軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第74話「『ノーザの町』に出張する(2)」

──その後、寝室では──

「 採寸(さいすん) 、終わりましたので」

「ありがとうございます。アグニス・フレイザッドさま」

採寸を終えたアグニスに向かって、ソフィアは頭を下げた。

相変わらずの下着姿だった。

大きな目と、つややかな髪。

肌は 陶器(とうき) のようになめらかで、美しい。

『フットバス』を使ったばかりだからか、白い肌は少し上気して、汗ばんでいる。

汗を拭く動作からも気品が漂っていて、アグニスは思わず見とれてしまう。

(きれいな方です。トールさまも、このような方がお好きなのかも──)

「やはり殿方は、アグニス・フレイザッドさまのように、元気な方がお好きなのでしょうね」

ぽつり、と、ソフィア皇女がつぶやいた。

それから彼女は、アグニスの方を見て、

「私は、あなたがうらやましいのです」

「皇女さまが、アグニスを?」

「ライゼンガ・フレイザッドさまのご息女ならば、あなたさまもお強いのでしょう?」

「はい。実戦には出たことはないけれど、炎の力と、運動能力には自信があるので……」

アグニスは強力な発火能力を持つ。

『健康増進ペンダント』を着ければ身体強化が使える。その状態なら、父のライゼンガさえも押さえ込める。

両方の能力を持つアグニスは、確かに、魔王領でも強い方だろう。

「けれど、それはアグニスの力ではなくて──」

「それでもです。私はアグニスさまのように、お慕いする方の隣で、共に戦える女性にあこがれてしまうのです……」

アグニスの言葉を 遮(さえぎ) り、ソフィア皇女は言った。

「私は……体調は良くなったとはいえ、体力的にはまだまだです。光の攻撃魔術を使ったあとは 消耗(しょうもう) してしまいます。トール・カナンさまと共に採取に行くことも、 魔獣(まじゅう) を討伐して素材を得ることもできません」

もっとも、光の魔術は、魔獣を消滅させてしまうので、素材採取には使えないのですけれど。

──そんなことをつぶやきながら、ソフィア皇女は 微笑(ほほえ) む。

「だから私は、アグニス・フレイザッドさまがうらやましいのです」

「皇女さまは、トールさまとの婚約を望まれているのですよね?」

「はい。それが私──ソフィア・ドルガリアが、生まれて初めて、自分で選んだことですから」

ソフィアは、半透明の下着に 覆(おお) われた胸を押さえた。

「ご存じの通り……私は病弱でした。我が帝国でそのようなものは 蔑(さげす) まれ、見下されております。皇帝の娘であっても同じです。そのような者に選択肢はありません。あのまま帝都にいたら、私はいずれ他国か功績のある貴族へと、政略のために嫁ぐことになっていたでしょう」

「……そうだったのですか」

アグニスにとっては、遠い世界の出来事だった。

彼女の父のライゼンガは、アグニスを 溺愛(できあい) している。

もしも魔王領の高官が、アグニスの意に反した政略結婚を強要したら──文字通りに魔王城は炎上するだろう。

それに魔王領には、魔王ルキエが掲げる『適材適所』という方針がある。

──どんな者にも──たとえ本人が病弱であっても、できることはある。

──向いた仕事を探して、能力を発揮してもらう。

それが、魔王領のモットーだ。

人口の少ない魔王領では、そうやって国を富ませるしかない。

だから、本人の意志や能力を無視した政略結婚は行われていないのが実情だ。

(……帝国では、それほど人が余っているのかな)

