軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と第三回イベント。

メイプルがログインしてギルドホームへと現れる。

ギルドホーム内にはサリーとカナデとイズがいた。

「イベント始まったね!」

「まだ始まって五時間だけど凄いよ?トップはもう五桁。あとは、クロムさんとカスミはもう狩りにいったね」

「おお……皆凄いね……」

ここにいる四人はまだ0ポイントである。イズは今回のイベントは少しだけ手を出して止めるつもりのようだ。

「攻撃スキルはないけど、【STR】値なら多少はあるわ」

鍛冶のハンマーで叩きつければ、敵によっては倒せないこともないとのことだ。

当然【STR】はメイプルよりも高い。

「私達も行こうか」

「そうだね」

三人はイズを残して出ていこうとしたがイズに呼び止められる。

イズはサリーとメイプルに装備品を渡した。

「羊毛で作った装備よ。使った羊毛の量によって今回のアイテムのドロップ数を上げるらしいわ」

メイプルのお陰で羊毛はかなりの量が確保出来ていた。

カナデは既に羊毛をふんだんに使った装備のため問題ない。

イズがサリーに渡した装備は現在のサリーの服装をそのまま真っ白にしたものだ。

メイプルの装備はまさに羊といった見た目である。

真っ白な全身装備でその全てが羊の体毛のようにもっこもこである。

「流石に鎧を羊毛で作るのは無理だよね」

大盾と短刀は攻撃能力を考えていつもの黒装備なため、愛らしい見た目に似合っていなかったが仕方なかった。

イズは言わなかったが、この装備はイズがもこもこしたメイプルを見たかったためにこの見た目になっただけだった。

鎧は無理でも普通の服なら作ることが出来た。

ただの個人的趣味の結果である。

三人は今度こそギルドホームを出ると、全員が違う方向に向かう。

固まっていてもポイントを稼ぎにくくなるだけであり、ギルド報酬と個人報酬のポイントに貢献することも考えた結果である。

メイプルはシロップに乗って移動しながら様々な報酬に必要なポイント数について青いパネルで見ていた。

対象のモンスターの見た目も表示されていて、赤色の牛だった。

「私の移動速度だとこのイベントと相性が悪いなぁ……」

シロップに乗ってもサリーには遠く及ばない。

メイプルは欲しい個人報酬があるポイント数を目標としてイベントを楽しむことにした。

「あのスキルまではポイントを稼がないとね」

メイプルはとあるスキルに目をつけた後でパネルを閉じて下を確認する。そこにはちょうど赤い牛が見えた。

「【 毒竜(ヒドラ) 】!」

メイプルはシロップの端から毒竜を放つとポイントを確認する。

きっちりとポイントが追加されていた。

モンスターの生死の確認など直接する必要がないのである。

それだけの威力があるのだ。

ただ、この力には条件がある。

「んー……【毒無効】を持ってる敵も出てくるのかなぁ……」

【毒無効】を持つ敵が現れた場合メイプルの攻撃手段は大幅に制限される。

逃げた方が無難な程である。

さらに毒や麻痺での攻撃を多用したことにより、全プレイヤーにメイプルの攻撃手段が知れ渡っていることも問題だった。

またいつ来るか分からないプレイヤー間での戦闘というイベントに備えて【毒耐性】を取得するプレイヤーも多くいる。

メイプル対策は強力なプレイヤーの中では当たり前になっていた。

メイプル単体ならば対策を組めば何とか倒すことが出来るプレイヤーも確かに存在している。

「そういえば……レベル30になったから装備にスキルをもう一つ付けられるようになったんだっけ」

メイプルは極振りのため取得出来るスキルがかなり少ない。

鎧に至ってはまだ何もスキルを付与していないまま二つ目のスロットが追加されてしまった。

「考えても仕方ないか」

メイプルは時折地面に毒を降らせながらフィールドを飛び回る。

「牛がいないなぁ…どこかに群れてないかなぁ」

運営の情報によるとボス部屋や水中など一部の場所を除いてどこにでも出現するとのことだったため、メイプルはプレイヤーの少なそうな場所へと向かった。

移動すること三十分。

移動中も下を確認していたメイプルだったが、そこまでポイントを稼ぐことは出来なかった。

やはり移動速度によるハンデが大きかった。

それでもメイプルは気落ちすることなく牛を探す。

気落ちしなかったのは、メイプルがシロップと共にのんびり空を飛ぶこと自体を楽しんでいたためでもあった。

「牛探しは後にして…シロップと散歩もいいかも……最近はクエストばかりでのんびりしてなかったし」

メイプルは少しだけ考えて今日は牛探しは程々にしてシロップと空中散歩をしようと結論を出した。

牛探しに殺伐とする地上とは違って、空を進むメイプルは驚くほどのんびりとゲームを楽しんでいた。

その頃運営陣はイベントに不具合が出ないか確認しつつ、あることについて話していた。

「メイプルは定期的に何か理解の範疇を超えることをするため注目度が高いプレイヤーだ」

「ああ、そうだな」

運営はメイプルのいい弱体化案を考え続けていたのだ。

防御力にしろ、【悪食】にしろ、最近ではシロップについても考えなければならなかった。

「バランスがおかしいために多くの点を修正することも考えた。あの謎の飛行とかな」

「当然だな」

「しかし……もういいかな……と」

「理由は?」

「メイプルがこのゲームの看板プレイヤー的扱いをあちこちで受ける状態になったからというのがある」

さらには、そこそこの額の売り上げに貢献していたりもする。

メイプルに惹かれて参入したプレイヤーも多くいたりするためだ。

メイプルに対抗するためなのか、メイプルが何かをした後は課金アイテムの購入数も伸びている。

そのため、運営はメイプルをあのままにしておくことにした。

注目度が高くなり過ぎて下手に修正出来ない部分が増えたのもあった。

「三層はメイプルの飛行能力を殺さずにイベントを壊さないように調整した」

「これからは手を出さない感じか?」

「ああ、見守ろう。ほら……無理に弱体化を考えなければ可愛いだけのプレイヤーだろう?」

どう言おうとつまり諦めたのである。

こうして、メイプルはメイプルの知らない所で運営からその能力を公認されたりしていた。