軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と提案2。

フレデリカに案内されて【集う聖剣】のギルドへ向かうメイプルだが、その表情は少し固いように見える。

「んー、メイプルどうかした?」

「ううん、なんでもないよ。ちょっと緊張しちゃって……」

メイプルにとっては他ギルドのギルドホームに行くのは初めてのことである。今までいつでも自由にやってくるフレデリカや、イズに用がある他プレイヤーなど誰かを出迎えることはあったものの、特別用事もなかったため出向くことはなかったのだ。

「別に緊張することないのにー。ほら、【楓の木】のギルドマスターとしてキリッとー!」

「ええっ!?こ、こうかな?」

メイプルが自分なりにそれらしい表情を作ると、フレデリカはうんうんと頷く。

「そうそう。別にどうこうしようってわけじゃないんだからねー」

そうこうしているうちに二人は【集う聖剣】のギルドホームの前までやってくる。流石は大規模ギルド、ギルドホームは九層でクエストを受けられる建物にも負けない規模であり、奥行きもかなりありつつ四階建てといったトップギルドに相応しいものとなっていた。

「おっきいー!」

「ふふーん、【楓の木】と比べるとかなり大所帯だから、ギルドホームもその分大きいんだよねー」

「すごいねー!お屋敷って感じ!」

「そうでしょそうでしょー」

そんなメイプルのいい反応にご満悦のフレデリカに後ろから声がかかる。

「おう、随分と得意気だな」

「ドラグー、別にいいでしょー?私のギルドで間違いはないんだしー」

「まあそれは違いねえか。で、珍しい客人連れてんな?」

「そーそー、偶然であったから連れてきちゃった」

「ってことはあれか?」

「うん。だってああは言ってたけどー、ペインほっといたら本当に強い所とは敵対しそーだし」

「冷静だが熱いヤツだからなあ」

メイプルには内容を理解しきれない会話が交わされるが、ずっとここで立ち話をしていても仕方がないと、ドラグは話を切り上げる。

「フレデリカが案内するってことなら俺は行くぜ」

「うん。大丈夫」

「メイプルもこの機会に気になるところがあれば見ていっていいぜ。ま、多少は珍しい目で見られるかもしれねえがな」

本来このギルドホームにいないプレイヤー、それもメイプルとなれば尚更だろう。

「はいっ!」

メイプルの元気のいい返事を聞くと、ドラグはヒラヒラと手を振ってギルドホームの中へと消えていった。

「私達も行くよ。とりあえずついてきて、話が終わったら色々見ていってもいいからねー」

「はーい!」

こうしてメイプルはいよいよ【集う聖剣】のギルドホームの中へ足を踏み入れるのだった。

中に入ったメイプルは、フレデリカについていきつつキョロキョロと周りを見ている。

「あくまでもギルドホームだからそこまで設備が違ってたりはしないけどねー。【楓の木】が全体的に大きくなった感じ」

「そうなんだね」

「三、四階は個人の部屋が並んでるから……一、二階を見るといいんじゃない?」

「分かった!」

何はともあれまずは用事を済ませてからだ。フレデリカはしばらく歩くと一つの扉の前で足を止めてコンコンとノックをする。

「入るよー」

「お、お邪魔しまーす……」

部屋の中に入るとそこにはペインがいた。ペインの方も予期せぬ来客に少し驚いたようで目を丸くしている。

「フレデリカ、これはいったい……」

「どっちでも任せるけどー。早めに話しておいた方が私もやりやすいしー」

「なるほど……分かった。メイプル、どこでもいい座ってくれ」

「はい!」

メイプルがソファーに座ると、テーブルを挟んだ反対側にペイン、隣にフレデリカが座る。

「フレデリカが突然誘ってすまないな。話というのは次のイベントのことだ」

「イベントですか?」

「ああ。陣営対抗ということもあって、特に大規模ギルド間ではどのギルドもどちらの陣営につくか慎重に機を窺っている状態だ」

サリーも気にしていたことになるが、どちらの陣営につくか、その陣営にどのギルドがいるかは勝率に大きく関わってくる。

「当然【集う聖剣】も密かに勧誘を行なっている。フレデリカの言う話というのはこのことだ」

つまり、【楓の木】にも【集う聖剣】と同じ陣営に来ないかと誘っているのである。

「私達がペインさん達と同じ陣営に……」

「【楓の木】の実力を疑うものはいないだろう。敵にすれば手強く、味方になれば心強い」

「とか言ってるけどー、敵になってもらってリベンジとか思ってたりしてー」

フレデリカがそう言うとペインは困ったような顔で少し苦笑いをする。

「勿論、貴重なリベンジの機会だとも。【楓の木】には第四回イベントでうまくやり込められてしまったからな……だが、俺も【集う聖剣】のギルドマスター。まず何よりこのギルドを勝ちに導くことを考えるさ」

ペインとしては自分個人よりもギルドとしての勝ちを優先しているようだ。方針としてギルドメンバー全員で同じ陣営に所属すると決めてもいるようであり、大規模ギルドのトップらしいと言える。

「私は今度こそサリーに勝ちたいけどなー」

「はは、それなら日々決闘を申し込んでいると聞いているが」

「あれは別ー。やっぱり公式の勝負で勝ちたいでしょー?」

「それはそうだ。っと、話が逸れてすまない。今ここで結論を出せとは言わない。もし同じ陣営に属してくれると言うのなら連絡をくれると助かる。ギルドのメンバーとも相談するといい」

「はいっ!」

「相変わらず手短だねー。他に何か話すこととかないのー?ほら、せっかくメイプル来てるんだよ?」

「そ、そうか?なるほど、話すこと……か」

「じゃあ私から聞いてもいいですか?」

「ん?ああ、構わない。そのうちに俺も何か考えよう」

「もー、二人とも固いなー」

「そ、そうかな?」

「そうだろうか?」

「そうだよー!」

いつも通りのフレデリカを中心にして、三人はしばらく会話を続けるのだった。