軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化とこの先。

結局サリーは決闘ローテを組み上げ、メイプルは次のイベント、そして十層を楽しみにするとして、困ったことがあれば協力すると約束し合ったところで、今日の打ち上げはお開きとなった。

「インベントリにしまうだけで片付けられるから楽だねー」

「それは現実にはない利点かな」

メイプルは机の上を綺麗にし、サリーが壁につけた飾りを片付ける。

たくさん並べた椅子もギルドの設定パネルをいじればすぐに元通りだ。

「すっごく静かになったみたいに感じるね」

「たくさん来てくれたね。うん、前より四人増えました」

片付けも一通り終わって、【楓の木】の次の話題はやはり新層。第十層のことだ。

「次回のイベント……よりは十層が先だよなあ」

「そうねー。まだ九層もクエストが残っているから急いで目を通さないと」

「イベント後はいつも新層だからな。それに九層以外もまだまだ見落としは多いだろう」

「どこも広いからねえ。なんなら新層はどんどん広くなってるし」

「八層みたいだと探索するのも大変です」

「ツキミのお陰でかなり楽にはなりましたけど……」

隠しイベントにレアダンジョン。まだ見ぬスキルもアイテムもあちこちに眠っていることだろう。何せそれらの条件は複雑で、普通に探索していても見つからないようなものばかりだ。見つからずに残っているものが各層に複数あったとしても驚く者はいない。

「空いた時間で見回っておく必要があるなあ。今回で奥の手も全部見せちまったわけだし」

「そうだな。次も同じスキルだけしかない。それでは通用しないだろう」

第四回イベントから長い時間かけて手に入れてきたスキルも全て使っての総力戦。

イベントを経て、全てのプレイヤーが次なる成長を求めている。そのためにはまずは探索あるのみだ。

やがて来るであろう次のイベントに向けて。日々のレベル上げと素材収集も欠かせない。

スキルが重要ではあるが、ステータスも軽んじてはいけないのだ。

またそれぞれが探索に向かっていく。未探索エリアか、はたまた違和感に気づける見知ったエリアか。イベントのない時期もやることは尽きないものだ。

そうして今後の方針を少し話し合った後、フィールドへ向かったり、町へと出て行ったり、それぞれのゲームライフに移っていく。

「サリーはこの後どうするの?」

「レベル上げかなあ。スキルは現状で満足してるし、無理にとは言わない。メダルでまた一つ手に入れられるしね」

「そっか、今回もメダル貰えたもんね!」

「一応、イベントはそれが目的だから」

どうやら今回はまだ交換期間はスタートしていないようである。

と、メダルのことを思い出したところでちょうどよく運営からメッセージが届いた。

「あっ、メッセージだ!」

「十層とイベント?……もうちょっと早ければ皆もいたんだけど。えーとなになに……」

「十層はここまでの総まとめ……今まで見つからなかったダンジョンやイベントのヒントも盛り込んだ各層の性質を持つ層……おおー」

「これ相当広そうだね。しかも、ここ見て」

サリーの指差した文章を見ると、そこには隠された最強のボスを見つけ出し撃破せよ。と、書かれていた。

「いつもの次の層へ行くためのボスとかじゃなくて?」

「違うっぽいよ。ほら、続きにクエストでヒントを集め〜とかって書いてあるし」

「最強……強そう……」

「まず見つけ出すところからだしね。実装はまだ先みたいだけど、このゲームならもしかしたら見つけ出せないなんてことも……」

「頑張って探さないとね!」

「うん。【楓の木】全員で力を合わせよう」

「えーとイベントは……PVPとPVEを用意中……」

「こっちはまだ詳しい情報はほとんどないね。なるほど。メダルの交換がまだだった理由はこのせいか」

十層の解禁とともにメダルの交換もスタートとなる。総まとめと宣言された十層の探索。そこで探索中自分に足りないと思った部分を、メダルスキルで補えるように交換期間が設定されているというわけだ。

「まだしばらく先になりそうだけど」

「そうだねー」

まだ先のこと。しかし見通しが立つのはよいことだ。これで次の目標も定まった。

「情報はまた追々かな。私はこの後は予定通りレベル上げに行くけど、どう?」

「行く行く!」

「おっけ。じゃあ早速行こう。効率いい所……探しておきました!」

「おおー!流石サリー君!」

「任せておきたまえ」

こうして二人もフィールドへと向かっていくのだった。

夜。楓とのレベル上げも終わって、ログアウトした理沙はぐっと伸びをして体をほぐす。

「んー……もうすっかり寒くなったなあ」

少し前まで夏だったのに。気づけばもう冬がやってくる。

クリスマスにはまた何かイベントがあるだろうか。そして年明けにも。

先のことを少し考えて、理沙はそこで思考を止める。

「お風呂入るかー」

温まってから今日は寝よう。そう考えて、理沙は階段を降りていくのだった。