軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と坑道2。

メイプルとサリーはさらに奥へと進んでいく。相変わらず地面は凍りついており、天井からはつららも伸び始めている。

「そろそろ何か出てくるかなあ?」

「警戒しててね。もちろん足元も」

「うん!」

引き続き滑って転ぶことのないように足元を確かめながら進んでいくと、やがて宙に浮いた氷の塊が現れた。真上にはHPバーがあり、吹雪を起こしているようで、その周りには氷と雪混じりの風が渦巻いている。どうやら意思があるようで、見た目こそ氷の塊だが精霊や妖精といったものに近いようだった。強まる冷気のため天井から伸びるつららも大きくなっており、あれがモンスターなのだろうことが察せられる。

「いた!」

同時にモンスターの方も二人に気づいたようで、渦巻いていた風を強力にし、天井から伸びる氷柱を巻き込んで叩き折り、二人に向かって射出して先制攻撃してきた。

「一応盾で受けて!」

「分かった!」

尖っているものは極力体で受けないこと。防御貫通効果がある攻撃は攻撃方法やスキル名もそれ相応のものであることが多いのだ。

【悪食】を消費しつつ飛来するつららを飲み込むとそのまま反撃に転じる。

「【全武装展開】!【攻撃開始】!」

メイプルが大量の兵器を展開し、氷の精霊に銃口を向ける。しかし続く攻撃宣言に兵器の方は反応せず、銃弾は一向に発射されない。

「あれ?……あっ!凍ってる!」

兵器の表面は一部白く凍っており砲身にもつららができている。効果としては一部スキルの封印となるのだろうそれは、メイプルの攻撃を未然に防いでいた。

「なら【悪食】がなくなる前に。動きも遅い……っていうかそもそも動く様子ないし」

「そうだね!」

メイプルは凍った地面を慎重に歩いていき、再度急速に伸び始めたつららが射出に入る前に近くまで辿り着いた。

「動かないなら……えいっ!」

メイプルは大盾を大きく振りかぶるとそのまま氷塊に叩きつける。ある程度のモンスターでなければ一発で飲み込んでしまう大盾は、変わらない力で氷の塊を一瞬のうちに消滅させた。

九層とはいえ最初のクエストのモンスター程度ならどうということはないようである。

「ナイスー。使い切るまではこれでいいね。反応して別の攻撃されても嫌だし」

「うん!大丈夫!」

「つららは私が防ぐよ。凍った床にも慣れてきたし、単調な攻撃くらいなら大丈夫」

一撃で消滅させる分にはつららを折って飛ばしてくるだけである。足場が悪いとはいえ連発できないのなら、兵器が封じられたとしても二人にとって問題にはならない。【身捧ぐ慈愛】は封じられていないため、防御面の性能が変わらないこともあって苦戦することなく進めそうである。

「今回はあと九体倒せばいいってさ」

「どこにいるのかなあ?」

「一本道だし、奥まで進めば残りもいるんじゃない?」

「よーし!頑張ろー!」

一体目を手際よく倒すと、二人はクエストクリアを目指して、坑道を奥へ奥へと進んでいった。

やはり最初に受けられるクエストの一つということもあって、二人は特に苦戦することなくクエストを進めていった。

メイプルの兵器は封じられてしまっているものの、冷気による攻撃はメイプルには効かず、つららはサリーが叩き落とすことでメイプルを上手く守っている。そうして近づけさえすればあとは大盾で軽く触れるだけでいいのだ。

十体たおすことが目的だったため、最初につららを飲み込んだ分全て同じようにはいかなかったものの、それでも最後の数体はサリーが攻撃に回ることで難なく撃破した。

「ふぅ、これで終わりだね」

サリーが突き出したダガーに貫かれ、パリンと音を立てて氷の塊が砕けて光に変わっていく。

「サリー、クエストクリアだって!」

「まだまだ最初の方だし……難易度もこんなものか」

「順調だったね!」

「隠しクエストってわけでもないし、皆通過するものだからある程度敵の強さはセーブされているのかも」

「なるほど」

「全部が全部ボスみたいな強さだとね。ほら、塔のイベントの最上階にいたみたいな……」

「それだとすっごい大変だもんね」

進めるうち歯応えのあるモンスターや複雑なクエストも増えてくるだろう。

まずはそこに辿り着くために目の前のクエストをクリアしていくしかないということだ。

「とりあえず出ようか。外に出れば進展があるだろうし」

「うん!」

足元に気をつけつつ来た道を引き返して坑道から外へと出ると、入った時と同じようにシロップに乗って地面に降りていく。

するとそこには案内してくれたのと同じ男が待っており、無事戻ってきた二人を迎えてくれた。

「おう!上手くやってくれたようだな!これで作業が再開できる。報酬は城下町の依頼カウンターで受け取ってくれ。しばらくどいつも忙しなく動いてるからな、他のやつにも手を貸してくれると助かる!」

「はい!」

「なら一旦町まで戻ろうか。この感じなら他の誰かも終わってるかも」

二人が受けたのと同じような難易度のクエストなら六人が特別苦戦するということもないだろう。先に終わって戻っているかもしれないと、二人は坑道を後にするのだった。