軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

思惑の外側

その後のルミエラは、父が決めた新たな婚約者と仲を深めていった。

一度は死んだのだ。それが時間を巻き戻ったという奇跡により蘇り、故に前回の恨みを晴らすチャンスだと思っていたのだけれど。

しかし実際ミゲルは早々に逃げ出したし、ミゲルと共に居た恋人である子爵令嬢も既に遠いところへ行ってしまった。

復讐をする事こそが、時間を遡った自分のやるべき事だと思っていたのに当事者が早々に消えてしまったのである。

折角復讐するぞと意気込んでいたというのに、何かを仕掛ける以前に台無しになってしまった。

ルミエラとしても納得はいっていない。

いない、がしかし新たな婚約者として会う事になった相手を見て、前を向く事を決めたのである。

見た目はどちらかといえば元婚約者の方が整ってはいたけれど、しかし中身は圧倒的に新たな婚約者の方が人間ができていた。器が大きいと言えばいいだろうか。

ともあれ、そんな彼と共に話をしたりしていくうちに、ミゲルの事など最早どうでもよくなってしまったのだ。

どうして前のわたくしは、彼のためにあんなにせっせと身を粉にしていたのかしら……

そんな風に思うまでにそう時間はかからなかった。

確かにふとした瞬間思い出せば、今もまだ苛立ったりすることはある。

だが、新たな婚約者との交流を重ねていくうちに、今までは思い出すつもりがなくてもふとした瞬間勝手に思い出されていたミゲルの事が、徐々に思い出す事すら減ってそれどころか最近は思い出そうとして意識しないと思い出す事もなくなりつつあったので。

(相手の事を忘れて幸せになるのも復讐だ、なんて何かの本で読んだ気がしますし……これもこれで復讐って事になるのかしら……?)

少々釈然としない部分はあるけれど。

それでも、過去にいつまでもしがみついていてもどうしようもない。

そう割り切った事でようやくルミエラは、過去の――というか前回の――しがらみを断ち切る事に成功したのである。

この頃にはすっかり勇者と魔王の決着もついたらしく、世間は平和になっていたのもあってその後の彼女は夫となった相手と上手く関係を続けて幸せに暮らしたのであった。

――と、まぁルミエラに関してはめでたしめでたし、といったところではあるのだが。

では、ルミエラと顔を合わせる事すらせずに逃げ出したミゲルはどうなったかというと。

(こんなはずじゃなかった……!)

そう後悔したのは何度目かもわからない。

子爵令嬢のマリナと出会い恋に落ちたのは、必然だったとミゲルは思っている。

けれども自分は将来公爵となるべき人間で、マリナと結婚するには彼女の身分が心許ない。それでも彼女とならどんな困難をも歩んで行ける――と、幼い頃のミゲルはそう信じていた。

けれども悲しい事にミゲルの才覚は、両親が求める水準にまで至らなかった。

努力はした。したのだけれど、それが周囲の求める結果に至るまでにはならなかった。

それでもミゲルは諦めなかったのだ。

ここで自分には才能なんてない、と自分自身を切り捨てて何もかもを諦めてしまえば楽になれたかもしれない。

だがミゲルは諦めなかった。

いつかきっと。

マリナとの仲を認めてもらうのだと。

その一心でひたすらに努力だけは諦めなかった。

ところがミゲル自身が自分自身を見捨てるよりも先に見切りをつけたのは、彼の父――つまりは公爵であった。

このままお前に任せていてはいずれ領地も傾くだけ、と言われて優秀な嫁を用意する事にしたと告げられて。

勿論それに反発した。

妻でなくとも、代官を雇えばよいではないかと。領地に関してはそれでいいじゃないかと。わざわざマリナ以外の女と結婚する意味がわからなかった。

伯爵家の優秀な娘、と言われてもミゲルからすればお断りである。

ミゲル自身の能力が揮わないばかりにそうなってしまった、という事実に己の能力不足を悔やんだりもしたが、それでもまだ、ルミエラとの婚約が決まった直後はミゲルだって努力し続ける事を諦めたわけではなかったのだ。

