軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

488.もえ広がりに悶絶

「ベルジャンヌの魔力?

ああ、これね」

亜空間に収納していたリコリスを取り出した。

『ベルジャンヌじゃない?』

「ベルジャンヌだったけれど、今は転生して別の人間になっているわ」

『転生……だから光が一緒』

「光というのがわからないけれど、ベルジャンヌが年を取ったようなものでもあるわね」

時間がないから、ピケルアーラの額に人差し指で触れて、魔法で私の経験した過去をイメージとして流す。

『……ラビアンジェは、昇華させられる?』

「できる、できないで言えば、できるわ。

国王の体に充満していた悪魔の力。

あなたは自分の魔力でコーティングして、小さく固めてくれたのね」

そう、元はリリの魅了の力は悪魔によって変質し、国王の体の隅々に留まっていた。

それこそ私と隊長がリリにしたように、三味線を使った聖獣音波で浄化しなければ悪魔汚れは取れなかったはずよ。

なのに今、国王の中の悪魔汚れは心臓の辺りにだけ留まっている。

「悪魔の力を浄化するには、聖獣へと昇華しなければ難しい。

けれどあなたは魔獣でありながら、悪魔の力に干渉できるくらい聖属性の魔力が強いわ。

あなたの母親である聖獣ピヴィエラが、聖獣の魔力を卵だったあなたに与えていたのも大きいかもしれない。

だから全属性で膨大な魔力量を保持した者と、あなたが心を通わせるなら昇華できる。

恐らく聖獣ちゃん達と複数契約している私なら、あなたと心を通わせなくても、聖獣ちゃん達に手伝ってもらう事で昇華させられるわ」

『それなら……』

「けれど今はできないの。

これから私がしようとしている事を考えると、大きく魔力を消費できない」

『体焼いてるの、止められなくなるから?』

そう、あなたもお祖父様と同じく、私の体中を這うようにして刻印する炎に気づいたのね。

「それもある。

燃え広がるのを抑える為に、魔力を消費させている状態だもの。

自分の魔力で抑えが利かなくなれば、一気に体に燃え広がる……駄目よ」

『どうして?』

言い終わる前に、ピケルアーラが私を飲みこもうと巨大化したわ。

傍から見ていると、私をパクンと食べようとしたように見えるでしょうね。

もちろんそうじゃない事はお見通し。

「私をあなたの体に入れる事で、刻印の炎を消そうとしたのでしょう?」

『そこの人と同じ。

体内、取りこむと干渉しやすい』

「この刻印の炎は特別製なの。

あなたの体内でそんな事をすれば、私ごとあなたを内側から焼き殺し兼ねない。

それに、これはこれで良いのよ。

私も誓約元に干渉しやすくなるから」

刻印はアヴォイドとの誓約の元に刻まれている。

逆干渉させる為にも、刻印の力そのものを減少させたくはない。

「それに刻印がなくとも、今は昇華させられないわ。

言ったでしょう?

これからやろうとしている事があると。

それに昇華した後の万が一の危険を考えると、今は私が昇華させない方が良いのよ。

まだ卵だったあなたを隣国の族長に預けたのも、同じ理由」

『ベルジャンヌが守りたいの、代わりに守るだけじゃなく?』

「卵の中で聞いていたのね。

隣国の族長に預ける名分にしただけよ。

本当の理由は孵化してすぐの頃は、守ってくれる者がいないと危ないの。

あなたが巨大な力を持った魔獣になるのは、ある程度予想できたわ。

それにあなたの両親はどちらも悪魔と因縁があって、悪魔はあなたの存在にも気づきかけていた。

悪魔に見つかりでもすれば、無抵抗の状態で好きに扱われかねない。

けれどベルジャンヌだった私は、ピケルアーラ達が隣国に渡った直後、異母兄とその母親が隣国に施した功績を奪う為に城の地下に閉じこめられたわ。

魔力を無効化するだけじゃなく、完全に外部と遮断する空間にね。

そうなると予想もしていたの」

『私、要らなかったんじゃない?』

「あり得ない。

私の目標は、あなたの父親であるラグォンドルと引き合わせる事だったの。

他ならぬ私の恩人…… 恩獣(おんじゅう) ?

だったピヴィエラが最期に望んだ事ですもの。

族長にあなたを委ねる前にも、卵の外から説明したのよ?」

『うん、聞いてた。

でもベルジャンヌの光、恋しかった』

ヤだ、ジョボンとした黒蛇ちゃんの可愛らしいこと!

こんな時だけれど、萌えるわ!

心身がカッと熱くなるのは、萌えが滾ったからよ!

「聖獣に昇華した後も孵化後と同じか、それ以上に魔力が不安定になるわ。

本来は他の聖獣か、聖獣の契約者が側にいて、時に魔力の暴走を抑えたり、枯渇しかければ魔力を補填してあげたりしながら、悪魔からも守れるよう体制を整えておく事が望ましいの」

最後にそうつけ足して、ピケルアーラには諦めて貰った。

更なるショボーンとした表情豊かな黒蛇ちゃんの萌え広がりに、痛みとは違う悶絶を体験したのは言うまでもない。