軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第46話 聖女判別式への召喚状

グロリアの要請で尻に火が付いたらしいハトルストーン家が頑張ったのか、学園での騒動に気づけなかった教会が責任を感じたのか。教会でエイブラムと話してから一週間後にはメロディへの『聖女判別式への召喚状』が作成された。

ソールズベリー男爵は王都にタウンハウスを持っていない。

そうした生徒のために学園は寮を提供していて、手紙などは実家ではなく寮に届く。王城や教会からの重要書類は領地にいる親に届くが、同時に寮にいる本人にも届けられる。

今回のメロディへの『聖女判別式への召喚状』のような最重要書類であれば、対面での受け渡しが義務付けられていた。

本来ならば書類の配達を担うのは同級生でもあり教会伯爵の次男、セドリックであるはずが、彼は風邪をこじらせ自宅療養中ということになっている。

グロリアは半ば強引にその役目を買って出た。

こうした大義名分でもなければ、グロリアを嫌う王太子に追い払われてメロディに近づくこともできないからだ。彼はグロリアが視界に入るのも嫌らしい。

昼、ランチタイムに移動するメロディを廊下で呼び止めた。

授業が終わった直後だというのに、メロディの周りにはすでに王太子とブライアンが親鳥について回るヒナのごとくぴったりとくっついている。

いつもはそこにケイトが加わって四人でランチをとるのだが、今日の彼女はグロリアの背後に控えていた。

「お前と食事はしないぞ」

唯一グロリアよりも身分が上の王太子が、メロディの代わりに嫌そうに応じた。

「殿下に用事はありません」

エドワードの態度をさらっと流し、グロリアはいつもは学園には身に着けてこないローブをひるがえす。

そしてグロリアの態度に案の定憤った王太子とブライアンの背に隠れたメロディへ向かって、教会のシンボルマークが描かれた封筒を差し出しながら言った。

「メロディ・フォン・ソールズベリー、お前は自身を聖女だと詐称……いや、自称しているようだな。それに対し教会からの召喚状だ。午後の授業を終えたら速やかに王都教会へ赴き、聖女判別の儀式を受けるように」

周囲で耳をそばだてていた生徒たちが、グロリアの強い口調に息を飲んだ。

周りに人が多くいたので少し緊張して〝自称〟を〝詐称〟と間違えてしまったが、本物の聖女なら、そんなグロリアのかわいらしい緊張くらい笑って許してくれるだろう。

だが周りの生徒たちは紫の導き手の正装であるローブを着たグロリアの言い間違いを、いくぶんか重く受け止めてしまったようだ。血の気が引いた顔をしている者が何人もいる。

メロディは一瞬で生徒たちの疑いの眼差しにさらされた。

導き手の任命式で失敗した王太子は、陛下からこのローブを羽織り紫水晶のペンダントをしたグロリアの価値をうんざりするほど叩き込まれたらしい。

教会との繋がりとその言葉の重さを知っているから、自分が可愛がっている女子生徒が教会から睨まれているのだという事実がわかって動揺している。

そして当のメロディはというと、エドワードの背後から一歩進み出てぷぅっと頬を膨らませ、あろうことかグロリアに人差し指を突きつけたのだった。