けれども、それはルミエラ自身に打ち砕かれてしまった。

彼女はミゲルが思う以上に優秀だった。

優秀すぎたのだ。

ルミエラが男であったのならば……なんて考えもよぎった。

きっとルミエラの両親は彼女に男として生まれてきてほしかったのではないか、なんて思いもした。

けれども思ったからどうなるというわけでもない。

既にミゲルの父は将来公爵としてやっていくべき事をミゲルに教えるのではなく、ルミエラに教えるようになっていった。

つまりそれは、ルミエラを絶対に嫁にしないといけないという事実でもある。

伯爵家の娘よりもできない自分というものに、ミゲルは悔しさと失望、それ以外にも言葉にするには難しいような感情を胸の中で渦巻かせ、表向きはルミエラと良好な関係として振舞う事にしていた。

婚約が決まったばかりの頃は素っ気ない態度ではあったけれど、それはまだ知り合って間もないからと周囲も別に咎めるようなことは言わなかったのだ。

身近でルミエラの優秀さを見てしまえば、彼女よりも上であると示そうにも難しいとミゲルは理解してしまった。父が求めていた水準が彼女であるというのなら、確かに自分には不足ばかりだ。それはもう認めるしかなかった。

努力しても、自分がそこに至るまでにはきっともっと長い時間が必要になる。

そう確信してしまった。いつか追いつけるかもしれない。

けれども、今目にした地点へたどり着いた頃には、ルミエラはきっともっとずっと先へ進んでいってしまっている。

そういう意味ではミゲルは永遠にルミエラに追いつく事はできないのだと。

そう、悟ってしまったのだ。

ミゲルが公爵家ではなく、伯爵家やそれ以下の貴族家で生まれていれば別に何も問題はなかった。

そこでならミゲルは父から落ちこぼれと思われる事もなく、むしろよくできた息子だと褒められていたかもしれない。けれども実際、ミゲルは公爵家に生まれ将来の跡取りとして望まれていた。そして悲しい事にミゲルの能力では、父の期待に沿えなかった。

ルミエラとの結婚は避けられない――が、それでもミゲルはマリナの事を諦められなかった。

彼女の家は裕福かと言われればそこまででもなく、莫大な財産があるわけでも、マリナ自身が世間を賑わす才女というわけでもない。

マリナもマリナで、どこにでもいるような普通の子爵令嬢であった。

だからこそ結婚を許されなかったわけなのだが……

禁じられればその分だけ二人の恋は燃え上がった。

表向き堂々と会う事もできないために、人目を忍んで限られた僅かな時間だけの逢瀬。

それが余計に二人の心を燃え上がらせた。

マリナも愛人と言う立場になったとしても、それでもミゲルと共にいたいと望んでくれたからこそ二人の恋は尚更燃え上がる一方だった。

世間では勇者が魔王を倒すために旅立ったなんて噂も流れていたが、結果としてそのせいでミゲルとルミエラの結婚は少しだけ先延ばしにされたのも、二人の恋を後押しする形になってしまったのかもしれない。

結婚をさっさとしていたのであれば、しばらくは夫として妻の近くにいなければならなくなったはずだった。そうなれば案外マリナとの関係は冷めてしまったかもしれない。

マリナだって結ばれる事のない恋にのぼせ上がっていただけで、少し時間をおけば彼女の方もその恋を思い出にできたかもしれなかった。

あくまでもそれはたらればの話で、実際はそうならなかったからこそその時は訪れてしまったのだが……

とある家が主催したガーデンパーティー。

そこに婚約者であるルミエラをエスコートしてやって来たミゲルではあったが、そこから先は友人たちとの語らいなどもしたいからと言って、ルミエラから離れた。

ルミエラにも友人がいたからこそ、そして久しぶりに会ったからと友人との話に花を咲かせる事にルミエラも反対はしなかった。

実際にミゲルは軽く他の友人たちに挨拶だけをして、同じく参加していたマリナとひっそりと合流し、そこで二人、密かに会話を楽しんでいた。

人目につかない場所だった、という事と、こちらも久しぶりに直接会って話す事ができたというのもあって、燻ぶっていた恋心が再び燃え上がるまでにそう時間はかからなかった。

