軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

250.入室許可

『ラビ……私はね、ラビの祖先が大好きだったんだよ。

ラビと同じように魂の良い香りがして、無骨な手で顎を擽られるのがお気に入りだったんだ。

あの男は家族をこよなく愛してたけど、私が聖獣に昇華した時にはラビのように自由を望んでくれた。

そんな男に惚れて、誓ったのさ。

子々孫々、命の限り守るってね』

『嫌な祖先』

魔獣を聖獣に昇華させたのはともかく、血族に縛りつけた元凶なんて大嫌い。

ベルジャンヌだった私も祖先の事は言えないけれど、自分の事は棚上げよ。

淑女の微笑みも今は維持できなくて、ムスッとしてしまっているのが自分でもわかる。

「どうした?」

お兄様が気づいたみたいで声をかけてきたけれど、返事をする気にもなれない。

『ああ、あの男も自分でそう言ってた』

『この子、死にかけよ?

もう間に合わないかもしれないのよ?

言っておくけれど、私が投げたからじゃないわ』

『あはは、わかってるさ。

ラビはちゃんと守護魔法をかけていたし、依り代になりかけたあの小僧の魔力と生命力を取りこんだのを利用して誓約紋をこの子に移して魔法呪の 軛(くびき) を無理矢理断ち切った。

反動で内臓に焼けるような痛みを感じてんのに、今だって魔力を与えて生かしてるじゃないか。

しかもこの子の苦しみが最低限になるように更に自分へ苦痛をいくらか移して身代わりになってやってるだろう』

確かに、今はとっても体中が痛いわ。

でも痛みを無視するのは王女だった頃にたくさん経験したからこれくらいどうって事ないもの。

『……リアちゃんは優し過ぎるのよ。

もう亡くなってるご先祖様じゃない。

惚れた弱みなんて言って……』

『そっくりそのまま返しておくよ』

くっ……痛いところを突っつくんだから。

その手の痛いのは地味に効くわね。

『モフモフは正義だもの……』

『だからって幼子の腹を吸おうとすんじゃないよ。

さっきも私が止めなきゃ腹毛を吸ってただろう。

ショック死したらどうするんだい』

「な、なんと?!」

「「どうした?!」」

あら、リアちゃんが衝撃発言するからうっかり声に出してしまったわ。

両隣の2人は顔をのぞきこんでくるし、向こうの渋メン2人は思わずこちらに視線を向けたじゃないの。

『全く、そういうところだよ。

あのベルジャンヌがここまで変態に染まっちまうなんてね』

何かしら……こんな時なのにサラリと変態認定を受けたわ。

違う意味で泣きそうよ。

『とにかくだ。

ね、頼むよ』

『……………………わかったわ。

でも……今度は私が待っているから、早く会いに来て』

『ふ、わかったよ』

リアちゃんが慰めるように翼を広げて頭に突っ伏してスリスリしてくれる。

「公女?」

王子が私を、いえ、私の頭を見て驚く。

「いつの間に派手な鬘を?!

いや、鳥?!」

そうね、リアちゃんが隠れるのを止めてそんな姿勢になっていれば、お兄様の目には一見ド派手な鬘に見えたわよね。

「聖獣?!」

「この子は暫し預かるよ!」

騎士団長が驚いて駆け寄ろうとしたけれど、リアちゃんが早かったわ。

「ラビアンジェ?!」

お兄様の声も聞こえた気がしたのだけれど、バサッと翼を羽ばたかせて王女時代から愛用している学園のお昼休憩なんかで利用している秘密の特等室に一瞬で転移してしまったのだもの。

「ラビ、鳥……何連れて来たのさ」

すぐにソファで寝そべって……私が置いていた残りの兎熊をモグモグしながら出迎えてくれたキャスちゃんが私達の背後を見てとってもブスッとしたわ。

ちゃんとログハウスに取り置きしてあるのに、つまみ食いされちゃった。

でもモグモグタイムの白モフモフも可愛いから許しちゃう。

それより何って……あらあら?

「公女……」

「……ほう?」

ふり返れば2人の背の高い男性が。

「これはまいった。

てっきりベルジャンヌの魔法に弾かれると思ってたんだけどね」

「お父様、王子……どうやって……ああ、羽根……」

そういえば2人ともハリセンやらお札やらを持っていたわね。

妄想に新風が欲しくて渡したけれど、まさかそれが入室許可に繋がるなんて。