軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第143話 宝箱があるみてぇです

「ブモオオオオオオオオオッ!?」

ブラックミノタウロスの断末魔の声が響く。

俺たちAランクパーティ『紅蓮』は、第十五階層のエリアボスを撃破していた。

「相変わらず重てぇな……」

倒したブラックミノタウロスを安全地帯まで運んでいく。

もちろんこれからさらに深層に進むのに、こんな巨体を持っていくわけにはいかない。

「いつも通り頼むぞ」

「まいどー」

そんな冒険者たちからの需要を敏感に察してか、安全地帯には手に入れた素材やアイテムを一時的に保管してくれるサービスができていた。

解体もやってくれるため、獲物をただ渡すだけでいいのもありがたい。

さらに、頼めば地上への運搬もしてくれる。

中には自分たちはずっとダンジョンに潜り続け、持ち運びの一切を彼らに任せているパーティもあるほどだ。

お陰で身軽になった俺たちは、第十六階層へと進んだ。

第十六階層からは再び洞窟型に戻る。

ただし氷に覆われたタイプで、幻想的で美しい光景が広がるものの、その極寒の環境と滑りやすい足場が冒険者たちを苦しめる。

ホワイトグリズリーやアイスウルフなど、出没する魔物もなかなかの強敵ばかりだ。

ただ、これらの毛皮は高級品で、かなりいい値段で売れるため力のある冒険者たちは、ミノタウロスよりもこちらを狙うことが多かったりする。

第二十階層のエリアボスはイエティの群れだ。

一体のビッグイエティが率いる十体ものイエティを相手にしなければならず、ここまで来た冒険者たちにとっても一筋縄ではいかない。

俺たちも初戦はかなり苦労させられた。

ただ、攻略法が分かってしまえばそれほど難しい戦いではなかった。

十体のイエティは徹底的に無視し、とにかくビッグイエティを叩くのだ。

ビッグイエティさえ倒してしまえば、連携が一気に崩れてイエティたちはそれほど怖くない。

ハゼナが奴らの苦手とする火の魔法で通常イエティどもを牽制し、その隙に三人がかりでビッグイエティを一気に仕留める。

「……ま、割に合わないからスルーするんだが」

襲い掛かってくるイエティの群れを無視して先へと進む。

こいつらの毛皮は大した値段にはならないので、討伐リスクを考えて今は回避一択だ。

第二十一階層からは墓地を思わせる遺跡型だ。

主にアンデッドモンスターが出現するのだが、魔物から得られる素材にあまり旨みはない。

その代わり、宝箱からは希少なアイテムが見つかることが多かった。

洞窟型と比べ、遺跡型にはよく宝箱が設置されているのである。

「あっちに宝箱があるみてぇです」

「近いのか?」

「近いはずでせえ」

「よし、回収していくぞ」

そのため宝箱を察知できるカムルは非常に役立つ。

俺たちの目的はあくまで未踏階層の開拓なので、近い場所のものだけを回収しながら先へと進んでいく。

エリアボスは上級アンデッドのワイトだ。

もちろんかなりの強敵だが、俺たちのパーティの場合、光魔法を使えるガイがいるため討伐はそれほど困難ではない。

ワイトが必ずドロップする「死霊王の杖」が非常に高く売れるので、ここは回避せずに討伐することに。

第二十六層からは洞窟型となっていた。

階層のあちこちに溶岩が流れており、そのため立っているだけで汗が溢れ出してくるほどの高温。

ここまでで最も過酷な環境と言ってもいいだろう。

俺たちは前回、ここで引き返すことを余儀なくされた。

噴き出す汗であっという間に水が無くなり、体調不良が続出してしまったのだ。

寒いのは着込めば何とかなるが、暑いのは無理だと分かった。

しかし今回はばっちり対策をしてきている。

「村の錬金術師に作ってもらったこの特殊な液体があるからな」

深い青色の液体が入った瓶を鞄から取り出す。

これは氷冷ポーションと言って、身体に振りかければ一定時間、火や熱への高い耐性を得ることができるというものだった。

「冷たっ!?」

「身体が……キンキンに……冷えていく……」

「これは思って以上の効果であるな」

一リットルもない量の液体を身体にかけただけで、氷水に突き落とされたような冷たさに襲われる。

俺たちは慌てて溶岩が煮立つ階層へと飛び込んだのだった。