ソフィア皇女のような人材を、本人の意志を無視して政略の道具に使うのは、とてももったいないと、アグニスは思う。

それは、魔王領では許されないやり方だ。

「皇女さまのお気持ち……お察しいたしますので」

「ありがとうございます。アグニスさまは、お優しい方ですね」

ソフィアはアグニスの手を取って、笑った。

「心配はいりません。トール・カナンさまのおかげで、私は自分の道を選べるようになりました。だから私はこの身体と、生命の使い道を決めたのです」

「それがトール・カナンさまとの婚約なのですか?」

「……不思議ですよね、元気になったことで、選べる道が増えたのに……すぐに生き方を決めてしまうなんて」

ソフィアは目を閉じ、つぶやいた。

「けれど私は、心の底から、あの方のお力になりたいと思ったのです。側にあって、共に寄り添う者になりたいと。あの方に癒やしていただいた身体が……そうささやいているのです。もしも帝国がそれを許さないなら、国を捨ててもいいと」

「……皇女さま」

「ふふっ。おかしいですよね」

「いいえ」

アグニスは、首を横に振った。

(帝国の皇女でも、人を想う気持ちは……アグニスたちと変わらないのですね)

アグニスも少し前まで『発火体質』に悩んでいた。

でも、アグニスには、彼女を溺愛する父と、疎遠になっていたとはいえ、親友のメイベルがいた。

ふたりのおかげで、トールと出会うことができた。

『発火体質』を治してもらったアグニスは、どこにでも行けるようになった。

だから、こうしてトールと一緒に『ノーザの町』に来ている。

自由になって、なんでもできる。

なんでもできるようになったから──好きな人への想いを、ごまかせなくなっている。

そんなアグニスには──ソフィアの気持ちがわかるような気がしたのだった。

「アグニスは、皇女さまと似ているのかも……しれません」

思わず、アグニスはそうつぶやいていた。

「アグニスがこうして出歩けるようになったのは、トールさまのおかげなので」

「あなたさまも?」

「詳しいことは……魔王陛下の許可がないと言えないの。でも……」

アグニスは、トールのいる方を見つめて、

「 鎧(よろい) から出られずにいたアグニスを、トールさまが治してくださったので。こうして外の世界を歩けるようにしてくださったので。あの方はそんなふうに……みんなを幸せにしてくれる人で……だから、アグニスはあの方に忠誠を誓っているので……」

「アグニス・フレイザッドさまも、トール・カナンさまに治療して頂いたのですね」

「そ、そうなので」

「そして、私と同じように、トール・カナンさまをお慕いしているのですね」

ソフィアの、まっすぐすぎる視線が、アグニスを見た。

アグニスの心臓が、どくん、と高鳴る。

それを抑えながら、アグニスはソフィアを見返す。

ここは、ごまかしてはいけない。

そんな気がしたから──アグニスはゆっくりとうなずいた。

「はい。その気持ちは、誰にも……負けないので」

「わかりました。では……アグニス・フレイザッドさま。私とお友だちになっていただけませんか?」

ソフィア皇女はアグニスに向かって、手を差し出した。

「トール・カナンさまに身体を 癒(い) やしていただいた者として、私はアグニス・フレイザッドさまに親しいものを感じるのです。もちろん、迷惑はかけないようにいたしますので」

「ソフィア・ドルガリアさま……」

アグニスはためらいながら──ソフィア皇女の手を取った。

不思議だった。

彼女とは立場を超えて、仲良くなれるような気がした。

「わかりました。アグニス・フレイザッドは、皇女さまの、お友だちになります」

「ありがとうございます!」

ソフィア皇女はうなずいた。

「よろしければ、私に色々なことを教えてください。もちろん、魔王領のことを探ったりはいたしませんので、ご安心ください」

「はい。では、どんなことを知りたいですか?」

「お 慕(した) いする方に、よろこんでいただく方法などを」

「……それはアグニスが知りたいので」

「私は自分に……女の子としての知識が不足しているのです」

ソフィアは腕組みをして、うつむいた。

「私はずっと帝都の離宮で暮らしておりましたので……男性とどのようにお付き合いすればよいか、よくわからないのです。離宮の書庫には、お慕いする男性によろこんでいただくやり方について書かれた本はなかったのです。だから、ご指導いただけないでしょうか」

