軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第147話 英才教育を施さなければ

この世界において、子供は貴重な労働力だ。

だけど労働効率が高いこの村の場合、子供が働く必要はほとんどない。

そんなわけで、子供たちには将来のための勉強をしてもらおうと、学校を作ってそこに通わせることにした。

〈学校:子供たちの教育のための施設。教師の指導力、生徒の学習能力アップ〉

対象となるのは五歳から十歳までの子供たちで、六年制。

読み書きや算数、歴史の他、この世界特有の魔法やギフト、スキル、それに魔物や魔境などについても教える。

後は保健や体育の授業も行うつもりだ。

教師は、それに相応しいギフト持ちや、村人鑑定で分かる推奨労働などを踏まえ、村人たちの中から選出することにした。

「ルーク様。ぜひとも神学や礼拝の時間を設けましょう」

と、提案してきたのはこの村で唯一の神官であるミリアだ。

なるほど、確かに前世でも宗教系の学校だとそういう時間があった気がする。

でも、誰に教師を任せればいいんだろう?

「わたくしにお任せください」

「あ、ミリアがやってくれるの?」

「はい。神官として、子供たちを正しく導くのは当然の役目ですから」

「じゃあ、お願いしようかな。でも大丈夫? 村の礼拝もやってくれてるのに」

「心配要りません。語れることは幾らでもありますから(ふふふ……子供の頃からしっかりと洗脳……もとい、英才教育を施さなければ……)」

「……?」

ちなみに礼拝をする曜日というのは、特に決まっていないらしい。

だから村の礼拝日と学校での礼拝日をズラすことができるようだ。

他にも、村に図書館や美術館などを作った。

〈図書館:図書資料を収集・保管し、利用者への提供等を行う施設。図書資料の劣化防止。村人の教養アップ〉

〈美術館:美術作品を保存・展示するための施設。作品の劣化防止。防犯設備。村人の芸術的感性アップ〉

今のところ所蔵できるものはほとんどないけど。

ただ、各地で戦いが常態化するこの国では、貴重な資料や芸術品などが失われてしまうことも少なくない。

移住者たちがそうした類の物を村に持ってくることがあるため、できる限り買い取って保存しておきたかった。

ある日のこと。

村に女性の集団がやってきた。

十代後半から二十代くらいの、比較的若い集団だ。

全体的に少し強めに化粧を塗っていて、香水の華やかな匂いが鼻を突く。

「村長様、初めてお目にかかりますわ。わたくし、ファナと申します」

二十代半ばぐらいの、やけに色っぽい女性が代表して名乗ってくる。

「実は村長様にお願いがあって参りましたの」

「お願い、ですか?」

「ええ。わたくしたちは皆、元いた街では娼婦をしておりましたわ。ですが事情があって古巣を捨て、この新天地へとやってまいりました。人口が急増しているというこの新しい街であれば、きっと需要があると思いまして」

どうやら彼女たちは元娼婦らしい。

何があったのかは分からないけれど、娼婦の多くは劣悪な環境で仕事をしていると聞くし、この村の噂を耳にして移住を決断したのだろう。

「そうなんですね。もちろん、皆さんにも ち(・) ゃ(・) ん(・) と(・) し(・) た(・) 仕事を紹介しますよ」

「……そのちゃんとしたお仕事というのは?」

「ええと、女性なら例えば服飾工房や飲食店ですとか……」

最近は出産ブームで診療所も人手が不足気味だし、仕事は沢山あった。

あとは一人一人を鑑定して、適性や潜在ギフトの有無なんかも見つつ判断できればと思う。

「もしかして村長様は、娼婦を卑しい職業だと思っていらっしゃるのでは?」

「っ!?」

予想外の指摘を受けて、僕はハッとさせられた。

「あ、いえ……そういうわけでは……」

「もちろん、表だって誇れる仕事ではないことは承知していますわ。やむなくこの仕事をしていたのであれば、真っ当な仕事に就くのがよいと思います。ですが、中にはこの仕事に誇りをもっている者もいるのですわ」

「……」

彼女の言葉はとても考えさせられるものだった。

確かに僕は、娼婦という仕事に偏見を持っていたかもしれない。

「まぁ、言ってしまえば世の中にはエッチ大好きなド変態女たちが一定数いるということですの! 好きなだけヤれるこの仕事はまさに天職っ! ああっ、早く殿方のアレを挿れたくて下半身がうずうずしますのぉぉぉっ!」

「そんな本音は胸の中に閉まっておいて欲しかった!」

仕方なく彼女たちのために公的な娼館を作ることにしたのだった。

〈娼館:売買春を斡旋するための施設。避妊効果。性病感染防止〉

「ふふふ、見たところ村長様はまだ女を知らないご様子ですわ。初めてはぜひわたくしのところへ――ひぃっ!?」

「……?」

僕に色目を使ってきたファナさんの顔が、なぜか真っ青になる。

「い、今のは忘れてくださいませ~~っ!」

そう言い残して、逃げるように去っていってしまった。

「……?」

僕の後ろの方を見て急に顔色が悪くなったみたいだったけど……。

振り返っても、そこにはいつもの柔らかな笑みを浮かべたミリアがいるだけだ。

「どうしたんだろう?」