軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

If影虎~2人だけの物語⑧(後日談)~ラビアベルside

「「「妊娠した?!」」」

旧エイナ邸(私の家) に招いた今世のお父様と、双子のお兄様の声が被る。

「やはりな」

ディアをお膝に載せ、畳の上で胡座をかく前世のお父様は、とっくにわかっている様子。

前世のお父様は確か、前世の私が母親のお腹にいた時も、真っ先に気づいていたと言っていた。

実は意外と家族には敏感なタイプじゃないかしら?

ちなみに今日は【手巻き寿司でご報告パーティー】を敢行している。

『体を冷やしちゃダメだよ、ラビ』

まるでタオルのように、自分の体を私の首に引っかけ、フワフワな9本の尻尾を私の首に巻いたキャスちゃん。

『苦しくないか?

腹も温めないとな』

私の胴に優しく巻きつくラグちゃんは、いつもより体温を上げている。

『まったく、男共は大袈裟だねえ。

頭と耳だって、冷やしちゃ駄目だよ』

鳥姿で私の頭頂部に伏せ、翼を広げて耳元を温めるリアちゃん。

3体の聖獣ちゃん達は姿を消し、念話で私に語りかけながら温めてくれている。

「「「くっ、初孫(初姪か初甥)は嬉しいのに……はっ、学園はどうする?!

結婚は後にしよう!」」」

「結婚式は迷っているけれど、入籍は生まれる前に済ませたいの。

学園についても、実は誕生日の前日に学園を早期卒業を認める決定通知書を受け取っていたわ」

「「「何?!」」」

「トゲツへのお仕置き、んんっ、蜜月と、例の犯人の完全犯罪的調教、んんっ、更生で、暫くハリセン空間に籠もっていたでしょう?

報告が遅れてしまって、ごめんなさい」

そこは申し訳ないと心から思っていたので、素直に謝る。

「「「肝心のトゲツはどうした?!」」」

「トゲツなら、今は蜜月の名残りで疲れ果てて眠っているわ。

私も、まさかこんなに早く新しい家族ができるなんて思ってなくて」

そう、今は妊娠初期も初期。

2ヶ月目に入ってすぐだ。

もう少しトゲツとのお仕置き、んんっ、蜜月を楽しみたかったけれど……。

一応、行方不明となったトゲツが心配いらない事は、近年目覚ましく発達している通信社勤務で、前々世のラジオ放送のようなセクションでも活躍中のリーリお兄様から、ロブール家に伝えてもらった。

リーリお兄様の声は、あらゆるジャンルの信者達を震撼させている。

早く魔法具でアニメを作り、リーリお兄様には是非とも声優をやっていただきたい。

例の女(犯人) の方は数週間前、保安局に勤めるジルレスお兄様に引き渡した。

トゲツも含め、一般男性では満足できないよう調教、んんっ、体になったから、もう2度とトゲツに関心は持たないはずだ。

トゲツの連れ去りについては、示談という事でロブール側にも了承してもらっている。

願いを叶えてくれるかもしれないハリセンの窃盗は、ハリセンには封印されし魅了魔法がかかっていて、それが解けたせいで持ち帰ってしまったという筋書きになるよう、ハリセンに細工しておいた。

降格処分くらいで終わるんじゃないかしら?

※※※※

後日、早々に入籍した私とトゲツは、安定期に入るのを待ち、ロブール家とニルティ家の親族だけの結婚式をひっそりと挙げた。

結婚式には、私の家を譲り受ける際に会ったトゲツの祖父も参列してくれた。

「月のように綺麗な花嫁だ」

「ありがとうございます、 お(・) 祖(・) 父(・) 様(・) 」

家を譲り受ける日は、前世の私が伝えた通り、晴れた満月の夜を選んだ。

私とお祖父様は今世でも、時代や関係性が少し変わった。

再びロブール家に生まれ、瞳を煌めかせたお祖父様に向かい、親愛の気持ちを伝えた。

【月が綺麗ですね】と。

血が繋がらなくなったお祖父様にも、今世の家族達にも祝福されながら結婚式を終えた年、私は長女を出産。

お腹にいる時、ある夢を見た私が名前をつけた。

「ふぎゃあ、ふぎゃあ……」

「ああ……可愛いなあ……グスッ」

出産の知らせを聞き、慌てて駆けつけ、生まれたばかりのルシアンナを抱いて涙ぐむトゲツ。

「トゲツったら。

泣き虫のお父様だけれど、あなたは気にせず子供らしく生きて、ゆっくり大人になればいいのよ」

「ああ、そうだぞ。

なんなら一生、俺達の家にいたっていいからな。

でも嫁いでも俺達の子供なんだぞ、ルシアンナ」

もしもルシアンナに前世の記憶があれば、きっとトゲツの言葉に喜んだでしょうけれど……。

「……トゲツ」

ついつい呆れた声になり、残念な何かを見る目でトゲツを見た私は、悪くないと思う。

けれど……きっとこれからも、こんな風にありふれた幸せな日々を、トゲツと寄り添いながら生きていくと確信している。