作品タイトル不明
防御特化と日常6。
立ちはだかる敵の特性に合わせて、メイプル達はアタッカーを切り替える。素早い敵にはサリーとカスミ、守りが硬い敵にはマイとユイ、遠距離から攻撃するならメイプル、カナデ、サリーが適任だ。イズは全員のバフを一手に担い、クロムは敵の強制転移に対して適切に対応しメイプルの隙を埋める。
敵の種類としてくることが分かってしまえば、それに対応できない【楓の木】ではない。
そうして探索を続けたメイプル達は城の中の一室で何度目かの宝箱を開けていた。
「本命のルートは後に回して正解だったな!」
「素材に装備……そろそろスキルスクロールも出てくるかも?」
「装備はまだしもスキルなら誰かは使いこなせるだろう」
素材もレアなもので、装備もユニークシリーズには及ばないものの優秀なものばかりだ。
ただ、【楓の木】は装備を変更する必要があまりないため、一番の狙いはやはりスキルを覚えられるスクロールになる。
「これだと逆側もしっかり探索した方がよさそうね」
「ですね。見返りがあると分かりましたし尚更行く価値があると思います」
「まだまだスキルも大丈夫だしね!」
現状メイプルは【身捧ぐ慈愛】を使っているくらいで、回数に制限があるスキルや【機械神】の兵器の残量も十分だ。
基本的に通常攻撃で敵を粉砕するマイとユイが先頭に立っているため、貴重なスキルを使って突破しなければならないような状態にはならない。
通常攻撃に回数制限はない。連戦の中で戦闘力が落ちないのは二人の強みだ。
「まだ部屋もあったので、入れる部屋は全部見て回りましょう!」
「最後が行き止まりだったらまた私達が戦います……!」
「頼もしーい!私も頑張るね」
ボスまではそう苦戦することもないだろう。八人の強さを鑑みればそれで普通だ。
とはいえ油断は禁物である。ここはあくまで九層の隠しエリア、敵の攻撃力もそれ相応。マイとユイはもちろんイズとカナデの後衛組は一撃が致命傷に繋がるだろう。
メイプルも貫通攻撃を受ければ、威力次第で大きく削られてしまう。
「新しい見た目の敵が出たらまず様子見からで行きましょう」
「その時は私を中心にしてもらって構わない。私なら不意にダメージを受けても一撃くらいは耐えられるだろう」
「俺も多少食らっても問題ない。威力偵察は任せてくれ」
方針を固め直すと、隠し宝箱を見逃すなどといったことがないように壁や家具を念入りにチェックして部屋を出た。
結果としてこちらの通路は行き止まり。八人は奥へと続くルートを探す必要がある。
最奥に向かいボスを倒すという目的から考えるとハズレのルートとなるわけだが、メイプルもこれがある意味当たりであること、そしてその理由を理解できるようになっていた。
「宝箱のありそうなのはやっぱり正面の道以外かな?」
「その可能性が高いとは思う。城を外から見た時にいかにもボスがいそうなのは中央奥側だったし」
そうでなくとも、ボスをダンジョン端の一室にちょこんと配置することはそうないだろう。ここまで立派な城を用意したのなら、バトルフィールドもそれ相応のものであって然るべしだ。
「メイプル、宝箱の匂い分かったりしない?ほらいつも珍しいスキルを見つけるみたいに」
「あはは、あれはたまたまだよー」
「実際、直感というか珍しいイベントとの親和性は高そうだけど」
「じゃあ……うーん、入り口まで戻ったら今度は二階も見てみようよ!」
「うん、そうしよっか」
メイプルの提案にサリーをはじめとして【楓の木】の面々が頷く。
今のところ特殊なギミックやトラップもない。ボスと戦うために何かアイテムを要求される。こんなことはよくある話だ。
見落としがあってちょうどそこにボス部屋の鍵があった。などということがないように、八人は順に通路の先を見に行くことにしたのだった。