軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と作戦立案2。

「なるほど……」

「どうだろうか?サリーからはメイプルの意思を聞きたいと言われている」

王城内部。合流したペインから作戦に不可欠な要素。負う必要のあるリスクについて説明を受け、メイプルは内容を飲み込むように頷く。

「……できます!」

不安の滲む表情ではあるものの、メイプルは力強く宣言する。

「……分かった。なら急ぎ作戦の細部を詰めていく。勿論必要以上のリスクを負うことがないようにするつもりだ」

「はい!」

「【楓の木】を集めて王城の訓練所の方へきてくれ。サリーは先に待っているようだ。俺もすぐに行く」

「分かりました」

メイプルはそのままギルドメンバーが待機している一室へと向かう。

「皆!」

「お、おお、どうした?」

「やけに元気だね。いや、やる気があるって感じかな」

「ペインさん達と作戦を立てて出撃します!」

それを聞くと六人がざわつく。その目的は単なる奇襲や、敵陣営の数を減らすことなどではないだろうと全員が直感していた。

「具体的な内容は決まっているのだろうか」

「それはこれからなんだけど……【thunder storm】か【ラピッドファイア】に仕掛けるみたい」

「ということはあの四人ね」

「うぅ、私達だと……」

「ちょっと厳しいです……」

マイとユイは四人全員に不利がつく相性なため、自信なさげだ。だがそれでもメイプルが隣にいれば話は変わるため、ここは作戦次第だと言える。

「じゃあ作戦会議だな。ペイン達は?」

「訓練所の方でサリーがいるのでそっちに!」

「オーケー。なら行こう。やられっぱなしじゃ終われねえってな!」

メイプルがギルドメンバーを連れて訓練所へ向かうと、そこでは先に到着したペインとサリーが激しく斬り合っているところだった。

その高速の剣戟はとてもウォーミングアップとは思えないもので、メイプルは目を丸くして立ち止まる。

「あ、メイプルも来たねー。おーい!一旦終わってー!」

フレデリカの呼びかけに二人は足を止めて武器をしまう。

「ありがとうございます」

「ああ、しかし驚いた。まださらにパフォーマンスが上がるのか?」

「上げます」

「頼もしい」

「あんまり本気出しすぎてガス欠にならないでねー?」

「うん、分かってる」

「揃ったな。なら話を始めよう」

そう言うとペインは早速作戦の概要を伝える。

「今回は敵がメイプルを倒したいと思う、その心情を利用する。つまり、メイプルを囮に使って敵を吊り出す」

「メイプル、問題ない?」

「うん!大丈夫!」

サリーの再確認にメイプルは一つ頷いて返す。

「ただ【集う聖剣】を全員動かせば敵も不用意には出てこないだろう」

「そこで俺達の出番ってわけか」

「そうだ。少人数かつ戦闘能力が高い。【楓の木】の方がこの作戦に適している」

ペインは次にウィルバートについて話す。

「ウィルバートの索敵にここにいる全員がかかれば間違いなく敵は引く。誘っていることがバレても構わないが、その時の脅威度は敵が戦闘を決断する程度に抑えたい」

「相手から見た時にリスクはあるけれど勝てそう。そんな状況にしたいわけね」

最前線に出るのはメイプルを含む限られた人数。他の面々は万が一の場合のバックアップだ。

「四人がそのまま出てきた時。最も想定されうる陣形は前に飛び出したベルベットとヒナタ。後ろで支援射撃を狙うリリィとウィルバートだろう」

「同感だ。性格的にも能力的にも、まあそうなるだろうな」

「戦闘になると判断した場合そこを強襲して分断する。俺と数人で【ラピッドファイア】にレイで飛び込んで【thunder storm】を孤立させる」

「となると肝心のベルベット達はどうなる?」

「あの二人ねー。ちょーっと問題があってさー」

フレデリカの言う問題とは勿論ヒナタのスキル【隔絶領域】のことだ。

もし今、再使用可能な状態になっていたなら、一方的に不利な二人が引きずり込まれて必敗は確実だ。マイやユイ、イズやフレデリカは吸い込まれれば死は免れない。

「あの二人には対抗できる二人だけを当てる」

「となると一人は囮役も兼ねたメイプルで、あと一人は……これはもう決まりかな」

「私がやる」

メイプルの隣に立った時に最も強いのはサリーだ。それはスキルやステータスの相性。そしてそれ以上に、息の合った連携にある。

この決定に誰一人異論はなかった。

「概要はこんな所だ。ここから細かい点を詰める」

「長引けば他のギルドの介入も考えられるだろう。メイプルとサリーを戦闘に集中させるためにも分断のミスは許されないな」

「頑張ろうねユイ!」

「うん。近づいてきたら、こう!」

ユイは大槌を振る真似をして見せる。倒してしまえば何より効果的な分断になる。つまりそれは片側が消滅したということになるのだが。

相手の動きに左右される部分も大きく、リスクのある作戦なのは間違いない。それでも、先程の奇襲が次は王城に迫る可能性も考えると、ここは動く必要があったのだ。

決行の時は迫る。作戦を立てた時点で大きなミスがないように、メイプル達は全員で話し合いを続けるのだった。