最初は指先だけが触れ合うだけでも満足していたのに、段々とそれだけでは物足りなくなり手を繋ぎ指を絡め合い見つめ合うだけでは最早気持ちを抑える事など不可能で。

二人は熱に浮かされたように抱き合って、そうしてそのまま顔を近づけ――

深い、口付けを交わし――

それをルミエラに見られてしまった。

ミゲルはこの時点で、逃げられないと察してしまった。

けれども、だからこそこの機会にいっそ、という気持ちもあった。

ミゲルの心はマリナにだけある。ルミエラに向けられる事は決してないのだと、この婚約は政略で、お互いの感情は存在しないのだと、そう告げて互いに線引きをしてしまえばいいと思ってしまった。

ルミエラは確かに婚約者としてミゲルと関わってきた。

それはミゲル自身も理解している。

ミゲルの想い人にマリナがいなければ、きっとルミエラとはそれなりに上手くやっていけたかもしれない。

けれどもミゲルの心にはマリナがいるのだ。

だからこそ、妻としてルミエラを迎えたところで愛する事はきっとできない。

下手に希望を抱かれても困るから、ミゲルはその望みを断ち切るつもりであえて冷たい言葉を放ちもした。

お互いに割り切った関係でいる方が、互いのためになるとミゲルは本心から信じていたのだ。

けれども普段は賢く物わかりの良いルミエラは、今回に限ってすぐに物事を理解していなかったらしい。

伸ばされた手はミゲルへと向けられて、その手がなんだかとても煩わしくて。

「触らないでくれないか」

思った以上に冷たい声が出た。

自分が触れたいのも触れてほしいのもマリナだけで、ルミエラではない。

その手を振り払ったのは、ほとんど反射だった。

乾いた音が響く。

直後、ルミエラの足元がぐらりとよろけ――彼女の身体が傾いていく。

そうしてルミエラの身体は倒れ、鈍い音がした。

「あっ」

やってしまった、そう思った。

触ってほしくなかっただけで、別にここまでするつもりはなかった、と言っても今更だろう。

「す、すまない、大丈夫か……?」

だからこそ咄嗟に起こさねばとも思ったし、声をかけて手を差し伸べ――

倒れた彼女は目を見開いたまま、ぴくりとも動かなかった。

(なんてことだ――)

人を、殺めてしまった……!

そう察した瞬間、こんなはずでは……と確かに思いはした。

いっそ時間が巻き戻らないかとも思った。そんな奇跡が起こるはずはないとわかっていながら。

だが、次の瞬間。

「……え?」

気付けばミゲルは見慣れた自分の部屋に立ち尽くしていたのである。

何が起きたのかわからなかった。

思わずしばらくの間ぼんやりと室内を見回して夢を見ているのではないかと疑って、自分の頬をつねったりもした。

先程までが夢なのか、それとも今が夢なのか。

どっちなんだと思いながらもつねった頬が痛かったので、一先ず今は現実だと仮定する。

(じゃあさっきまでのはなんだったんだ……長い夢を見ていた? まさか)

