軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第153話 はじめての共同作業

「出発するわよ! みんな、準備はいいわね!?」

「「「おおおっ!」」」

セレン率いる狩猟班の面々が、村の東城門の前に集っていた。

精鋭ばかりの集団だ。

二十人規模の人数でありながら、当然のごとく全員がギフトを有している。

その一人一人が一騎当千と言っても過言ではない。

もしどこかの戦場にいたならば、間違いなく第一級の戦果を挙げてしまうだろう。

『二刀流』と『青魔法』のダブルギフトのセレン。

同じく『弓技』と『緑魔法』のダブルギフトであるフィリア。

さらに『二刀流』と『緑魔法』のセリウス。

『盾聖技』のノエル、『剣技』のバルラットとペルン、『槍技』のランド、それに『巨人の腕力』のゴアテといったお馴染みのメンバーに加え、『斧技』のギフトを持ち、現在は仮釈放中の元盗賊の親玉ドリアルの姿もあった。

戦闘系のギフト持ち以外には、『索敵』という便利なギフトを所持する少女クレタが参加している。

「本当にいつ見てもこの村の戦力はおかしい……」

と、思わず苦笑いしているのは、元代官ダントに仕える兵士だったバザラだ。

『剣技』のギフトを持つ熟練の戦士である彼もまた、この強力な一団に加わっていた。

これより彼女たちは、荒野の東側に聳え立つ大山脈の調査に赴く予定だった。

荒野の北側に広がる魔境の森とは別の、もう一つの魔境だ。

だが森とは違い、これまでほとんど探索されてはこなかった。

というのも、北の森と比べて村からかなり距離があるのだ。

往復するだけで半日はかかってしまう。

そのため狩猟班も、今までこちらの魔境で狩りをすることはなかった。

しかしそうは言っていられない状況となってしまった。

村の人口が増え、乱獲し続けたせいで、森のオークが枯渇してきたのである。

村の名物の一つだったオーク肉。

その不足に危機感を覚えた彼女たちは、オーク肉に代わる新たな食材を探し、東の大山脈を目指すことにしたのだった。

幸いルークが山脈の麓まで敷いてくれた道路を進めば、距離もほとんど問題にならない。

「ていうか、たった一時間で着いてしまったわ……」

「ふむ、これなら日帰りで狩りをするのも十分可能だろう」

歩いているだけで走るよりも早く移動できてしまう道路に呆れるセレン。

その横でフィリアが聳える山々を見上げている。

「ちなみにおいらたちが暮らしていた洞窟があるのはあの辺りだべ。今思うと、よくあんなところに住んでたなぁ」

と指をさしながら懐かしそうに言うのは、狩猟班の一員であるドワーフのバンバである。

背は低いが、ドワーフ特有の筋肉質な身体つきの男で、『剛剣技』というギフトを持つ彼は、自分の身体より何倍も大きな剣を軽々と振り回すことができた。

山脈の麓の辺りは鬱蒼とした草木で覆われている。

それも中腹あたりから段々とまばらになり、さらに標高が上がると岩肌が剥き出しになっていくようだった。

「近くに魔物の気配はある?」

「前方右斜め前……百メートルほど先に一体います。反応は小さいですね。ウェアラットでしょうか」

『索敵』ギフトのクレタが答える。

ドワーフたちから、あらかじめこの一帯に棲息している魔物の種類を聞いていた。

ウェアラットは二足歩行するネズミの魔物で、食べられなくもないがあまり美味しくない。

どうやら魔物はもっと山の奥に潜んでいるらしい。

登りながら探し回ることもできなくはないが、

「魔物寄せのお香を使いましょ」

「ぼくもその方がいいと思います、姉上」

魔物が好む匂いを使い、平地に誘き寄せる作戦だ。

「セリウス殿、二人で山に向かって風を送ろう」

「ひゃ、ひゃい……」

フィリアから提案され、セリウスが裏返った声で返事をする。

二人とも『緑魔法』のギフト持ちなので、風を起こすくらいはお手の物だ。

「は、はじめての、共同作業……っ!」

「む? どうした、セリウス殿?」

「ななな、何でもないです……っ!」

顔を真っ赤にするセリウスに、フィリアは首を傾げている。

一方、他の面々はそんな二人に温かい眼差しを送っていた。

と、そのときだ。

「っ! 来ました! 大物です!」

クレタが叫ぶ。

山の斜面を駆け下りてくるその魔物の姿を、すぐにセレンたちも捉えることができた。

それは真っ赤なトサカを持ち、全身が羽毛に覆われ、蛇のような尻尾を有する魔物――コカトリスで。

「「「鶏肉キタアアアアアアアアアアアッ!!!」」」