軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

84.まだ15才

「公女。

この森に転移したのが故意であれ偶然であれ、俺は俺達グループが4人共必ずこの森から生きて出ると決めている。

だがその中にミナ嬢は入っていない」

「あらあら?」

そうね。

私もお孫ちゃんを除く他の3人は……状況によるわ。

私もラルフ君と考えは同じよ。

私が守るのは仲間に手を出したらしい彼らの中の誰かではないもの。

だってこの森にこの子達を転移させた時点で、死ねと言っているようなものでしょう?

仮にそんなつもりまでは無く、浅はかな考えからだったとしてもね。

こういう時は前々世の王女だった頃の冷たい自分が降臨しそう。

だってあの時の私は、人の命を取捨選択したのだから。

それにしても、うちのリーダーはやっぱり勘が鋭いのね。

私のデフォルトの微笑みの下でお孫ちゃんフィーバーしている事に気づいているなんて、素晴らしいわ。

冷たい判断のようだけれど、魔物を討伐しに来たのだもの。

人命に関わる判断をするリーダーはそうであるべきよ。

甘い考えで仲間を危険に曝してはならないわ。

ラルフ君からすれば、彼らの仲間であるお孫ちゃんも怪しいはずなの。

だってお孫ちゃんが所属するグループは、あくまで4年生のあのグループだもの。

それにラルフ君は私がこの森から簡単に出られる実力者だと知らないわ。

リーダーである自分が仲間を守らなきゃって必死なのでしょうね。

「リーダーとしての判断でしょう?

もちろんわかっていてよ。

私はリーダーのあなたに従うし、ミナ嬢自身も私達とは違うグループに所属していると考えているはずだわ。

だから私は彼女に行動を共にするよう呼びかける事はしないわ。

ここは命のやり取りをする場だもの。

自分の意志で決めずに強制やお願いをされて同じグループになっても、私達が危なくなるだけでしょう?

だって意志を持って仲間にならなければ、必ずどこかで逃げが出て自分や周りに死を招くもの」

淑女としてではなく、1世紀生きた記憶を持つ大人としてラルフ君に微笑めば、勘の鋭い彼の張り詰めたお顔がはたと真顔になる。

「けれどラルフ君がリーダーだからと気負う必要も無くってよ。

こうなってしまえば、全ては自己責任。

責任は各々分担すればいいのよ。

それに忘れてはいないかしら?

私はラビアンジェ=ロブール。

四大公爵家が公女の1人なの。

好きに責任から逃走はするけれど、 全(・) て(・) の責任から逃走した覚えは無くってよ」

少し前に家格君が言ったように、好きに生きたいから、好き嫌いに忠実な行動を取っているわ。

家格君、あなた大正解よ。

大してまともに話した事もないのに、私をよく理解しているわ。

もちろん彼の言う通り、従妹で義妹のシエナのような努力は今世のラビアンジェ=ロブールは決してしない。

けれど、ね。

四大公爵家と王家の者は根本的な所である義務を負うわ。

それを今の孫世代が理解しているのかは知らないけれど。

そうして得るのは身分が下の者達からの尊敬と己の尊厳よ。

だからこそ絶大な権力を手にする事を許されるの。

私の言葉を聞いたラルフ君の瞳が揺れる。

そうね、あなたはまだ15才の少年。

突然こんな毒蟲だらけの、入ったら確実な死が待っていそうな森に放りこまれてリーダーなんて言われれば、かつてない程の重圧がのしかかるわよね。

特にあなたは既に冒険者としても働いていて、現実をここにいる誰よりも実感しているでしょうし。

ふふふ、違うわね。

私を除いた誰よりも、だったわ。

「さあさ、難しく考えるのはお腹を満たしてからにしましょう。

お腹がおきれば、きっと良い考えが浮かぶわ」

「……ああ、そうだな」

いくらかラルフ君の肩から力が抜けたみたい。

いい子ね。

そうして私達は起こした火を眺めて何かを話す仲間の2人の元へ歩みを進めるわ。

「公女は調理、ローレンは公女を手伝え。

カルティカ、あの頭の周りの土を採取して、テントを張る。

ローレンも手が空けばテントを張るのを手伝うように」

「「「了解」」」

ラルフ君の指示に従うように、男女でペアを入れ替えて行動開始ね。

まずはローレン君にあちらの草に放置されたお肉を運んでもらいましょう、なんて思っていれば……。

「待て。

まさか本当に蟲なんかを食わせるんじゃないだろうな?」

あらあら、テントを張り終えた反抗期まっしぐらの家格君が後ろに金髪組を引き連れて再登場よ。