そう思いながらも何か現状を理解できるものはないかと室内をうろついて、ふと窓の外から見える景色に眉をひそめた。

記憶の中の庭と少しばかり異なっている。

いや、記憶にはあるけれどアレはもう少し前の話で、今の庭はもっと……

そこまで考えて咄嗟に日付を確認した。

そうしてわかったのは、自分が過去に戻っているという事だ。

ルミエラとの婚約が決まり、一年が過ぎた頃。

婚約者としての交流を重ね始めていた頃。

まだマリナの事を諦めきれず、自分が次期公爵として相応しくなればこの婚約をどうにかできるのではないかと、密かに足掻いていた頃。

そしてこれから。

これから先、ルミエラとの差を見せつけられて絶望していくのだ。

それを知る前の、希望があると信じていた頃。

それが、今であった。

「一体どうして……?」

そう呟くのも無理はなかった。

時間が巻き戻るなど、あり得るはずがない。あるとしてもだとすればそれは――

「奇跡……?」

そうとしか言いようがない。

ミゲルは確かに公爵からは能力的に不十分だと切り捨てられはしたけれど、絶望的なまでに愚かというわけでもなかった。だからこそここで、その奇跡を素直に喜べなかった。

過去だ。

今自分はあの日よりさらに過去にいる。

であれば、ルミエラは生きている。

まだ、死んでいない。

殺したという事実は現時点では存在しなくなっている。

それに対しては、喜ぶというよりも安堵の方が大きかった。

殺すつもりはなかったのだ。

あの時だって、ただ手を振り払っただけで、死ねばいいなんて思ってはいなかった。

そうはいっても、殺したという事実そのものが自分の中から消えたわけではない。

現実においてその事実が消えたとしても、自分の中では残っているのだ。

「なんてことを……」

思い出しただけでも心臓がバクバクと嫌な感じに軋むようで、ミゲルは思わずベッドの上に倒れ込んだ。立っていたらそのままふらりと崩れ落ちてしまいそうだったから。

そうして数秒呆然としていたが、やがてのろのろと身を起こす。

打ち所が悪かったのか、目を見開いたままぴくりとも動かなくなってしまったルミエラ。

光を失いガラス玉のような瞳は閉じられることもないままで。

ミゲルを見ていたわけではないが、しかしそれでもミゲルは自分にその視線が向いているような気がして、その記憶を振り払うように頭を振ってその光景を脳裏から追い出そうとした。

あの事件が起きるのは今ではない。

この先の話だ。

今はまだ、起きていない。

だからルミエラは生きている。死んでいない。

そうやって自分に言い聞かせるように何度も何度も反芻して、そうしてようやく気持ちが落ち着いてきた。

ミゲルは確かにルミエラに対して酷い裏切りをしたけれど。

しかし他人を踏みつけて平気なままでいられるほどの図太さまでは持ち合わせていなかった。

自分より優秀なルミエラ。

こちらがどれだけ努力したところで、決して追い付かせてはくれない挙句父からも認められているルミエラ。

己の不出来さを嘆き、悔しさで必死に追い付こうと藻掻いてきたけれど結果として追い付くどころかどんどんと先へ進んでいくルミエラに、表向きは親しい関係性を築いてはきた。

けれども、我慢と無理を重ねた関係などいつまでも続くはずもなかったのだ。

劣等感を隠し続けていても、消えたわけではないのだから。

ミゲルが本当に好きなのはマリナであってルミエラではない。

家のためと言われてしまえばミゲルにはどうしようもなかった。自分がもっと優秀であったなら……とは何度も思った事だけれど、しかしどれだけ頑張った所で父が望むようにはなれなかった。

それでも、貴族としての結婚であるのなら、割り切る事も必要だと何度も自分に言い聞かせてはきたけれど、それでもふとした瞬間どうしたってミゲルの中に浮かぶのは最愛のマリナで。