「……え」

「心と身体の願うままにすればよいと、 噂(うわさ) では聞いてはいるのですが……それで失礼があってはいけませんから」

ソフィア皇女の言葉に、アグニスは目を見開く。

誤解していた。

さっきソフィアが下着姿になっていたのは、トールを誘惑するためではなかったらしい。

(もしかして……この方は、恋愛について 偏(かたよ) った知識をお持ちなのでは)

ふと、アグニスは心配になる。

この人を放っておいたら、トールに対してとんでもないことをするのではないか、と。

炎だけをまとって踊る姿を見せてしまったアグニスに言えることではないけれど……とにかく、心配だった。

トールが『フットバス』を使ったときの 魔力循環(まりょくじゅんかん) について訊ねたら、ソフィア皇女はためらうことなく肌をさらして、魔力が身体のどの部分を流れているか、指を指して教えてしまうだろう。それはよくない。

うまく言えないけれど、それはとても危険なような気がした。

「皇女さま……あまり先走らない方が、いいと思うので」

アグニスは言った。

「皇女さまは、元気になったばかりなので。無理をしない方が」

「いいえ、私はトール・カナンさまに婚約者として認めていただくために、どんなことでもするつもりです。どうか、アドバイスをお願いいたします」

「……え、えっと」

「ふふ。楽しくなってまいりました。まるで……生まれ変わったみたい」

ソフィア皇女は目を輝かせて、笑っていた。

まるで、生まれて初めて外に出た子どものようだと、アグニスは思った。

「私、ソフィア・ドルガリアは、お慕いするトール・カナンさまと、大切な人々のために、この命を使いましょう。どうか、よろしくお願いいたします。アグニス・フレイザッドさま」

「は、はい。よろしくお願いいたします……ので」

それから、ソフィアは素早くドレスを身につけた。

ベッドの脇に置いてあった羊皮紙に、『フットバス』の感想を書き留めていく。

アグニスが覗いてみると、身体のどの部分から魔力の流れが変化していくかを記した、とても詳しいものだった。しかもイラストまでついている。ソフィア皇女は絵心があるらしい。

(……どうしたらいいのかな)

この人は、トールと婚約することを目指している。

つまり、アグニスにとってはライバルでもあるのだけれど……憎めない。

それに、彼女はどこかトールに似ているような気がする。

思い込んだら突き進むところや、発想が他の人とは違うところが。

ということは、ソフィア皇女もトールのように、とんでもないことをするかもしれない。もちろん、政治的な面では帝国の副官が押さえてくれるはずだけれど、恋愛面ではどうだろう。

(……もしも、この方が『心と身体の願うまま』にしてしまったら)

ぼっ。

アグニスの顔が真っ赤になった。

思わず発動しかけた『健康増進ペンダント』を押さえる。

危ない。たぶん、トールの身が。

この人とトールをふたりきりにしてはいけない。

(と、とにかく、アグニスはトールさまの護衛なので。ずっとずっと、お側にいるので!)

