軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と雷鳴。

クロムとカスミは外壁近くまで来たところで、ペインとサリーの二人がいるのを見つけた。

「早かったですね」

「できる限り急いできた。で、状況は?」

「今のところ動きはない……しかし動きがないのはそれはそれで不気味だ」

「外壁上は……ウィルバートがいた場合危険か。ハクに守ってもらえば外に出ることもできるがどうだろう?」

「無理に出なくてもいいんじゃねえか?攻めてくるならこの壁がある」

クロムは目の前の外壁をコンコンと叩く。この壁の耐久値は相当なものだ。強力なスキルが多少命中したとしてもびくともしない。

流石に何者かが壁を破壊しようとしていれば気づくことができる。敵の動きを見てからの出撃でもこの位置なら十分間に合うだろう。

「そっちはどうなんだ?」

「俺の方も援軍を呼んである。戦闘というよりは索敵を得意としているプレイヤー達だ」

噂をすれば。外壁を目指して、それぞれのテイムモンスターに乗って夜の町を移動するプレイヤーの集団が四人の元へやってきた。

「おお!素早く移動できるってのはいいな。索敵とも噛み合ってて」

残念ながら今のところネクロは身に纏っても高速で移動できるような形態になってはくれない。

今後に期待といったところだ。

「助かります。私達は確実な索敵があまり得意ではないので」

サリーの索敵能力は驚異的だが経験によるもので、スキルによる索敵とは訳が違うのである。確実な情報を知りたい時、ノーツの【ソナー】のようにスキルに軍配が上がるのだ。

「層の厚さは流石【集う聖剣】といったところだな」

大規模ギルドらしい強さを感じて、ここは任せようと、カスミはハクを呼ぶ準備をして待機する。

「ペインさん、ここで一回索敵かけておきますか。壁向こうにいる可能性もありますし。俺が使ってもまだ残りもあるんで」

複数人が同じように索敵スキルを持っているためクールタイムを待たずとも交代しながら辺り一帯を調べきることができる。

それでもいないなら、いない。それで終わりだ。

「ああ、頼みたい」

「【範囲拡大】【広域探知】!」

効果範囲を強化しつつ、エフェクトがパッと弾ける。瞬間。辺りの情報が使用者に伝わり、彼は慌てて空を見上げた。

「え……上っ!?」

その声と同時、天を照らす強烈な雷光。

大地を焦がす稲妻の柱が即座に天地を繋がんとする。

「【 守護者(ガーディアン) 】!【精霊の光】!」

轟音。前すら見えない光の柱が全員を包み、当たりの建物に凄まじいダメージを与えていく。

そんな中、クロムは素早い反応によって全員を庇うと受けるはずのダメージを無効化することでこの一撃を凌ぎ切る。

光が収まった中、少し離れた場所に雷を纏ってヒナタを連れたベルベットが着地する。

「流石っす!やっぱり、メイプルだけじゃないっすね!」

「驚いたぜ!そのまま突っ込んでくるかよ!」

「この場所で、なお勝算があるというのか?」

空からの奇襲に止まらず、敵陣ど真ん中に二人で飛び込んできたベルベットとヒナタに驚きつつクロムとカスミは武器を構える。

「逃すつもりはない」

ペインも意思は同じだ。この場から無事逃げ帰ることを許す気はないと、戦闘体勢に入る。

「逃げる?……こっちは、ここで終わらせる気で来たっすよ!」

「はい。こちらこそ、逃がしません」

サリー達の想像以上に撤退の意思のない攻め。辺りに拡散する冷気と激しくなる雷の雨が避けられない戦闘の始まりを告げている。

「ペインさん」

サリーが短くそう発する。

ペインも意図は分かっていた。

「ああ、逃げないというのなら倒すまで」

ここで倒し切れるなら大きな有利を手にできる。

大き過ぎるリスクには代償を。敵陣営でもトップクラスの脅威であるあの二人をここで討つのだ。

「いくっすよ!全力で!」

再度強まる雷が空から降り注ぐと共に、ペイン達はベルベットに向かって走り出した。