軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と日常8。

燃え盛る黒い炎が収まり、そこから無傷の八人が飛び出してくる。

背後の通路こそ炎の壁により塞がれてしまったものの、部屋を覆い尽くす超広範囲先制攻撃には流石に固定ダメージまでは付いてこなかった。

「【鉄砲水】!」

サリーは激流を生み出すとマイとユイの2人を突き上げる。飛び上がった二人の行先はもちろん王の元だ。

「「【決戦仕様】【ダブルスタンプ】!」」

振るった計十六本の大槌が王に向かって迫るものの、それに対応して空中に展開された炎の障壁がそれを全て受け止める。

「「ええっ!?」

通常、並の防御なら問答無用で貫く破壊力を持った攻撃。受けきられた経験がほとんどない二人は驚いて目を丸くする。

「【水の道】!」

マイとユイの攻撃が不発に終わった瞬間、驚く二人の横を抜けて、サリーが舞い散る炎に飛び込んでいく。メイプルの防御がある限り、前のめりな攻撃にリスクはない。

「【水纏】【ダブルスラッシュ】!」

水による追撃効果を付与したサリーの短剣が王の体を斬り裂く。弾けるダメージエフェクトは攻撃が成功したことを伝えていた。

「効いたか!」

「どうやら全部防いでくるってわけじゃないみたいだな!」

「それなら……」

「私達で道を作ればいいわね!」

防御壁を囮の攻撃に使わせ、マイとユイの攻撃を通す。細かく敵とやりとりをして削るよりも、必殺の一撃を通す方が効率がいい。

「よーし……【全武装展開】!」

メイプルは兵器を展開して空中に向けて射撃を開始する。飛び交う銃弾、しかし王の動きは機敏でメイプルの弾幕を回避し、代わりに生み出した複数の炎の槍を放ってくる。

「そいつはちょっと通せないな!」

尖っているものは通すな。【楓の木】の鉄則だ。クロムはネクロの形態変化により大きくなった盾を構えて、メイプルを守るように立ちはだかる。

メイプルの兵器も有限だ。メイプルと違って攻撃を受ければ壊れてしまい、【身捧ぐ慈愛】の対象にもならない兵器のことは守ってやらなければないけない。

「ありがとうございます!」

「攻撃は任せるぞ!」

「はいっ!」

「イズ、僕らで道を塞ごう」

「そうね。合わせるわ!」

「【トルネード】!」

「フェイ【アイテム強化】!」

メイプルの弾幕に合わせて、逃げ道を塞ぐようにカナデが範囲魔法、イズが爆弾による範囲攻撃を合わせて王の移動を制限する。攻撃を避けるように高度を下げた所にカスミが接近する。

「【武者の腕】【一の太刀・陽炎】!」

相手の速度に関わらず、範囲内であれば正面に瞬間移動するカスミによる一撃は回避困難で、炎による防御が発動する。

「今だサリー!」

「【氷柱】!」

地面より伸びた氷の柱が王の逃げ場を潰す。王はカスミに反撃するも、メイプルの防御力を貫くには至らない。

「あとはよろしく!」

お膳立ては済んだ。カスミが横へ飛び退くと同時、その後ろでぐっと大槌を握った二人が王を見据える。

「「【ウェポンスロー】!」」

【氷柱】の隙間を埋めるように十六の大槌が着弾する。八人のスキルにより逃げ場を順に潰しての一撃。しっかりと決まった連携攻撃は王のHPゲージをゼロにする。

完璧に決まったと嬉しそうなマイとユイの前で、ガシャガシャと音を立てて積み上がった大槌の山が崩れ、王が起き上がる。

「いい攻撃だ……これ以上やるとここが吹っ飛びそうだな。奥で待ってる、もう少し遊んでけよ」

それだけ言い残すと王は黒い炎に身を包んで消えてしまう。

「おおう、中ボスだったかあ」

「そのようだな」

「でも、これでボスも予想がついたね」

「ええ。待っているってことはそういうことよね?」

「大丈夫!次も同じ感じでサポートすれば!」

「だね。メインは二人に任せて、こっちで下準備をしよう」

「「頑張ります!」」

その前にまず探索だ。奥へと続く扉は一つ。ボスの部屋に直結ということもないだろう。

ボスのことだけを考えていて道中のモンスターに足元を掬われてはいけない。

意識はしつつも、目の前のことに集中して八人は先へ続く扉を開くのだった。