活き活きと『フットバス』の感想を書き続けるソフィア皇女を見ながら──アグニスはそんなことを、心に決めたのだった。

──トール視点──

「さきほどは大変失礼いたしました。トール・カナンさま」

無事に『フットバス』を使い終えて、ソフィア皇女はリビングに戻ってきた。

アグニスも一緒だ。ふたりとも、少し距離が近くなってる。

採寸をしてる間になにがあったんだろう。仲良くなったのはいいことだけど。

「お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ありませんでした」

「いえ、まったく見苦しくはなかったです」

「そうなのですか?」

「それに『フットバス』を使った感想もいただきましたから」

下着姿で『フットバス』を使うのには、ちゃんと意味があったようだ。

ソフィア皇女のメモには、身体のどの部分から魔力がほどけていって、循環がよくなったのか、事細かに記されている。

それと、薄着でいるほど魔力の流れを感じやすいというのは本当のようだ。

魔王領に来て『フットバス』を使うときは、立ち会わせてもらおうかな。

「それで、例の魔法陣についてですけど」

「『眠れる魔獣』の住処で見つけたものですね?」

「どんな魔法陣だったか、こちらの羊皮紙に記してあります。確認してください」

俺はソフィア皇女の前に、2枚の羊皮紙を置いた。

1枚は例の 洞窟(どうくつ) で描いたもの。もう1枚は、後で清書したものだ。

「お心当たりはありますか。ソフィア殿下」

「……そうですね」

ソフィア皇女は、2枚の羊皮紙をじっと見てから、

「離宮の書庫で、これと似た図形を見たことがあります」

緊張した声で、そう言った。

「まったく同じものではありません。似たものが、魔術について書かれた本にあったのです。でも……これが本当に『眠れる魔獣』の住処にあったのですか?」

「はい。薄れていましたけれど、間違いありません」

「……そうですか」

「なんなのですか、この魔法陣は?」

「今は行われなくなった、魔術儀式に使うためのものです」

ソフィア皇女は言った。

それだけで、これがなんに使われる魔法陣なのかわかった。

「──今は行われなくなった魔術儀式って、まさか」

「はい。これは、 召喚魔術(しょうかんまじゅつ) に使われる魔法陣です」

──召喚魔術。

それは離れた場所から、人や魔獣を呼び出す魔術だ。

大規模なものになると、別の世界から対象を呼び出すことができる。

異世界から勇者を呼び出したのも、大規模な儀式とともに行われた召喚魔術だった。

「召喚魔術の魔法陣……これが」

「勇者召喚の魔法陣かどうかはわかりません。あの魔術儀式は、代々の皇帝陛下と皇太子と……その側近しか知らないはずです。離宮の書庫にも、勇者召喚の儀式について書かれていたものはありませんでした」

「同系統の魔術ということですか」

「そうですね。それに今はもう、勇者召喚の儀式は行われていませんから」

ソフィア皇女はため息をついた。

「効果がなくなったそうです。儀式を行っても、呼び出せなくなったと」

「理由はわからないんですよね?」

「皇帝一族の公式記録には、そう記されています」

「となると、これは魔獣を呼び出すための魔法陣の可能性がありますね……」

俺はアグニスを見た。

アグニスは真剣な表情で、羊皮紙に記された魔法陣を見ている。

これが魔獣を呼び出す魔法陣だということは、誰かが、国境近くでそういう儀式をしたということだ。

そうして呼び出されたのが、あの巨大ムカデ。

以前戦った『魔獣ガルガロッサ』も、同じ儀式で 召喚(しょうかん) されたのかもしれない。

「……誰かが、魔王領の近くで、魔獣を召喚しているということですか?」

「……目的はなんだろうね」

俺とアグニスはうなずき合う。

「わからないので。ただ、暴れるだけの魔獣なら、使い魔にはできないと思うので……」

「だよね。巨大ムカデは、帝国兵も攻撃してるんだから」

あの魔獣は帝国兵、魔王領の兵士のどちらにも攻撃してきた。

『眠れる魔獣』の住処に向かった帝国兵たちも、魔獣に襲われて行方不明になっている。

あの巨大ムカデを操っている者はいなかった。

羽妖精(ピクシー) たちが周囲を 偵察(ていさつ) してたから間違いない。少なくともあの巨大ムカデたちは、誰かに操られていたわけじゃないようだ。

「誰かが、魔術の実験を行ったのかもしれません」

ソフィア皇女は言った。

「目的はわかりません。けれど、同じことを続けさせるわけにはまいりませんね」

「俺は魔王陛下に調査をお願いするつもりです」

「私もアイザックにお願いして、国境のこちら側を調べてもらいます。同じような魔法陣……あるいは魔獣がいるかどうか」

「おそらく魔王陛下と 宰相閣下(さいしょうかっか) は、魔王領側の調査を行われると思います」

「可能なら、情報を共有したいとお伝えください。もちろん、こちらの情報もお伝えします」

「承知しました。陛下と宰相閣下にお伝えします」

「民に被害を出すわけにはまいりませんから……」

「同感です」

俺とソフィア皇女は視線を合わせて、うなずいた。

アグニスも、同じようにうなずいてる。

「確認です。召喚の魔術を知っているのは、帝国側だけで間違いありませんか?」

「……おっしゃる通りです。人間の世界では昔、魔獣を使い魔としていました。勇者を鍛えるために召喚して、戦わせていたこともあります。召喚魔術は……人間の世界の技術です」

