軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と日常9。

事前に打ち合わせ、ある程度パターン化しておいた八人での連携。順に敵の行動を絞っていき、マイとユイの必殺の一撃に繋ぐ作戦により王を退けることには成功したが、あくまであれは中ボスモード。まだ本気とは言えないだろう。

ともあれ、中ボスを突破したメイプル達は先に進んでいた。

「【マルチカバー】!」

「【タイダルウェイブ】!」

クロムがマイとユイを庇い、カナデがモンスターを大波で飲み込み撃破する。

戦闘が終わると収まった波の向こうからメイプルが駆け寄ってきた。

「ふー、助かりました!」

「おう。強制転移させてくるモンスターも数が増えてきたからな、飛ばされた時は任せてくれ」

メイプルの【身捧ぐ慈愛】にも隙はある。それを突かれた時、最終防衛ラインとなるのがクロムだ。大盾使いの中でもトップクラス。メイプルをどうにか切り抜けた先にクロムが構えているのは頼もしい。

メイプルがあまりにも強烈なため忘れがちではあるが、クロムを突破することも相当に難しいのだ。

「その調子で頑張って!バフアイテムなら沢山あるわ」

「「はいっ!」」

マイとユイは元気よく返事をする。メイプルを突破し、クロムを抜けて、カナデの障壁とイズのバリケード、カスミとサリーによる弾きを乗り越えた先、【巨人の業】を使わせた上でもう一発加えれば危険極まりない【楓の木】のメインアタッカーは倒れてくれる。

考えれば考えるほど。

それの何と絶望的なことか。

「モンスターがこの戦法を破れるとは思えないが……」

「相手も相手なので、注意しないと。やっぱり全員で勝ちたいし」

「ああ。そうだな。気を引き締めるとしよう」

サリーの言うように、ボスはあの王だ。イベント時には超広範囲攻撃を見せており、黒竜の姿に完全に変貌することもできる。

そんなデタラメな相手ならば、どんな攻撃をしてきてもおかしくはない。

一人二人倒されての突破。パーティーを組んでの戦闘であればよくある話だ。ただ、せっかくここまできたのだからボス戦後は全員で生き残って喜びたいものである。

「さっきの部屋を狭いって言ってたくらいだからね。イベントの時と同じブレスを使ってきてもおかしくない」

「そうなると僕の障壁くらいじゃちょっと心許ないなあ」

カナデの強力な防御系スキルは対人戦で使い切ったところだ。数冊の魔導書ならあるが、満足できる数とは言えない。

「そっちは私に任せて!」

メイプルは広範囲攻撃に対する明確なカウンターだ。敵の大技もそこに貫通効果や固定ダメージがなければ意味をなさない。

「私達は回復の準備ね。念のため炎ダメージ軽減もかければ万全じゃないかしら?」

ダメージを受けたとしてもダメージカットや即回復によって、十分戦闘続行が可能だ。

全てを弾くメイプルのスタート地点が異常なだけであって、ダメージを受けることになった際にすべきことは他のプレイヤーと変わらない。

ダメージを与えることができてようやく戦闘開始。普段あまりにも活きる機会が少ないためやや影が薄いものの、メイプルにも高水準のダメージカットや持続回復は存在する。

今のメイプルはもう防御力のステータスが高いだけではないのだ。

「負け筋は潰しておきたいと思っています。クロムさん、メイプルが相性悪かった時の動きについて改めて練っておきたいです」

「オーケー。全部あるものとして想定しておいた方がいい。なんだかんだうちは一発いいのが入っただけで崩れる可能性が高いからな」

サリー、ユイ、マイは言わずもがな、イズとカナデも後衛相応。メイプルも高いのは防御力で、カスミも前衛とはいえ【AGI】と【STR】を伸ばす型だ。

そう、全体的に脆いのが【楓の木】の特徴だ。それなりに重い攻撃を受ければ、クロム以外は一瞬で危険域から死亡までありうる。

その弱点をメイプルが全てないものとしているため、それぞれの特化した能力を押し付けることができ、故に【楓の木】は強いのである。

「全員突破っていうなら危なくなっても助けないとだからな。無理した時のリカバーは事前に考えておくのがベストだ」

「期待してるわよクロム」

「俺の仕事がないのが一番だけどな?あるっていうなら準備はできてる」

大盾使いが二人いることの強みを見せてやると、クロムはぐっと盾を構えてみせるのだった。