軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

281.学園祭の出し物(候補)

「さあ、ディア。

ドレッド隊長が頑張って品種開発した、このアイスプラントを、お願いした場所に移動できる?」

しゃがんで、まだモグモグタイムをしているディアの頭を撫でながら聞いてみる。

ついでにしれっと魔法もかけちゃいましょう。

そう、このアイスプラントは植物の品種改良や開発の得意なドレッド隊長に私がお願いしてできた苗。

私はアイスプラントの特徴を伝えて、後はお任せ。

同じような植物があれば、これからディアがしてくれるだろう方法で、手元に取り寄せてくれる。

けれど今回のように全く存在しない時は、その特徴によく似た植物を交配させて、成長を早めて、また交配させてを繰り返して作るのよ。

流石に前世のような遺伝子レベルの操作はできないの。

それでも長くて1年か2年待てば、大体の物は出来上がる努力の賜物ね。

さすが聖獣様!

「おうちのおにわと、うみのちかくのあきち?」

「そうよ。

お庭のほうは、一緒に作ったあの花壇にしましょうか。

毎日新鮮な葉っぱが食べられるわね」

「うん!

たのしみ!」

くっ、天使か。

元気なお返事にお婆ちゃんメロメロキュンキュンよ。

顎のあたりを撫でてあげましょう。

ふふふ、気持ちよさそう。

「それから海岸沿いの空き地は、去年私が植えておいた、ローズマリーやラベンダーはわかるわね?」

「うん!

がくえんがおやすみのとき、いっしょにみてるもん!

きょうもみた!」

「その隣に散らばるような感じで、自生を装ってくれる?

あそこならあまり人も来ないから、いつの間にか生えていたとでも言えばいいわ。

それにそのまま自生もするはず。

できるかしら?」

「うん、ディア、やる!」

ディアはやる気スイッチが入ったみたいね。

近づいて、鼻先でチョン、と触れては株を土ごと転移させていく。

もちろんこれは花壇の方よ。

次は自分の中の魔力を練る。

そして両前脚から地面にそれを浸透させ、全ての株を囲った。

瞬間、今まで緑だったそれは忽然と消え、地面が抉れたようになった。

「成功よ。

偉いわ、ディア。

随分魔法が上達したのね」

「えへへ、すごい?

おかあさん、うれしい?」

「とっても凄いし、もちろん嬉しいわ。

ありがとう、ディア」

良くできましたと褒めちぎりながら、抱き上げて撫で回す。

得意げな瞳が……はぁ、何て可愛いのかしらね。

撫で回しつつ、今度は私が地面に干渉して、何もなかったように土を盛り、表面を固めておく。

「あー、ディアがしたのにー!」

「あら、ついうっかり。

次はお願いするわね」

「うん!」

つい可愛らしさから、気を利かせて先にやっちゃうの。

前世でも娘が小学生だった頃、宿題を見ていた時に、時々うっかり問題を手取り足取り教え過ぎてしまって、怒られたのよね。

双子の息子達はむしろ喜んでいたのだけれど。

しっかりした娘も、私が2度目の寿命を迎える頃には、孫に恵まれたお祖母ちゃんだもの。

月日が経つのって早いものね。

あの世界の現在の時間が、どれくらい進んだのかは解らないけれど、もしかしたら、あの子にも曾孫がいたりして。

「あきちでそだてるの?」

「いいえ、綿花畑よ。

今はちょうど綿花の収穫も終わったところでしょう。

アイスプラントの植えつけは、これからの時期にピッタリだから、交互に植えられればなって思っているのよ。

もちろんここからは学園の同級生達と相談してからになるわね」

株を増やせるだけ増やして、この辺りでしか取れない、奇跡の健康野菜として売り出すのもいいかもしれない。

この植物は種から育てるのは難易度が高いの。

気候が関係するわ。

となると、塩害地域の領主達とも相談が必要ね。

特産として売り出すなら、教会にも献上して、研究発表に使うと言っておくべきね。

次にハリケーンが来て被害がでても、今度は寄付金が少ないなんてふざけた理由で、土地の浄化を後回しにされる事は無いはず。

そんな事をすれば、再び国王陛下のいる前で恥をかかされるもの。

それに今年の学園祭での売り物は、まだ決まっていないの。

考えていたこの地域で育成するハーブを使ったソルトや石鹸だと、貴族相手にはどうしてもインパクト薄いのよね。

かといってシュシュは昨年度の二番煎じだし、リュンヌォンブル商会が大々的に販売したから、既に真新しくはない。

でも全ては皆で決めてこその青春!

今世の私は学生らしく学園生活を楽しむの!

「ロブール公女」

なんて思っていたら、背後から聞き覚えのある声がしたわ。