。

ラウルが秘密裏に使者を送ってきて、それで王都に向かって進軍中だった彼と会うことになったのである。

「親父の強さは規格外だ。戦い続ければいつかは体力の限界がくるだろうが、それまでにてめぇのとこに大きな被害が出るだろうぜ」

「うーん、それは困るなぁ……」

「……一ついい案があるぜ」

「いい案?」

「俺にあいつと戦わせろ」

「えっ? ラウルが?」

「ああ。正直、てめぇのことは死ぬほど嫌いだが、それ以上に俺はあのクソ親父が嫌いだ。あいつをぶっ倒すまたとないチャンスとあれば、てめぇに協力するのも悪くねぇ」

「死ぬほど嫌い……」

「おい、何でショックを受けてやがる? いや、そんなことはどうでもいい。幾ら同じギフトを持つとはいえ、今の俺じゃ間違いなく勝てねぇだろう。だから、手を貸せ。てめぇは味方を強化する力を持ってんだろ?」

「え、何でそれを?」

どうやらラウルは、以前の戦いのとき、対峙していたノエルくんが急に強くなったことを覚えていたらしい。

「そいつを俺に使え」

「でも、そのためには村人にしなくちゃいけないけど?」

「……死ぬほど嫌だが、構わん。そうでもしなければ、親父には勝てねぇからな」

◇ ◇ ◇

と、そんなわけで、ラウルが加勢してくれる運びとなったのだ。

〈ラウルを村人にしますか?〉

まずはラウルを村人に。

〈ラウルを村人にしました〉

よし、これで村人強化が使えるはずだ。

「――村人強化!」

「っ! はははっ! こいつはすげぇな! 力が溢れてきやがる!」

「制限時間は五分だから気を付けて!」

「それだけありゃ十分だ!」

能力が二倍に強化されたラウルは力強く宣言する。

「決着を付けようぜ、クソ親父。俺が……いや、俺たちが、てめぇに敗北の味を味わわせてやる」