いっそルミエラがミゲルに対してもう少し距離を保ったままでいてくれたのなら良かったのかもしれない。

だが、まるでルミエラは自分の事を愛しているかのような態度で。

それが余計にマリナに対して、申し訳なく思えてしまった。

だからあの時、マリナとの口付けを見られた時に、あえてルミエラの心を傷つけるような言い方を選んだ。

いっそ互いに割り切って、政略での結婚であるのだからと最低限の関わりだけになってしまえば。

そうして互いに心から愛する者を愛人にでもして、ありふれたどこにでもあるような政略結婚による冷め切った夫婦としていられたのであれば。

ルミエラがまるで自分の事を愛しているかのような態度だったからこそ、ミゲルは恐れた。

愛しているのはマリナだが、いつか。遠い未来で。

もし絆されて、ルミエラに自分が惚れるような事があってしまったら。

そんな未来を恐れて、ミゲルはだからこそあの場で冷たく振舞った。

その態度が得策でない事くらい、ミゲルだってわかっていた。

けれど、そうでもしなければマリナに対して申し訳ないとも思ってしまったし、いっそルミエラに嫌われてしまった方がミゲルにとっては楽になれると思っていたのだ。

その結果が、ルミエラを殺める事になってしまうとは夢にも思わなかったけれど。

折角落ち着いてきた気持ちがまたもやぶり返して、心臓がバクバクと嫌な音を立て始めたあたりで、ミゲルは気付いた。

「そうだ、婚約……」

時間を遡ってきたのが果たして自分だけなのか。

マリナはあのことを憶えているだろうか。

ルミエラは?

憶えていないのであれば、この罪は自分一人で背負うだけとなる。

だが、憶えているのであれば……?

ルミエラが憶えているのなら、自分は許されない事をしたのだ。

タダで済むはずもないだろう。

そしてそんな相手が婚約者であるのだ。

時間が遡ってルミエラも今は生きているからといっても、殺された記憶があるのなら、黙っているはずもない。

自分より優秀な相手だ。復讐しようとすれば、きっと自分の想像を超える方法を用いてくるかもしれない。

自分だけが酷い目に遭うのであればまだしも、公爵家諸共潰すような事になるかもしれない。

そう考えると、ルミエラとの婚約はいっそ自分有責でいいから破棄できないだろうか、という思いが強まっていく。父に訴えれば……とも思ったが、ミゲルは即座に頭を振った。

そもそもこの婚約が決まった時にもミゲルはなんとか父にその婚約を無かった事にできないかと訴えたのだ。しかし結果は御覧の通り。ミゲルの婚約者としてルミエラがいる時点で明らかである。

遠い未来の話として、ミゲルが先程まで体験したであろう記憶を話す?

いいや、婚約をどうにかしてなかったことにしたいためだけの虚言としてしか父は思わないだろう。

ミゲルだってある日友人が実は未来から時間を遡ってきたんだ、なんて言われたところで素直に信じるはずがないのだから。

婚約を解消したいのであればもっとマシな理由をもってこい、と父に言われて終了だ。その光景が容易に想像できてしまう。かといって母に話をしたところで、自分の頭がおかしくなったと思われてしまうだろう。

誰に言ったところでこんな話、信じてもらえる気がしない。

けれどもこのまま婚約を続けているわけにもいかない。

ルミエラもミゲルと同じように記憶を持って時間を遡っているのなら、誠心誠意謝罪をしたところで許してもらえるかはわからないし、かといってルミエラから婚約を破棄すると言い出せる状況でもない。

今の時点だとミゲルはマリナと頻繁に会っていたわけでもないので、不貞の証拠と言える決定的なものはなく。それなのにマリナと通じているだとかルミエラが言ったところで、ハッキリとした証拠はまだ出てこないのだ。

であれば、決定的な証拠を得るまでは虎視眈々とこちらを泳がせる事になるかもしれない。

だが、ミゲルもこのまま前回と同じ道筋を辿るつもりはない。

もしまたルミエラを手にかけるような事になってしまったら――そう考えただけでも恐ろしくて身体が震えてくる。

どうにかして、前回とは異なる未来を掴み取るしかないのだが……

冷静とは言い難い状態のミゲルが何を考えたところで、名案と言えるようなものは浮かんではこなかった。