「魔王領には、魔獣召喚の魔術は……ないので」

ソフィア皇女の言葉を、アグニスが補足してくれる。

大昔に、魔族と亜人たちは魔獣を使役していた。けれど、魔術で召喚するようなことはしていなかった。

必要がなかったからだ。

魔族と亜人は強い魔力を持つ。だから、攻撃魔術だけで人間を圧倒できた。

少なくとも、勇者が来るまでは。

当時の人間は、弱かった。

だから召喚魔術を発展させて、使い魔にするための魔獣を召喚し──最終的には、異世界から勇者を呼び出した。

つまり、この召喚魔術は、帝国側の技術ということになる。

「私は、妹に書状を出すつもりでおります」

しばらく考えてから、ソフィア皇女は言った。

「妹のリアナは、聖剣の姫君と呼ばれております。召喚魔術についても、なにか知っているかもしれません」

「ですが殿下。それは危険では──」

召喚魔術には、皇帝一族が関わってる。

リアナ皇女に出した手紙が、召喚魔術の使い手に見られる可能性だってあるはずだ。

「もちろん、魔法陣について直接知らせたりはいたしません」

けれど、ソフィア皇女はおだやかな笑みを浮かべていた。

「私が魔獣に襲われたことと、その魔獣が新種であったことだけ伝えるつもりです。その反応を見てから、召喚魔術について訊ねるかどうか、決めたいと思います」

「それなら、安心ですね」

「よろしくお願いいたしますので」

俺とアグニスは、ソフィア皇女に頭を下げた。

方針は決まった。

魔王領側の対処については、ルキエにお願いしよう。宰相ケルヴさんが人を送ってくるようだから、その人に魔法陣の調査をお願いできるかもしれない。

帝国側の方は、ソフィア皇女とアイザック部隊長に任せるしかない。

「もうひとつ……行方不明の帝国兵ならば、召喚魔術について知っているかもしれません」

ソフィア皇女は言った。

「行方不明になった者の中に、アイザックの副官がいるのです。軍務大臣のザグランとも親しい者ですから、私の知らないことを知っているかもしれません。今、アイザックたちが捜索しておりますので、いずれ手がかりが見つかると思います」

「なにかわかったら、教えていただけますか?」

「もちろんです」

そう言ってソフィア皇女は立ち上がり──俺の手を取った。

「このソフィア・ドルガリアは、魔王領と、帝国の国境地帯の平穏を望んでおります。そして、私が生まれて初めて選んだもののために、この身体と生命を使うつもりでおります」

「ありがとうございます。ソフィア殿下」

やっぱり、ソフィア皇女は信頼できる。

帝国側の国境地帯は、彼女に任せれば大丈夫だろう。

……俺の隣でなぜか、アグニスが真っ赤になってるのが気になるけど。

「この事件が片付いたら、国境地帯の交易所の準備が始まります」

とりあえず気分を変えるために、俺は言った。

「そこには、ソフィア殿下用の休憩スペースを作るように、魔王陛下の許可を得ています。いつでも会えるし、いつでも『フットバス』を使っていただけるようになると思います」

「まぁ、それは素敵ですね」

ソフィア皇女は、ぽん、と手を叩いた。

「そのときはぜひ、アグニスさまもご一緒に」

「……え」

「私の知らないことを色々ご指導くださいませ。アグニス・フレイザッドさま」

「は、はい」

本当にアグニスとソフィア皇女は、仲良くなったらしい。

あとで詳しく話を聞いてみよう。

そんな感じで、その日の会談は終了となったのだった。