軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と技能書2。

そんなカナデがギルドホームまで戻ってくるとちょうどメイプルとサリーが話をしているところだった。

「あ、カナデ!今日はどこか探索?」

「うん、さくっと行って終わらせてきたんだ」

そう言うとカナデは新たに手に入れた【技能書庫】について二人に教える。

「今度は何でもスキルを保管できる……それって自分の使ってない武器のものでも?」

「それは結局発動しないね。いや、ちょっと違うか……本は作れるし使うと消費もするんだけど、効果がない、かな?」

それだと発動してようがしてまいが関係ないとサリーは残念そうにする。カナデ曰く、この本棚を付け加えるルービックキューブは、【神界書庫】から一連の流れを持ってこそいるものの杖専用ではないらしい。取得時に武器のスキルに追加されるアイテムといった方が正しいだろう。手に入れられれば戦闘時の手札が増えるのは間違いない。

「と言ってもそもそもクリアできるか分からないけど。パズル得意?」

「ああ……そっかそうだったっけ」

ボスを倒す形式でなかったことも思い出して、サリーはいよいよ入手は難しいと考える。いかに戦闘に秀でていても、【技能書庫】は手に入らない。特段パズルが苦手というわけではないが、ミルクパズルをあっさりといて戻ってくるような芸当はサリーには不可能だ。そもそも十全に使うには【神界書庫】が必要でもあり、やはり基本は魔法使い向けのスキルだと言えた。

「僕がやってもいいけど」

「いや、そういうのは自分でやってこそだしね」

「ふふ、そっかそっか」

「ねぇねぇ潜ったら偶然見つかったの?」

「違うよ。ギルド地下にはもう一つヒントがあってね……今までの層で図書館に行ってないと分からないんだけど」

カナデがそう言って二人に文字のことを教えると、二人はそんなものもあったのかと驚いた表情を見せた。

「これからは記号を見つけたらちゃんと写真くらいはとらないとね」

「うん!そっかー、今まで行ったところにもあったのかな?」

「どうだろう。二人は僕より随分多くの場所を探索してるみたいだから、どこかにはあったかもね」

「今度からは見逃さないようにしないと!」

「あはは、じゃあメイプルとサリーも覚えていく?文字として見えるようになったらきっと見逃さないよ」

そこまで作りは複雑ではないからと提案すると、二人はそれなら覚えてみたいと乗り気な姿勢を見せる。

「じゃあ簡単なところから行こう。数文字読めるだけでも違うはずだよ」

「……複雑じゃないってカナデ基準じゃないよね?」

「ええっ!?それだとかなり難しいんじゃ……」

「どうかな?」

悪戯っぽく笑うカナデは、こうして二人に自分が覚えたものを教えてあげるのだった。

そうしてしばらくギルドホームでカナデから新たな言語を教わっていた二人だったが、ある程度進んだところで今日は切り上げることとなった。

「どう?」

「な、なんとか?」

「教えられた分はね」

「各層の図書館にまとめられてるから、気が向いたら行って頑張ってみてよ」

カナデとしても本格的なヒントとして文字を見たのは八層が初であり、もしかすると八層には他にも文字の書かれた場所があるかもしれない。

覚えておいて損はないだろう。

「それらしいものを見つけたら僕にメッセージを送ってくれてもいいよ。判断できると思う」

「本当!ありがとー!」

「もしかして、それなら覚えなくても大丈夫だったんじゃ……?」

「知らないものを知るのは楽しいよ?」

「それは否定しないけど」

「ふふ、いい経験だったんじゃない」

「そう、だね。あんまりそういうのはしてこなかったかな?」

ゲームによっては創作の言語があるものももちろんあるが、解読まで要求するものはそう多くない。サリーがよくプレイするアクション要素の強いゲームとなれば尚更だ。

「じゃあ僕はまた町でも見て回るよ。今回は町の中も重要みたいだし」

「ギルドホームの地下みたいにヒントがあるかもしれないもんね!」

「うん、何か見つけたら連絡するよ。場所によっては僕一人じゃ厳しいからね」

「その時は言ってくれれば手伝うよ」

「私も!」

「今度はそっちからの面白い話を期待してるね」

「任せて!色々探索してくるよ!」

カナデはそれを聞いて少し笑顔で頷いて返すと、言った通りに町へとまた出て行った。

こうして残された二人はギルドホームで話の続きを始める。

「さて、と。どうする?どこか探索にでも行こうかってことだったけど」

「カナデにもああ言ったし……行ってない場所を見にいく気分かも!」

「よし、じゃあマップを見て考えようか。外で景色を見てっていうのは……判断しにくいしね」

八層は辺りを見たときに景観の変化に乏しく水中での活動時間に限界もあるため、二人もしていたように目星をつけてから向かうのが基本になる。

「どこかいい所ある?」

「んー……まずパーツ集めが必要なのもあって、皆探索はそこまで進んでないからまだまだ情報は少ないね」

「そっかー、大変だもんね。私も最近アップグレードしたところだし……」

「とはいえ、面白そうなところはあるよ」

「そうなの?」

「普通にダンジョンなんだけど、水中神殿って感じの建物の中を進むところ」

「おおー!なんかすごそうだね!」

「モンスターは結構強いみたいだし、一回メイプルと一緒に戦いたかったんだ」

そう言ってサリーは手の中で新しく手に入れた短剣をくるくると回す。一番頻繁にコンビで戦う相手はメイプルだ。新たなスキルを用いた連携を試しておくのは悪くない。

「難しそうなスキルだったよね……」

「メイプルはいつも通り戦ってくれれば大丈夫!こっちで合わせるよ。モンスター相手だとできることも限られるしさ」

モンスターは深く考えて読み違えるなどといったことはない。その分メイプルはそれを生かして有利を取れたりするのだが、いつも何もかも上手く働くわけでなないのだ。

「おっけー!じゃあ行ってみよー!」

「場所は私が知ってるから、アレに乗って行こうよ」

「……!アレだね!」

楽しそうに目を輝かせているメイプルを連れて、ギルドホームから出て、フィールドと町の境まできたところで、サリーはインベントリからジェットスキーを取り出した。

勿論イズ作のそれはバシャンと音を立てて着水すると次第に安定していく。先にサリーが乗り込むと、手を差し出してメイプルをゆっくり後ろに乗せる。

「ちゃんと掴まっててよ?」

「うん!私じゃ乗れないし楽しみー!」

メイプルではDEXが全く足りないために操縦は不可能だがサリーなら問題ない。

「じゃあ行くよ!」

「分かった!」

メイプルが落ちないように掴まっているのを確認して発進するとスピードを上げていく。

「おおー!はやいはやーい!」

「水上だと素早く移動するの大変だしね。イズさんには感謝しないと」

そうして水飛沫を上げながら、二人は目的地となる水中神殿へと向かっていくのだった。